今回は、非課税制度である「NISA」と「iDeCo」についてです。
結論から言うと
資産形成のために
・つみたてNISAは、誰もが使うべき
・iDeCoは、使った方が良い人とそうでない人に分かれる
となります。
NISAとiDeCoは、国が用意した投資優遇制度です。
通常であれば、投資で得た運用益に対しては、20.315%の税金の税金がかかります。
しかし、NISAやiDeCoといった非課税制度であれば、その20.315%の税金が非課税になります。
利益が、そのまま全て手元に残るということです。
国からすれば、国民に投資をすることを推めているわけです。
個人投資家の立場からすれば、運用益が非課税になるのですから、利用するべき制度なのは間違いありません。
ただし、NISAもiDeCoも各々特徴がありますから、しっかりと理解する必要があります。
勧められているから何となく利用するのではなく、自分の頭で考えて判断しましょう。
思考停止は絶対にダメです。
適切な選択は、人によって違うはずですからね。
それでは、NISAとiDeCoについて説明していきます。
NISAとは

NISAとは「少額投資非課税制度」という投資制度の通称です。
NISAは、国が一人に一つずつ用意した証券口座のようなもので、20歳以上であれば誰でも利用することができます。
普通の証券口座と比べると制限もありますが、その分「運用益非課税」というメリットがあります。
NISAは2つに分けられます。
・一般NISA
・つみたてNISA
(現在はジュニアNISAというのもありますが、2023年に廃止されます。)
両方とも利用することはできず、一般NISAかつみたてNISAのどちらかを選んで利用することになります。
それぞれ特徴がありますから、しっかり理解して自分の投資目的などに合った方を選ぶ必要がありますね。
一般NISA
一般NISAは2023年で現行の制度が終わり、2024年からは新しい制度に変わります。

5年間の非課税期間というのは、2021年にNISA枠で買った株などの利益は、2025年までは運用益が非課税ということです。
イメージしやすいように、表で見てみましょう。

2021年に買った分は2025年まで、2022年に買った分は2026年まで、というように5年間の非課税期間があります。
2024年からは新一般NISAになり、現状だと最後に一般NISAで買える年は2028年になります。(今後また延長される可能性はありますが。)
現状のルールでは、2021年から始めればトータルで
120万円×3年+122万円×5年=970万円
を一般NISAで運用できるということになります。
現在の一般NISAから新一般NISAへの変更点は、2階建てになるということです。
1階部分が20万円で、2階部分が102万円となります。
1階部分は、つみたてNISAと同様の投資信託のみ購入可能で、長期積み立て投資に適しているもののみになります。
2階部分は、従来の一般NISAの120万円枠と同様に、個別株なども含めて大体何でも購入可能になっています。
大まかに言えば
一般NISAは、短中期的な投資に向いている
と言えますね。
つみたてNISA
人によって投資目的や投資スタイルは違いますが、確実な資産形成を目的とした場合に、ほとんどの人に対してお勧めなのが「つみたてNISA」です。
つみたてNISAと一般NISAの違いは以下のようになります。

非課税投資金額は、仮に売却しても復活しません。
これは一般NISAもつみたてNISAも同様です。
例えば、一般NISAにおいて50万円購入した銘柄が100万円になって売却したとします。
この場合、売却しても50万円分の枠は戻ってくることはありません。
ですから、売却しても残りは70万円(72万円)となります。
つみたてNISAは、1年に投資できる金額が40万円までと一般NISAよりも少ない分、非課税期間が20年と非常に長いのが特徴です。
つまり
つみたてNISAは、長期投資に向いている
ということになります。
年間40万円ですから、月々にすると33,333円を積み立てていくイメージですね。
毎月最大33,333円の、長期積み立て投資というわけです。

2021年から始めれば、2042年まで22年ですから
40万円×22年=880万円
をつみたてNISAで運用できるということになります。
一般NISAに比べると、金額は小さくなりますが、何といっても20年間の非課税期間というのは魅力的です。
過去200年などを遡っても、S&P500は15年以上の長期投資で、マイナスになったことはありません。

かつ20年という長期であれば、複利の効果を享受することができます。

このようにつみたてNISAは、長期積み立て投資で確実に資産形成を成功させるためには、とても適した制度なのです。
iDeCoとは

iDeCoは個人型確定拠出年金」という制度の通称です。
簡単に言えば、「私的年金」です。
国が運営している年金(国民年金・厚生年金)は公的年金ですね。
それに対してiDeCoは、毎月自分で積み立てて自分で運用して、自分で年金を準備する私的年金です。
つみたてNISAと同様に、毎月積み立てていく長期積み立て投資方式になっています。

