今回は、歯磨きの時間についてです。
たまには、専門の歯科の話をしようと思います。
結論としては
・歯磨きは、思考を除去するために行う
・寝る前の歯磨きが最も大切
・寝る前の歯磨きは、目安として10分以上
・フロスなどの歯間清掃器具を必ず使う
です。
虫歯や歯周病にならず、口腔内の健康を保つのに最も大切なことは、歯医者に足しげく通うことではありません。
最も大切なことは
毎日ちゃんと歯を磨く
ということです。
そこで今回は、「ちゃんと歯を磨く」ということについて説明していきます。
但し
・残っている歯の本数
・歯並び
・歯垢のつきやすさ
など、人によって状況は違いますから、あくまで一つの目安にしてください。
具体的なことに関しては、歯医者で歯磨き指導を受けてください。
歯磨きの目的

まずは、歯磨きをする目的をしっかり理解する必要があります。
歯磨きの目的は、食べかすを除去することではありません。
歯磨きの目的は
歯垢を除去すること
です。

この白っぽいモヤモヤしているものが、歯垢です。
歯垢は、細菌の塊です。
歯垢を顕微鏡で覗いてみると、こんな感じです。

うねうねしているのは、全て細菌です。
虫歯や歯周病の主な原因は、この歯垢です。
そして歯垢を除去するには、歯ブラシなどによって機械的に清掃しなくては除去できません。
ゴシゴシこすらなくては、取れないということです。
うがいでは歯垢を除去することはできません。
つまり
歯垢を除去することが、歯磨きの目的
ということです。
寝る前の歯磨きが最も重要

歯垢は、食べたら付着し始めます。
ですから、基本は「食べたら磨く」です。
ただし、1日の中で言えば、寝る前の歯磨きが最も重要になります。
これは
口の中の環境は、寝ている間が一番悪い
ということが理由です。
寝ている間は、唾液の分泌量が減少します。
唾液は口の中の湿潤を保ってくれるだけでなく、抗菌作用もあります。
寝ている間は、唾液の分泌量が減少することで
・口の中が乾燥状態になる
・抗菌作用が低下する
ということが起こるのです。
言ってみれば、寝ている間は細菌にとっては絶好の時間帯なわけです。
ですから
寝る前にしっかり磨いて、歯垢を除去しきることが重要
ということになります。
一般的には、夜の歯磨きが最も大切ということですね。
朝と昼にしっかり磨いても、夜ご飯を食べた後磨かないで寝てしまったりすると、ほぼ意味がなくなってしまいます。
逆に、もし朝と昼にさぼってしまっても、夜しっかり磨けていれば1日の中ではフォローは効きます。
また、夜にしっかり磨いても、それから寝るまでの間に飲食してしまうと意味がなくなってしまいます。
その場合は、もう一度磨く必要があります。
(但し、お茶や水など糖が全く入っていないものであれば、大丈夫です。)
寝る前の歯磨きは10分以上

では1日の中で最も大切な寝る前の歯磨きは、どのくらい磨けば良いのかと言えば、「歯磨きは3分」と言われますが、実際には3分では全く足りていません。
一つの目安としては
寝る前の歯磨きは10分以上
となります。
(ほとんどの歯が残っている人の目安です。)
なぜ10分なのかという理由を説明します。
歯科医師や歯科衛生士は、患者さんの歯を歯医者の機械を使わず、歯ブラシなどで歯磨きをすることがよくあります。
これを「術者磨き」と言います。
もちろん、名前は覚えなくて大丈夫です。

こんな感じで歯磨きをします。
実はこの術者磨きは、自分自身の歯磨きをするよりも非常に簡単です。
自分自身の歯磨きよりも、他の人の歯磨きをする方がやりやすいということです。
なぜかと言えば、「見えるから」です。
自分の口の中は、鏡で見ても見えないところがたくさんあります。
しかし、他人の歯磨きをする際は、全てを見て磨いているのです。
とてもアドバンテージの大きい状況で、磨いているわけです。
そして歯科医師や歯科衛生士は、見れば歯垢がついているかどうかは、わかります。
「ここに歯垢がついているな。」
歯ブラシなどで、ゴシゴシ。
目で見てキレイになったことを確認して
「よし、次にいこう。」
というように、キレイになったことを確認しながら磨いていくことが出来るのです。
そのように磨いていって、全体をキレイにするまでに、10分以上かかることがほとんどです。
つまり
・歯科医師や歯科衛生士という専門家が
・見て磨くという非常にアドバンテージの大きい状況で
・しっかりキレイに磨くと
・10分以上かかる
ということなのです。
ということは、普通に自分の歯磨きをしてキレイにするには、最低でも10分以上はかかる可能性が高いですよね。
3分でキレイに磨けるのは、もはや達人です。
歯間清掃器具を使う

歯磨きをする上で、もう一つ重要なことが
歯間清掃器具を使う
ということです。
歯と歯の間を磨く道具も使いましょう、ということです。
具体的には、フロス

歯間ブラシ

があります。
実は、歯ブラシだけで磨けるのは、歯の表面積全体の60~80%程度と言われています。
20~40%程度は、歯ブラシでは磨けないのです。
これは磨き方の問題ではなく、構造的に磨くことが不可能なのです。
歯と歯の間には、歯ブラシの毛先は届きませんからね。
ですから、歯間清掃器具は
〇 使わなくてはいけない
× 使った方が良い
ということになります。
フロスと歯間ブラシのどちらを優先するべきか
ということについては口腔内の状況によりますが、
基本的にはフロスを使うのをベースとして、歯間ブラシも必要な人は歯間ブラシも併用するのが好ましいです。
データで言うと、フロスよりも歯間ブラシの方が歯垢除去率は高いとされています。
しかし、実際にはフロスの方が汎用性は高いです。
しっかり上手に使うことが出来れば、フロスの方が守備範囲も広いのでお勧めです。
フロスを使うコツとしては
〇 歯の側面に沿わせて、しっかりこする。
× 歯と歯の間に通す。
といった感じです。
ただ、フロスの上手な使い方を言葉だけで伝えるのは難しいので、一度歯医者でフロスの使い方などの指導を受けるのをお勧めします。
歯磨き粉・洗口剤は使わなくても良い

よく聞かれるのが、歯磨き粉や洗口剤です。
結論は
歯磨き粉や洗口剤は、使う必要はない
です。
使うことを否定するわけではありませんが、歯垢の除去という点においては、効果はありません。

まとめ

・歯磨きは歯垢を除去するために行う。
・寝る前の歯磨きが、最も大切。
・寝る前の歯磨きは、最低10分は必要。
・歯間清掃器具を必ず使う。
「歯ブラシの硬さは何が良い?」と聞かれることがよくあります。
硬さは「ふつう」か「やわらかめ」がお勧めです。
「かため」だと毛先がしならないので、細かいところに入っていかないのです。
詳しいことは、歯医者で歯磨き指導を受けることをお勧めしますが、時間をかけないとキレイになることはありません。
1~2分程度しか磨いていないのに
やり方が悪いのかな。良いやり方教えて。
という人がいますが、磨き方を習得してもそんな短時間しか磨かないのであれば、キレイにできることはありません。
歯磨きは、言ってみれば「歯の掃除」です。
しっかりキレイに掃除をする基本は
時間をかけて、丁寧にやること
ですよね。
歯磨きもそれと同じです。
方法論の前に、まず時間をしっかりかけて磨くことが前提になります。
今日から夜は最低10分頑張ってみてください。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。