健康・医療

歯のためには硬いものを咬まない方が良い?

歯のためには硬いものを咬まない方が良い?

今回は、「硬いものを咬むのは、歯にとって悪いことか」ということについてです。

 

結論は

・硬いものを咬むことは、歯単体で見ればデメリットにもなる。

・咬むことは、様々なメリットもある。

・物事は多面的に考える必要がある。

です。

 

全てのものに対して言えることですが、永遠に使い続けられるものは、この世に存在しません。

それは、人間の身体も同様ですし、もちろん歯も例外ではありません。

言ってみれば、歯は消耗品です。

 

仮に、虫歯や歯周病などと完全に一生無縁だったとしても、歯はいつかは使えなくなります。

歯がダメになるのが早いか、寿命が来るのが早いかの問題です。

もちろん個人差はありますが、一説によると寿命が130歳を超えると、どんなに口腔内が健康でも歯はダメになると言われています。

(但し、寿命が130歳を超えることは、あり得ないのではないかとも言われています。)

 

そもそも、口の中はとてつもなく過酷な環境です。

・毎日、咬む力がかかる。

・食べ物の酸などに、毎日晒されされる。

・口腔内は、身体の他のどの部位よりも、細菌が常にたくさん存在する。

というような状況なのです。

このように歯は、毎日ダメージを受け続けていますから、徐々にダメになっていくわけです。

 

このような環境の中、せめて硬いものを咬まない方が歯のダメージを減らして、歯を長持ちさせられるのかについて説明していきます。

 

咬む力は歯にダメージを与える

咬む力は、歯にダメージを与えるというのは事実です。

特に硬いものを咬むと、そのダメージは大きくなります。

つまり

硬いものを咬むということは、歯をダメにしやすくする

ということです。

 

具体的には

・歯が削れる

・歯が欠ける

・歯の根が折れる

・歯周病を悪化させる可能性がある

などが起こり得ます。

特に、歯の根が折れてしまうと、抜歯をする以外に選択肢が無くなります。

歯の根が折れるのは、神経のない歯が主です。神経が生きている歯の根が折れることは、非常にまれです。

 

歯というのは、欠けたり削れたり折れたりした場合、他の多くの組織と違い再生しません。

再生するというのは、壊れた組織に修復させる細胞が集まってくることによって起こります。

そしてそれらの細胞は、血管などを通って様々な部位に運ばれていきます。

しかし、歯は中心の歯髄と言われる部分にしか血管などは通っていません。

歯の構造

表層を含めた大部分は血管が通っていないため、歯には再生能力がないのです。

 

つまり、歯が削れたり欠けたり折れたりした場合、元に戻ることはあり得ないのです。

 

このようなことを考えると、歯のことだけを考えた場合には

硬いものを咬まない方が良い

とも思えますね。

 

歯を健康に保つ目的

では、できるだけ歯に負荷をかけないように

・食べたいものを我慢する

・軟らかいものばかり食べる

ということが良いかと言えば、そんなことはありません。

 

そもそも、歯を健康で長持ちさせたい主な理由は

人生の間、食べたいものを美味しく食べるため

ですよね。

その目的を達成するための道具が、歯だということです。

 

歯を守るために食べたいものを食べないというのは、手段と目的が逆転してしまっています。

本末転倒です。

歯は失ってしまったら二度と戻っては来ない大切なものですが、あくまでも道具であるということも事実なのです。

 

咬むことのメリット

咬むことは、負荷という面で言えば、歯にダメージを与えているのは間違いありません。

(咬まなすぎるのも、歯の周りの組織が弱ってしまうので良くないですが。)

 

しかし、咬むことには多くのメリットもあります。

咬むことのメリットとして

・唾液の分泌を促進する。

・顔の筋肉の発達を促進する。

・脳に刺激を与えて、活性化させる。

・肥満防止になる。

などがあります。

 

