今回は、「民間保険」についてです。
結論としては
ほとんどの民間保険は損をするだけなので、加入するべきではない
となります。
日本人は世界でも屈指の保険大好き民族です。
安心を得るために様々な保険に加入している結果、保険貧乏になってしまっている人も少なくないでしょう。
多くの人は保険に加入して「安心」を買っているつもりでしょうが、残念ながらその「安心」が何なのかを明確に定義できる人はほとんどいません。
・その保険はどのような場合に適用され、どのような場合は適用されないか
・保険に加入することで、具体的にどのような恩恵があるか
・貯蓄と比べてコストパフォーマンスは優れているのか
・利回りはどの程度か
・発生確率はどの程度か
自分の加入している保険について、このようなことを明確に答えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。
つまり保険に加入しているほとんどの人は
・自分が保険に求める「安心」が何なのか理解していない
・保険が本当に必要なのか、しっかり検討していない
ということです。
端的に言えば
保険に入っておけば安心
と何の根拠もない思考停止で、何となく保険に加入しているわけです。
しかし、一つ一つの保険に対して様々なことをすべて考えて検討する必要なありません。
なぜなら冒頭で書いた通り、ほとんどの民間保険は損するだけで不要だからです。
(わずかですが必要な保険もあるので、後で説明します。)
ほとんどの民間保険が損するだけで不要だということは、保険の役割と構造を理解することで誰にでもわかります。
それでは、保険の役割や構造についてや民間保険が不要な理由について説明していきます。
公的保険と民間保険

まず、保険は大きく2つに分けることができます。
「公的保険(社会保険)」と「民間保険」です。

公的保険(社会保険)は国が運営するものですから、日本人は加入が義務付けられています。
加入しないという選択肢はなく、強制加入です。
年々上がる社会保険料は、この社会保険を運営するために私たち国民から徴収しているものです。
社会保険料や強制加入という言葉から、社会保険に良いイメージがない人もいるかもしれませんが、社会保険は日本人への非常に強力なセーフティーネットになっています。
特に医療保険は「奇跡の制度」とも言われ、世界を見てもこれほど恵まれた制度はないと言われています。
日本の医療は
・いつでも受けられる
・どこの病院にも行ける
・誰でも受けられる
・安価
・質が高い
という圧倒的に恵まれたもので、間違いなく世界一の環境です。
このような恩恵を受けられるのも、社会保険のお陰なわけです。
それに対して民間保険は、個人的に保険会社と契約して加入するものです。
つまり任意加入です。
加入するもしないも、自分次第ということですね。
社会保険と民間保険の決定的な差は、運営者の違いです。
社会保険は国家が運営し、国民のセーフティーネットとして機能することを目的としています。
それに対して民間保険は民間企業(保険会社)が運営し、当然ながら企業の利益を出すことを目的としています。
保険の役割と構造

では、保険の役割と構造を見ていきましょう。
もしもの時の備え
とよく言いますが、それだとあまりにざっくりしすぎています。
そもそも保険は、「相互扶助」という概念で作られています。
お互い助け合う、という意味です。
保険のシステムは、以下のようになります。

1.多くの人から少しずつのお金を集める。
2.集めたお金は、大きな金額になる。
3.大変なことが起こってしまった少数の人に、大きな金額を支払う。
少額の保険料の支払いにもかかわらず大きな金額を受け取れるのは、「もしもの時」が少数の人にしか起こらないからです。
誰にでも起こるものであれば、保険ではなく貯蓄しておいた方がよっぽどいいですからね。
つまり保険というのは本質的には
発生確率は低いが、発生したら大変なことになってしまうことに備える
というものなのです。
若いうちに亡くなったら、大きなお金がもらえる生命保険などがそうですね。
若いうちに亡くなる確率は低いですが、亡くなってしまうと残された家族の生活が成り立たなくなってしまいます。
ですから自分が死亡してしまった時の家族の生活を守るために、多くの人が少しずつのお金を出して、もしもの時に備えるのです。
このような保険は、保険としての機能を果たしていると言えます。
民間保険は負けゲーム

民間保険に加入するべきでない理由は、公的保険と民間保険を比べてみると一目瞭然です。
公的保険は、以下のようになっています。

医療や介護や年金などは、保障を受け取る人が少数ではありません。
年金に至っては、65歳になれば全員が受給することになります。
ですから、そもそも公的保険も本質的な保険の構造から逸脱してしまっています。
となれば、当然集めた保険料だけでは資金は足りません。
しかし、公的保険(社会保険)は国のセーフティーネットですから維持する必要があります。
そのため、足りない分は税金を投入しているというわけです。
民間保険は、以下のようになります。

若くして亡くなった時の生命保険や自動車保険や火災保険などを除くと、民間保険も公的保険と同様に、受け取る人数が少数とは言えない設計になってしまっています。
この時点で、保険の本質的な機能は果たせていません。
様々な民間医療保険は最たる例です。
さらに民間保険は公的保険とは違い、加入者から集めた保険料から保険会社が多額の手数料を持っていきます。
この手数料が保険会社の利益や社員の給料、広告費や立派な社ビルに変わるのです。
民間企業の活動ですから利益を得るのは当然ですが、保険という機能は損なわれます。
要するに
~公的保険~
支払われるお金 = 集めた保険料 + 追加の税金
~民間保険~
支払われるお金 = 集めた保険料 ー 保険会社の取り分
となるということです。
これだけ見ても、民間保険が割に合わないもので、トータル損することが確実であることが分かると思います。
少しの得をする人もいるかもしれませんが、基本的には加入した時点で損をする「マイナスサムゲーム」なのです。
保険会社の社員の高い給料・豪華で立派な本社ビル・お金をかけたCMなどを考えれば、どれだけのお金が手数料として持っていかれているか想像できますよね。
加入した方が良い民間保険

このようにほとんどの民間保険は、構造上割に合いません。
損をするだけです。
しかし損をしたとしても、入っておいた方が良い民間保険もわずかですが存在します。
それが以下の3つです。
・小さい子どもがいる場合などの、生命保険(死亡保障)
・車で事故を起こした時の対人・対物の保険
・火事を起こしてしまった時の火災保険
どれも発生確率は非常に低いですが、もし起こしてしまって保険に入っていなければ、どうしようもなくなってしまう類のものです。
保険本来の役割を果たすものということですね。
このように、保険本来の役割を果たすものは加入する価値があります。
しかし逆に言えば、民間保険の中で保険本来の役割を果たすのは、このくらいしかないということです。
保険会社は利益をあげるために、あれやこれやと本来必要のない保険商品を作っては売りつけているわけです。
まとめ

・保険は、発生確率は低いが、起こったら大変なことになることに備えるもの。
・民間保険は保険会社に手数料を取られるので、加入したら損をする。
・加入を検討するべき民間保険は、わずかしかない。
誰もが、社会保険料を支払って社会保険に加入しています。
民間保険に入らなくても、保険に対して相当のお金を支払っているのです。
そして、公的保険である社会保険と民間保険を比べると、利用者の立場から見れば圧倒的に社会保険の方が優秀です。
公的保険は将来が心配ですから、民間保険に加入した方が良い
というような保険営業マンのトークに騙されてはダメですよ。
もし仮に社会保険が成り立たないようであれば、民間保険などさらにひどいことになるのは確実なのです。
いらない保険は今すぐ解約することをお勧めします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。