今回は、「やりたいことをやるために起業することのリスク」についてです。
結論としては
・やりたいことと世の中のニーズが一致しない場合は危険
・やりたいことが続けられなくなる可能性がある
・信念や理想がある人は、特に注意が必要
です。
最近は昔に比べて、起業や副業のハードルが下がりました。
その影響もあってか、色々なインフルエンサーなどが
・やりたいことを見つけて起業しろ
・サラリーマンはオワコンだから、自分でビジネスを作るべき
・やりたくないことはやめて、やりたいことをやるべき
・やりたいことを続けて、成功しました
というようなことをSNSなどで発信しています。
もちろん、起業するのは選択肢の一つになりますし、起業することを否定しているわけでは全くありません。
私自身も起業している側の人間です。
しかし、起業するのであれば
「やりたいことをやるために起業する」ということは、非常にリスクがある
ということを認識しておく必要があります。
これは、ビジネスのセンスなどのことではありません。
やりたいことと、世の中のニーズがマッチしないかもしれない
ということです。
それでは、やりたいことをやるために起業することのリスクについて、説明していきます。
メリットばかりを見るのではなく、デメリットもしっかり直視することが重要です。
ニーズを満たさなければ対価は得られない

世の中は、需要と供給のバランスで成り立っています。
私たちが生きている資本主義社会では、需要に対して供給をすることで、対価としてのお金を得ることが出来ます。
「需要=ニーズ」と言えますから、ニーズを満たすことでお金を稼ぐことが出来るわけです。
つまり
ビジネスということは、世の中のニーズを満たすモノやサービスを提供する
ということなのです。
ニーズが存在しないものをいくら提供しても、お金を稼げることはありません。
どれだけ高品質なものを作っても、誰も欲しくないものであれば売れませんからね。
このことは、資本主義社会において原理原則であり、ルールです。
このように考えれば
ビジネスは、世の中のニーズを探し当てる作業
とも言えるのです。
このことをしっかり考えていくと、「やりたいことで起業する」というのは、「稼げるパターン」と「稼げないorやりたいことをできないパターン」があることがわかります。
やりたいことで稼げるパターン

結果としてうまくいくかは別として、やりたいことで起業してビジネスとして成り立つためには、「やりたいこと」と「世の中のニーズ」が重なることが前提となります。

このような感じです。
重なった部分こそが、やりたいことが出来て、そして稼げるチャンスがあるところです。
もちろん、2つの円が完全に重なっていれば理想的ではありますが、少なくとも重なる部分があれば十分勝負になります。
やりたいことでは稼げないパターン

やりたいことでは稼げないパターンは、「やりたいこと」と「世の中のニーズ」に重なりがない場合です。

このような場合です。
自分のやりたいことは、世の中にニーズが存在しないわけです。
自分がやりたいことがどれだけ立派で正しいことだったとしても、世の中にニーズがなければ稼ぐことはできないため、ビジネスとしては成り立ちません。
このようになってしまった場合、ビジネスとして成立させるには、「やりたいこと」を「世の中のニーズ」に寄せていくしかありません。

やりたいことを変化させるわけですね。
しかし変化させてしまったら、それは「やりたいこと」ではなくなってしまっている可能性が高いですよね。
逆のニーズをやりたいことに寄せるのは、一般的にはほぼ不可能です。
メディアなどのように莫大な影響力を持っていれば、世の中のニーズを変化させることはできるかもしれませんが、個人レベルではかなり難しいですよね。
個人がニーズを変化させることは、相当の時間をかけて少しずつ出来るかどうか、といったところでしょう。
そして、そこまでたどり着くまでの長い期間の中で、起業した際の資金は底をついてしまう可能性が圧倒的に高いのではないでしょうか。
全くニーズがないということはあまりないかもしれませんが、非常に少ないということは多々あります。
一つ例を出してみます。
「誰もが本当の意味での健康を手に入れて欲しい」と考えている医師がいるとします。
患者が来院しても、本当に必要がなければ安易に薬は処方せず
・食事
・運動
・睡眠
など生活習慣を改善して、免疫力を上げるように診察を終わります。
また、風邪に対しても薬を処方せず
「風邪くらいで病院に来るよりも、水分を摂って、良く寝ることが大切」
と伝えて終わります。
このような医師は、本来的に正しいことをしています。
医者はこうあるべきです。
しかし残念ながら、このような医師の世の中のニーズは少ないのです。
あろうことか
あそこは薬も出してくれないヤブ医者
などと言われるのです。
やりたいことと、ニーズがマッチしていないわけです。
このように、世の中のニーズというものは、必ずしも適切ではありません。
というよりは、本質的な正しさを追求した場合、ニーズはその正しさを満たさない場合の方が圧倒的に多いです。
そしてお金という利益をだすビジネスというものは、ニーズが適切であろうとなかろうと、それに合わせて供給することで成り立つものなのです。
全く良いことだとは思いませんが、それが資本主義のルールだということです。
やりたいことをやるためには

起業して稼ぐことが目的であれば、世の中のニーズを探すことに注力するのみです。
簡単なことではありませんが、やることは明確です。
しかし、それがわかっていても「やりたいこと」と「世の中のニーズ」をマッチさせることが出来ない人たちもいます。
それは
自分の信念や理想などを貫こうとする人
です。
先程、例に出した医師のような人ですね。
患者のニーズは「とりあえず薬を出して楽にしてくれ」なわけですが、それは本来的な健康ではないために、わかっていてもやらないわけです。
自分の医療に対する信念を貫いているのですね。
しかし、本来的には医療として適切なことをしているにも拘らず、このようなことを続けていれば、患者は来なくなってしまうかもしれません。
つまり
ニーズにマッチしない「やりたいこと」を続けるには、稼ぐことを諦めなくてはならない可能性がある
ということです。
生活が出来なくなってしまいますよね。
生活できないのは困りますから、稼げなくても生活ができるようになる必要があります。
要するに
ニーズにマッチしない信念を貫くには、経済的自由が必要
ということになるのです。
言ってみれば、資本主義のルールで勝ち切る必要があるということですね。
やりたいことよりも得意なこと

このように、「やりたいこと」と「世の中のニーズ」がマッチしない場合、「やりたいこと」で起業するのは危険です。
そのような場合、やりたいことを貫いて続けるためには
1.経済的自由を手に入れる
2.やりたいことで起業をする
という順序で進めるのも、一つの選択肢です。
この場合、まず経済的自由を手に入れるためには、「やりたいこと」よりも「得意なこと」で勝負した方が良いです。
お金を十分に作ってから、「やりたいこと」をやるのも一つです。
経済的に困窮してしまえば、やりたいことは続けられません。
経済的自由を達成することは、簡単ではありませんが、急がば回れという考え方もあります。
まとめ

・「やりたいこと」と世の中のニーズが乖離している場合は、危険
・信念や理念を貫く人は、難しい場合が多い
・まず経済的自由を手に入れて、やりたいことをやるのも一つの選択肢
残酷な真実ですが、結局お金を持っていないと、自分の信念を貫くことも難しい場合も多々あるのです。
成功者たちの言葉はキラキラしていますが、妄信はせずにしっかりと考えることが必要です。
もちろん成功した人たちの言葉はウソではありませんし、彼らは誰よりも努力したからこそ、成功したのです。
しかし、前提として「ニーズを満たしたから成功した」ということも忘れてはいけません。
やりたいことがニーズにマッチするようであれば、どんどん挑戦する価値はあります。
しかし、そうではない時には、しっかりとした準備が必要だということですね。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。