今回は、「ポンジ・スキーム」についてです。
ポンジ・スキームとは、投資詐欺の手法の一つです。
結論としては
・ポンジ・スキームはタコ足配当のため、必ず最後は破綻する
・騙されないためには、相場を知り自分が理解できないものには投資しない
です。
ポンジ・スキームは、今から100年ほど前にアメリカでチャールズ・ポンジという人が編み出した詐欺手法です。
ポンジさんが作ったから、ポンジ・スキームなわけです。
かなり昔に編み出された投資詐欺手法ですが、実は現在までずっと投資詐欺のほとんどがポンジ・スキームによって行われています。
「投資詐欺=ポンジ・スキーム」と言っても過言ではない位です。
100年前から現代まで続いているわけですから、さぞ手の込んだ手法だと思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。
ポンジ・スキームは実にシンプルな方法です。
それでは、ポンジ・スキームとはどのような投資詐欺なのか、そして騙されないためにはどうすれば良いのかについて説明していきます。
ポンジ・スキームとは

ポンジ・スキームの大まかな流れは、以下のようになります。
1.高利回りなどを謳い、出資者を募り、資金を集める。
2.資金の運用は行わない。
3.元本や新たな出資者からの資金を配当や解約金などとして支払う。
4.1~3を繰り返す。
驚くほど単純な仕組みですよね。
見ればわかる通り、この方法は最終的には必ず破綻します。
運用していないため、利益を生んでいませんから、配当金などを支払った分だけ負債が増えていきます。
日本語で言うと、「自転車操業」や「たこ足配当」と言われるようなものです。
このように単純で欠陥だらけのポンジ・スキームですが、非常に多くの人が騙されてきました。
例えば、2008年に明らかになったバーナード・ローレンス・マドフによる史上最大級の投資詐欺も、ポンジ・スキームによるものでした。
この詐欺事件は、1980年代から2008年に逮捕されるまでの間に、総額約650億ドル(約7兆円)を集めたとされている巨額詐欺事件です。
この事件では、多くの投資家だけでなく、金融機関なども大きな被害を受けています。
日本の野村證券も、275億円相当の被害を受けたとされています。
これだけ大きな規模の詐欺がまかり通っていた理由としては、マドフの経歴などによるところが大きいでしょう。
なんとマドフは元ナスダック会長であり、ウォール街では知らない人はいないというような人物だったのです。
多くの人が、「天才投資家」と思っていて、キャリアも申し分ないような人物だったわけです。
方法はポンジ・スキームという幼稚なものだったとしても、それを行う人のキャリアや話術が優れていれば、これだけの詐欺が行えてしまうということです。
そのように考えると詐欺というのは、「どのような方法か」ということよりも、「誰が」「どんな話術で」ということで左右されるのかもしれません。
多くの人が騙される理由

ポンジ・スキームのように単純な手法に、多くの人が騙されてしまう理由は、騙す側の実績や話術だけではありません。
多くの人が騙されてしまう最大の理由は
しばらくの間、配当などが約束通り支払われる
ということにあります。
このことが出資者を信用させるのです。
信用というのは、実績によって積み重ねられていきます。
年率リターン20%
というまず不可能な高利回りであっても、最初の数年約束通り支払われることで、出資者の信用はどんどん積み上げられていきます。
信用が積みあがっていけば、評判が評判を呼び、出資者が雪だるま式に増えていくというわけです。
そしてこのポンジスキームは、出資者が後から増えれば増えるほど、破綻を先延ばしにすることが出来ます。
つまり、どんどん被害者が増えていくということです。
つまりこの手の詐欺というのは、まず最初に出資者にどれだけ良い思いをさせて信用させるかが、カギになるのです。
また、多くの人は「100%破綻する」というような詐欺をすることを想像しにくいということもあります。
ポンジ・スキームは、最終的には100%破綻してばれる手法ですから、普通に考えたら「そんなバカげたことするわけない」と思ってしまうんですよね。
そのような常識の隙を突いた方法とも言えますね。
騙されないためには

では騙されないためには、どうすればいいのでしょうか。
まず第一に
自分のもとに、そんなにおいしい話はやってこない
ということを前提として理解しておきましょう。
しかし、それでも
「今回だけは、友達が言ってるし・・・・本物かも!!」
となってしまうことも多いですよね。
ですから、必ずその案件を
感情ではなく、理屈で判断する
ということをする必要があります。
論理的に考えて、その案件があり得るのかどうかということを判断するということですね。
具体的には
相場を知り、比較する
ということが重要です。
例えば
・元本保証
・年利20%
という案件があったとします。
これは120%詐欺です。
まず元本保証ですが、元本保証の金融商品で代表的なものは、銀行預金や国債などがあります。
それらの日本における金利は、0.001%~0.1%程度です。
これが相場ということです。
元本保証で年利20%というリターンが、以下にありえない数字なのかわかりますよね。
次に年利20%については、S&P500の年利平均は6~7%です。
また、「世界一の投資家」「投資の神様」などと言われるウォーレン・バフェット氏の平均利回りが20%くらいです。
年利20%を継続することは、世界一レベルなわけです。
そしてそのリターンを得るためには、当然ながらリスクをとっていますよね。
年利20%で元本保証などというものが、あり得ないことは簡単にわかりますね。
しかし、相場とかけ離れていない詐欺を仕掛けられることもあるかもしれません。
そこで他に意識するべきこととしては
・伝統的な歴史のある資産に投資する
・中身が自分で理解できないものには投資しない
ということがあります。
ポンジ・スキームは、必ずいつか破綻します。
ですから、長年実績を積み上げてきた投資会社や資産というのは、詐欺である可能性が低くなります。
米国で言えば、バンガード、ブラックロック、ステートストリートなどであれば、安全安心でしょう。
また、ウォーレン・バフェット氏が言うように、自分が理解できないものに投資しないことも重要です。
あくまでも投資というのは、人を信用して投資するのではありません。
自分が理解できて、成長すると思えるものに対して投資をするのです。
ですから個別株だけでなく、投資信託やETFなどにおいても、自分が中身を理解することは重要なのです。
まとめ

・投資詐欺のほとんどは、ポンジ・スキーム。
・ポンジ・スキームは、運用しないたこ足配当。
・しばらくは、約束通り配当などが支払われるため、騙される。
・騙されないために、相場を知り、伝統的で理解できるものに投資する。
いつまでも詐欺がなくならないのは、騙される人がいるからです。
騙されないために出来ることは、勉強して相場を知ること、過去を学ぶこと、自分の頭で考えて理解することです。
結局のところ、自分で学んで考えることが、騙されないためにも最重要なこととなります。
何にでも通じることです。
思考停止は、騙されてカモになるだけです。
思考停止にならず、日々学んで自分の頭で考えましょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。