今回は、株主第一主義についてです。
結論としては
・日本人の給料は30年間、増えていない
・日本でも株主第一主義が強まってきている
・日本の資産が外資に奪われている
・個人としては株主になる以外に手段がない
となります。
一つ質問です。
会社は誰のものでしょうか?
これに対する一般的な正解は
会社は株主のもの
となります。
これは、会社を動かす基になるお金を出しているのは株主だからです。
言ってみれば資本主義のルールのようなものとも言えます。
アメリカなどでは、当然のこととして認識されていることです。
アメリカの会社は
いかに株主に利益を還元するか
ということが責任であり、至上命題です。
十分に株主還元できないCEOなどは、即退任させられるなんてことも珍しくありません。
株主第一主義です。
元々日本においては、このような意識は低い傾向にありましたが、アメリカの影響などによって株主還元が重要視されるようになってきました。
そしてそのことによって、大きな弊害が発生しています。
日本人の給料は上がっていない

これは、世界各国の1997年から20年間の実質賃金の推移です。
一目見て、日本のみが減少しているのがわかると思います。
実質賃金とは
物価の変動も加味した賃金のこと。
それに対して、実際に受け取る賃金のことを名目賃金と言います。
1997年を100とすると2016年の実質賃金は
スウェーデン・・・138.4
フランス・・・・・126.4
ドイツ・・・・・・116.3
アメリカ・・・・・115.3
日本・・・・・・・89.7
となっています。
日本は最下位なだけでなく、唯一減少しているのです。
日本人だけが貧しくなっているということです。
原因はもちろん、長期のデフレです。
日本は平成の30年間、ずっとデフレでした。
いわゆる不景気です。
このような長期のデフレは、世界でも類を見ないものです。
日本は世界で唯一30年間、経済が衰退し続けた国なのです。
そして現在もデフレから脱却できているとは言い難い状況です。
この影響を受けているのが、従業員の賃金です。
日本全体でデフレが続いているため、企業の業績は上がらず従業員の賃金も上がらないどころか、実質賃金で言えば低下しているのです。
しかしこのような状態になっているのは、実はデフレだけが原因ではありません。
主な原因がデフレであるのは間違いありませんが、デフレ以外にも原因があります。
それが「株主第一主義」です。
株主第一主義

このグラフは、資本金10億円以上の日本大企業の売上高、利益、給与、配当金、設備投資などの推移を表した1987年から2017年までのグラフです。
1997年を100としていますから、先程の実質賃金のグラフと同様の期間を比較できます。
1997年を100とすると2017年は
設備投資・・・・・64
従業員給料・・・・93
売上・・・・・・・103
経常利益・・・・・306
配当金・・・・・・573
となっています。
売上はほぼ変わっていません。
従業員の給料と設備投資は減っています。
特に設備投資は大幅に減少しています。
それに対して、経常利益と配当金は大幅に増えています。
配当金は6倍近くになっています。
これはどういうことかというと
従業員の給料と設備投資を減らして、株主還元を増やしている
ということです。
要するに、「株主>>従業員」というわけですから、株主第一主義ですね。
そして設備投資は未来のリターンを得るためのものですから、設備投資を減らすということは、企業の未来の成長や利益を犠牲にしているということです。
つまり、株主第一主義にすることによって、従業員と企業の成長を犠牲にしているということでもあるのです。
外資に資産を奪われている

株主第一主義で株主還元を重要視するということは、従業員や企業の将来にはマイナスでも、投資家にとってはありがたい事でもあります。
そして株主が全員日本人で、株主還元されたお金が日本で流通するのであれば、まだ景気が良くなるのに寄与するかもしれません。
しかし、現実はそうではありません。
日本大企業の株式は、既に30%以上が外資によって保有されています。
そして今後もその割合は増えていくことが確実です。
配当金などの多くが、外資によって奪われていると言えるのです。
つまり
日本人が働いて稼いだ資産が、外資に奪われている
ということです。
そのような状態ですから、日本人の賃金が上がらないのです。
というよりは、外資にお金を流すために従業員の賃金や設備投資を減らして株主第一主義にしているとも考えられます。
さらには2021年の銀行法改正によって、銀行の非上場企業への出資割合の上限が5%から100%まで引き上げられました。
しかもこれには、外資規制がありません。
ですから、外資の銀行が日本の宝である中小企業を買い漁れるということです。
新型コロナ茶番で中小企業を追い込んで、外資が買いたたくという構造です。
日本の政治家は日本を売ろうとしているとしか考えられませんね。
個人としては投資した方が良い

本来的には、企業が挙げた利益を従業員や設備投資にまわしながら、経済をまわして経済成長するのがベストです。
しかし現状において、それは夢物語のようになってしまっています。
少なくとも私たち個人では、どうすることもできません。
ですから、個人としては株主になって利益を得るしかありません。
賃金は増えませんからね。
そして資本主義社会である以上、株主第一主義を全否定することは難しいという現実もあります。
また、投資をすることの効果は、利益を得ることだけではありません。
日本株を買うことは、外資から少しでも日本企業を守ることになります。
外国株を買うことは、外国資本を日本に奪ってくることに繋がります。
どちらの方が効果的なのかは難しいですが、やられっぱなしでは日本が貧しくなる一方です。
日本の経済が衰退しているのは、政府が緊縮財政を行い続けていることが主な原因ですが、日本人が投資をしないで奪われ続けているだけというのも原因の一つです。
自分が豊かになるためだけでなく、日本を守るためにも投資をする必要があります。
まとめ

・日本人の実質賃金は30年間、下がり続けている
・日本の大企業は、賃金と設備投資を減らして配当金を増やしている
・日本人の資産を外資に奪われ続けている
・日本人個人としては、投資をするべき
日本人が投資嫌いで預金信仰が強いことも、日本の経済が衰退している原因の一つだということを認識する必要があります。
今の日本は、人材・企業・土地・水源・技術など、あらゆる資産を外資に奪われています。
食い物にされているのです。
その根底にあるのが、日本人の無知です。
日本が食い物にされているのを知らないのは、日本人だけかもしれません。
様々なことを学んで危機感を持たなくては、日本は沈んでしまいます。
学校でもテレビでも、本当のことは教えてくれません。
自分で学んで考えなくてはならないのです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。