これだけだとただの投資と同じですが、iDeCoは税制優遇制度です。
運用益が非課税なのはNISAと同じですが、iDeCoは他にも様々な特徴があります。
正直、NISAよりもややこしい制度です。
iDeCoの特徴は以下の通りです。
・掛け金が税金の控除になる
・掛け金の上限は職業によって異なる
・加入は20歳以上60歳未満で、60歳になるまで解約できない
・受け取り時に税金がかかる
・手数料がかかる
掛け金が税金の控除になる
iDeCo最大のメリットです。
節税効果があるということです。
経費扱いになるようなイメージですね。
税金は「課税所得」に税率がかかります。
課税所得 = 給与 ― 控除
となります。
つまり
税金額
=課税所得 × 税率
=(給与 ― 控除)× 税率
となるわけです。
iDeCoの掛け金は、この控除に加算されるため、節税になるということです。
掛け金の上限は職業によって異なる
NISAの場合は、誰もが同じ上限額でしたが、iDeCoは職業によって異なります。

加入は20~60歳で、60歳になるまで解約できない
iDecoは個人型の年金なので、加入できる年齢は20歳以上60歳未満です。
基本的には公的年金と同じですね。
積み立てて運用したお金は、60歳以降に受け取ることができます。
というよりも、60歳になるまでは引き出すことも解約することもできません。
これはiDeCo最大のデメリットです。
もし何かあって、どうしてもお金が必要になっても、iDeCoに入れているお金は60歳になるまで引き出すことができないわけです。
ちなみにNISAは、好きな時に引き出すことができます。
受け取り時に税金がかかる
運用益は非課税なのですが、60歳になって積み立ててきたお金を自分の預金口座に移す時に税金がかかります。
これもiDeCoのデメリットですね。
運用益は非課税でも、最後に課税されるなんて、なんか騙された感ありますよね。
ただし、受け取るときは、退職金扱いとして受け取れますので税金的に優遇はされます。
しかし会社から貰う退職金と時期が重なる場合は、合算になりメリットが薄れてしまうので注意が必要です。
手数料がかかる
もう一つでメリットがあります。
それが手数料です。
金融機関にもよりますが、多くの金融機関における手数料はだいたい以下の通りです。
口座開設手数料 2829円(初回のみ)
口座維持手数料 171円(毎月)
受取時手数料 440円(振り込み毎)
特別法人税 現在は凍結していて0です。
このように手数料がかかります。
掛け金が少額すぎると手数料負けする可能性もあり得ます。
また特別法人税は現在凍結していて2023年3月までの凍結は決定しています。
しかし仮に復活してしまうと、iDeco口座の資産全額に年率1.173%の税金がかかってきますのでかなりiDecoのメリットが薄れてしまいます。
iDeCoの注意点

長期積み立て投資で資産形成をする上で、つみたてNISAは間違いなく利用するべき制度ですが、iDeCoは考える必要があります。
iDeCoはNISAに比べてメリットは大きいのですが、デメリットも大きいのです。

NISAは節税にはなりませんが、資金拘束はなく好きなときに引き出せて引き出す時に税金はかかりません。
何か起こってお金が必要になった時に、iDeCo口座にはお金があるのに引き出せず借金するなんてことになったら、元も子もありませんよね。
そう考えると、資産に余裕がない人はiDeCoに適していませんね。
また、そもそもiDeCoの節税効果は所得税率が高い人でないと、恩恵が小さくなってしまいます。
つまり収入の高い人でないと、あまりメリットがないということになります。
まとめると資産に余裕がなくて収入が高くない人は、iDeCoにあまり適していないということになります。
つみたてNISAに満額投資してもまだ投資資金があって、資産に余裕があり収入が高い人がiDeCoに適しているわけです。

iDeCoを始める際は、よく考えて慎重に検討してください。
まずはつみたてNISAから始めることを、お勧めします。
まとめ

・非課税制度として、NISAとiDeCoがある
・長期積み立て投資による資産形成には、つみたてNISAが最適
・iDeCoはメリットも大きい分、デメリットも大きい
・つみたてNISAを満額いれても、まだ余裕がある人はiDeCoを検討する
NISAやiDeCoといった制度を国が用意して投資を推奨しているのは
国は、国民の老後の面倒を見ることはできません。
非課税優遇制度を作るから、自分で老後資金を作るように。
自分の面倒は自分で見てください。
というメッセージの裏返しでもあります。
なかなか厳しい現実ではありますが、嘆いたり文句を言っていても始まりません。
しっかり学んで行動しましょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。