今回は、睡眠不足と肥満の関係についてです。
結論は
睡眠不足は、肥満になりやすい
です。
肥満は、生活習慣病をはじめとしたあらゆる病気の原因になります。
肥満こそが、現代の病気の根源だと言っても過言ではないでしょう。
肥満の主な原因は、もちろん食事です。
現代の食べ物は昔と異なり、糖質と脂質まみれで栄養がほとんどないハイカロリーなものが溢れています。
そのようなものを毎日3食も食べていれば、肥満になっても何の不思議でもありません。

さらには、移動手段の変化やデスクワークの増加などによる運動量の減少も、肥満に繋がっています。
しかし実は、食事と運動だけでなく、睡眠不足も肥満の原因になっていることが分かっています。
以下のグラフは、肥満の人の割合と睡眠時間の相関関係を表したものです。

時代による食生活の変化なども含まれていますので、睡眠時間のみが肥満の原因というわけではありませんが、きれいに逆相関をしています。
疫学的にも、睡眠不足の人は肥満になりやすいことが認められています。
さらには、肥満と睡眠時間の相関は大人に限った話ではありません。
① 睡眠時間が10時間半以下の3歳児
② 睡眠時間が12時間以上の3歳児
これらを比べると、7歳までに肥満になるリスクが①は②より45%高い
ということもわかっています。
睡眠不足が肥満を引き起こす原因としては
・食欲が増進して、食べる量が増えてしまう
・ジャンクフードなどを食べる傾向が強くなってしまう
・ダイエットしても、脂肪が落ちにくくなる
ということが、科学的にわかっています。
それでは、睡眠不足と肥満の関係について説明していきます。
食欲を増進させる

睡眠不足は、食欲を増進させてしまいます。
人間は、食欲をコントロールするためのホルモンを2つ持っています。
「レプチン」と「グレリン」がその2つです。
それぞれのホルモンは
レプチン 食欲を抑制する
グレリン 食欲を増進する
という役割があります。
レプチンが食欲のブレーキで、グレリンが食欲のアクセルということです。
睡眠不足になると、レプチンとグレリンの量は変化し
レプチン(食欲抑制:ブレーキ)は減少する↓
グレリン(食欲増進:アクセル)は増加する↑
ということがわかっています。
睡眠不足により、食欲のアクセルは強くなり、食欲のブレーキは弱くなるのです。
その結果、食欲が増進してしまいます。
このことを裏付ける実験を1つ紹介します。
<目的>
睡眠時間を変えて、食べる量の変化を観察する。
<パート分け>
① 最初の4日間は、8.5時間睡眠をしてもらう。
② その後の4日間は、4.5時間睡眠にしてもらう。
※活動量などは、同じになるように厳重に管理する。
結果は以下の通りです。
①(8.5時間)の4日間に比べ、②(4.5時間)の4日間は、1日あたり平均300kcalも摂取カロリーが多くなった。
また、5~6時間睡眠を10日間続けた場合も、同様になった。
睡眠時間が短くなることによって、摂取カロリーが明らかに増える結果となりました。
しかし
起きている時間が長くなった分、消費カロリーも増えたからでは?
と思われる人もいると思います。
それについては検証がされていて
8時間睡眠の場合(16時間起きている)と、1日中寝なかった場合(24時間起きている)とを比べると、消費カロリーの差は平均147kcal
という結果が出ています。
睡眠不足だと、活動量も減ってしまうため、そんなに消費カロリーに差が出ないのです。
摂取カロリーの増加分と差し引きしても、やはり睡眠不足は肥満に繋がると言えるわけです。
ジャンクフードを欲する

睡眠不足は、食べる量だけでなく、食べ物の内容にも影響してしまいます。
睡眠不足になると
甘いものや炭水化物などを食べる傾向が強くなる
ということがわかっています。
これは、睡眠不足になると、脳の理性を司る部位である前頭前皮質の働きが低下するためと考えられています。
理性が弱くなるため、中毒性のある糖質などに食欲が向いてしまうということですね。

睡眠不足の状態で食事をすると、肥満に繋がるだけでなく、栄養的にも悪影響だということです。
参考に、依存性が高いジャンクフードTOP10を紹介しておきます。
1位 ピザ
2位 チョコレート
3位 ポテトチップス
4位 クッキー
5位 アイスクリーム
6位 ポテトフライ
7位 チーズバーガー
8位 炭酸飲料
9位 ケーキ
10位 チーズ
チョコレートやポテトチップスを抑えての堂々の1位は、なんとピザです。
どれも手軽に食べられるものばかりですね。
手軽で安い食べ物の大半は、ジャンクフードです。
ちなみに、日本人が大好きな白米もジャンクフードの一つです。
白米は健康的な食べ物として、たくさん食べるように親から言われた人は多いでしょうが、完全な間違いです。
白米は、玄米からビタミン・ミネラル・食物繊維・タンパク質などを根こそぎ取り除いたものです。
つまり、玄米から栄養をことごとく取り除いた「糖質の塊」が白米なわけです。
食べるなら白米ではなく、玄米にしましょう。
あと、パンやうどんやパスタや餅なども、全て栄養のないジャンクフードです。
脂肪が減りにくくなる

ここまで見てきたように、睡眠不足だと
・食べる量が増えてしまう
・ジャンクフードのような糖質などを食べる傾向が強くなる
ということが起こるため、肥満のリスクが高くなってしまいます。
さらには、肥満を解消しようとダイエットする場合にも、睡眠不足は悪影響があります。
睡眠不足だと、ダイエットしても脂肪が落ちにくくなる
となってしまうのです。
睡眠不足とダイエットについての実験です。
病院で2週間の厳密なカロリー制限ダイエットを行う。
① 睡眠時間を5.5時間にする
② 睡眠時間を8.5時間にする
結果は以下の通りになりました。
両グループとも同程度体重は減ったが、減り方に違いがあった。
① 減った体重の70%が筋肉だった
② 減った体重の50%以上が脂肪だった
これからわかるように、睡眠不足でダイエットをしても、脂肪はあまり減らずに筋肉がメインで減ってしまうのです。
それではダイエットをしても、健康にプラスにはなりません。
筋肉が落ちてしまうと、基礎代謝が減ってしまうため、リバウンドもしやすくなってしまいます。
つまり、太らないためだけでなく、痩せるためにも睡眠は重要だということです。
まとめ

・睡眠時間と肥満率は、逆相関の関係にある
・睡眠不足だと、食欲が増進してしまう
・睡眠不足だと、ジャンクなどを食べる傾向が強くなってしまう
・睡眠不足でダイエットをしても、脂肪は減らず筋肉が減ってしまう
睡眠不足は肥満のリスクを高めてしまいますが、逆に言えばしっかり睡眠をとるだけで、肥満解消に対して大きく前進するということにもなります。
太っていて、なかなか痩せられない人にとっては、朗報ですよね。
良く寝るだけで、食欲は低下し、かつ脂肪が減少しやすくなるのです。
言ってみれば、何よりも楽で手軽なダイエット方法です。
しかも、良く寝ることには副作用もありませんし、他にも様々なメリットもあります。
やらない手はありません。
ちなみに肥満は、健康だけでなく仕事面でもマイナスがあります。
肥満と年収は、逆相関するというデータもあります。
肥満になればなるほど、収入が減ってしまうということです。
良く寝ましょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。