今回は円安の今、資産形成をどのように考えて行えばよいのか、についてです。
結論としては
・長期的にはより一層円安は進む可能性が高い
・円の価値が下がるのであれば、外貨の資産に投資するべき
です。
現在、米国中央銀行のFRBによるインフレ対策としての利上げなどを起因として、大幅で急激な株安や円安が進んでいます。
暴落が起こっているわけです。
株式市場の投資家から、阿鼻叫喚が聞こえてくるような状況です。
実際にSNSなどでも、「いったん損切した」というようなコメントも散見されます。
株価の暴落に加えて、過去にないレベルの急激で大幅な円安が起こっていますから、感情として不安になるのは分からなくもありません。
しかし、このような時こそ一旦落ち着いて、冷静に考えて行動する必要があります。
未来を完全に予測できる人などいませんが、長期的な視点で見れば現在慌てて損切りしたり、市場から退場するのは得策ではありません。
それでは、現状どのように資産形成を行っていくのが良いのかについて、説明していきます。
円安の原因

円安とは
円の価値が他の通貨に比べて低くなること
を言います。
例えば、1ドル100円が110円になるようなことです。
現在の急激な円安のきっかけは、米国中央銀行であるFRBが急ピッチで利上げを行っているからです。
利上げというのは金利を上げることで、インフレ対策に使われる手段です。
米国をはじめとする先進諸国のインフレ率(物価上昇率)は非常に高く、米国は8%に迫る水準まで来ています。
理想的なインフレ率といわれるのは2%程度ですから、過剰なインフレが起こってしまっているということになります。
そのため、利上げをすることで世の中のお金の流通量を減らし、デフレ化させる(インフレを抑制する)というわけです。
各国の中央銀行は、FRBに追従して軒並み利上げを行っています。
しかし、日本は相変わらず金利はほぼゼロのままで、世界的に見ても稀有な存在になっています。
金利が低いということは、その国の国債を買ったり、銀行に預金しても利息が少ないということです。
逆に金利が高いということは、国債や銀行預金の利息が多く貰えるということになります。
そして国債を買ったり銀行に預金するためには、その国の通貨でなくてはなりません。
そのため金利が安い円が売られて、金利が上昇して高くなっているドルなどの外貨が買われることで、円安が進行しているのです。
しかし、現在の円安の理由はそれだけではありません。
そもそも円というのは、「有事の円」といわれるほど、非常に安定した資産として扱われてきました。
そして日本の低金利は今に始まったことではありません。
米国などが利上げをしても、日本の金利が低かったことはこれまでもありました。
それでも、円は安定した守りの資産として多くの投資家から信頼されていたため、ここまで急激な円安は起こってこなかったのです。
しかし、日本経済は長いデフレを経て衰退し続けてきました。
過去30年間、世界各国が経済成長する中で、唯一経済が衰退し続けてきた国が日本です。
かつては「Japan as NO.1」と言われましたが、今やGDPは中国に抜かれ今後様々な国に抜かれていくことが確実視されています。
衰退し続けてきたものの、これまでは過去の貯金で日本経済はまだ強かったのですが、その貯金も尽きているような状況です。
そして、円安の根本的な原因はまさにここにあります。
FRBの利上げは確かに円安を引き起こしましたが、根本にある原因は
日本経済が弱くなっているから
なのです。

長期的に円安は続く

為替相場というのは、投機的要因によっても変動するため、短期的な値動きを予想することは非常に困難です。
ここまで急激な円安が進みましたから、一旦また円高に振れて1ドル120円くらいまで戻すかもしれません。
正直、短期的にはどう動くかわかりません。
しかし10年単位の長期視点で見た時には、ある程度予測はできます。
このままだと、まず間違いなく
長期的には円安は進んでいく
と思われます。
これは、日本経済の見通しが暗いからです。
円安の根本的な原因が日本経済が弱いことですから、今後も世界各国が経済成長して日本の経済が停滞すれば、当然円の価値は下がり続け円安に振れていきます。
日本経済の今後は、このままだとまず確実にさらに衰退し続けていきます。
なぜなら、日本経済が衰退した理由は
政府が行い続けている「緊縮財政」
だからです。
緊縮財政を続けている限り、日本経済は成長しません。
逆に日本経済を成長させるためには、緊縮財政をやめて積極財政に切り替えればいいだけのことではあります。
しかし、日本の政府は緊縮財政をこれからも続けるでしょうし、さらに言えば日本の経済を壊すために敢えて緊縮財政を行っているのかもしれません。
見えない裏の力でも働いているのかもしれませんね。
要するに、政府が積極財政を行いさえすれば日本の経済は成長し円安も止まるのですが、それは今後も行われない可能性が非常に高いということです。
緊縮財政が今後も続き、円安が進んでいくことは既定路線のように思われます。
外貨資産を持つべき

では、私たち国民はどのように対応すればいいかといえば
外貨資産を持つ
ということになります。
日本の円を大切に預金し続けていても、円の価値は下がり続けていく一方です。
利息もほぼゼロです。
つまり、何もしなくても資産は減少して貧しくなっていくことと同義なのです。
ですから、長期的に円安に進むのであれば、外貨資産を持つことで資産を守ったり増やしたりするしかありません。
日本以外の国は、程度の差こそあれ経済成長していくことが考えられますしね。
今が円安だからといって外貨資産を円に換えたり、外貨資産を買わないことは、長期的に見ればマイナスの行為だということです。
とは言え、短期的にはどう変動するかわかりませんから、全資産をドルなどに一気に投入するなどはやめるべきです。
これまで通り、積立NISAなどで定期的にドル資産などに積み立てていくのが安全です。
・S&P500
・全米株式
・全世界株式
などに連動する投資信託などが王道ですね。
結局のところ、慌てず焦らず地道に長期投資を愚直に続けることが正解に最も近いと思われます。
まとめ

・円安の根本的原因は、緊縮財政によって日本経済が衰退しているから
・今後も長期的には円安の方向に進む可能性が高い
・個人としては外貨資産を持つことで資産形成するのが良い
本来であれば日本政府が積極財政に舵を切り、日本の景気が良くなっていくことが好ましいのですが、残念ながらその可能性は低いのです。
であれば、現状をうまく利用する以外に、個人が出来ることはあまりありません。
もし仮に意外にも日本政府が積極財政に舵を切り、日本の経済が成長して円高に振れたとしても、それはそれで問題ありません。
外貨資産の価値は減少してしまうかもしれませんが、景気が良くなれば給料などが上がることも期待できます。
むしろそちらの方が好ましいと言えます。
外貨資産を持つということは、いわば分散して資産を守るということでもあるわけです。
焦らず慌てず、地道に王道のファンドへの積み立てを続けてください。
但し、緊縮財政をやめさせなければ、日本の未来が暗いのも確実です。
選挙などで監視しなくてはなりません。
国民の無知と無関心が、日本を衰退させ、日本の未来の世代を苦しめる結果になることを自覚しましょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。