唾液の分泌を促進する

よく咬むことで、唾液の分泌が促進されます。

唾液には

・消化酵素としての役割

・口の中の酸を中和する緩衝作用

・細菌に対する抗菌作用

などの効果があります。

 

つまり、唾液の分泌を促進するということは

・食べ物の消化を助け、胃や腸の負荷を軽減する

・虫歯や歯周病のリスクを低減する

というメリットがあるのです。

 

顔の筋肉の発達を促進する

筋肉は使えば発達して、使わなければ萎縮してしまいます。

顔の筋肉も同様で、よく咬んだり喋ったりすることで、顔の筋肉が発達します。

 

顔の筋肉が発達すると、表情が豊かになったり、発音が良くなったりすると言われています。

逆に顔の筋肉が萎縮してしまえば

・老けて見える

・発音が悪くなる

・咬む力が弱まる

・唇が開きやすくなり、よだれが垂れる

などの弊害が起こる可能性があります。

 

コロナ騒ぎで誰もがマスクをして人と話す機会が減ったので、特に高齢者はこのような傾向が多くみられました。

常時マスクをしている弊害の一つです。

 

脳に刺激を与えて活性化させる

「よく咬むのは、ボケ防止になる」

というようなことを聞いたことはないでしょうか。

実際にこのような効果はあります。

 

よく咬むことで大脳への電気信号が伝わりますから、脳に刺激を与えることになります。

脳に刺激を与えて活性化させることは、認知症などの防止に非常に役に立ちます。

 

咬むこと以外にも、手先を動かすことや色々なことを考えることも、同様の効果が期待できます。

高齢者がボケ防止に麻雀などをするとよいと言われるのも、そのような理由です。

 

肥満防止になる

よく咬んで食べると、食べ過ぎを防ぐことが出来るのは感覚的にわかりますよね。

 

早食いをすると、満腹中枢が刺激される前に大量に食べてしまうため、食べ過ぎになり肥満の原因になります。

肥満は何一つ良いことはありません。

 

全ての物事には多面性がある

このように、咬むことは負荷(力)という面では歯にとってデメリットですが、他に様々なメリットがあります。

つまり「咬む」ということは、色々な面があり、見る角度によって見え方が変わってくるということです。

 

このことは、咬むことに限った話ではありません。

あらゆる物事は、メリットしかないものもなければ、デメリットしかないものもありません。

 

例えば病気の様々な治療方法においても、普遍的にベストな方法というのは存在しません。

どんな治療方法にもメリットとデメリットがありますから、様々な角度から見ることで、そのメリットとデメリットを把握する必要があります。

 

ですから、どのような治療方法を選ぶかは、「普遍的なベスト」ではなく「自分にとってのベスト」を決めることが必要です。

そして「自分にとってのベスト」を決める上で必要不可欠なのが

優先順位を決める

ということです。

 

自分にとって

・どんなメリットを享受したいか

・どんなデメリットには目をつむることができるか

ということを、順序だてて明確にすることが必要です。

 

物事を一面だけでなく多面的に見て正確に把握し、自分にとっての優先順位をつけることが、自分にとってのベストな選択をすることに繋がります。

 

まとめ

・硬いものを咬むことは、負荷という意味では歯にとってダメージ。

・咬むということは、様々なメリットもある。

・物事は一面だけでなく、多面的に見る必要がある。

・優先順位を明確にすることで、自分にとってのベストを選択できる。

全てのことにおいて、デメリットがないことはありません。

つまり、リスクがゼロになることはあり得ないのです。

 

硬いものでなくとも、物を咬むという行為はリスクを伴います。

しかし、咬むことによるメリットも多々あります。

結局のところ、バランスが重要です。

 

多くの人は、普遍的な正解を求めたがりますが、そもそもそのようなものは存在しないことがほとんどです。

知識を得て、自分の頭で考えて、自分で結論を出すことが重要です。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。