教育・子育て

【発達障害】二次障害は防げる

【発達障害】二次障害は防げる

今回は、発達障害における「二次障害」についてです。

 

結論としては

・二次障害は、負のスパイラルから生じる

・二次障害は防ぐことができる

・防ぐために最も重要なのは、親の理解

・本人自身の自覚と理解も必要

・夢中になれることを見つけられる環境づくりが大切

です。

 

二次障害とは

発達障害などが原因で、周りから理解を得られない環境により、心理的に傷ついたり精神的不調をきたして、日常生活に支障をきたすこと

を言います。

 

発達障害と言われる人たちは、その行動などを周囲に理解してもらえず精神的な葛藤に晒されたり、心の傷を負ってしまうことが多くあります。

その結果として二次障害に陥ってしまうのです。

 

二次障害は、大きく分けて「内在化障害」と「外在化障害」があります。

<内在化障害>

・不安障害

・抑うつ

・強迫性障害

・対人恐怖症

・心身症

・依存症

・引きこもり

・摂食障害

・睡眠障害

<外在性障害>

・反抗

・暴力

・家出

・非行

・反社会的行動

などがあると言われています。

 

要するに、社会的に生活していく上でマイナスになってしまう様々なことが起こり得るということです。

二次障害は大人になって出てくることが多いですが、子どもの頃から現れることもあるようです。

 

このように非常に厄介な二次障害ですが、決して必ず陥ってしまう類のものではありません。

むしろ周囲の人たちや本人が、発達障害に対しての正しい理解があれば起こらないものです。

逆に言えば

二次障害は、発達障害に対する無知や偏見が作り上げている

とも言えるのです。

 

二次障害に陥らないためには

・親をはじめとした周囲の人の理解

・本人の自覚や理解

・環境づくり

が大切になります。

 

それでは、二次障害で苦しむ人を作らないために、どのように考えれば良いのか説明していきます。

 

発達障害とは

発達障害は

生まれつきの脳の働きの偏り

です。

 

代表的な発達障害として

・ASD(自閉スペクトラム)

・ADHD(注意欠如・多動性障害)

・LD(学習障害)

があります。

 

発達障害全般の特徴として

・能力に偏りがある

・生まれながらに備わっている

ということがあります。

 

例えば、以下が発達障害がない人の能力レーダーだとします。

一般的な能力

それに対して発達障害がある人の能力レーダーは、以下のようなイメージです。

ADHDの能力

凹凸が激しいですよね。

発達障害の人たちは、発達障害がない人たちと比べて、決して劣っているわけではありません。

生まれつき偏りがあるだけなのです。

 

つまり、発達障害の人たちは

他の人より不得手な分野がある反面、突出して得意な部分がある

という特徴があるわけです。

 

みんなが出来ることが出来ない分、みんなが出来ないことが出来る

ということです。

 

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発達障害の原因は、生まれつきの脳機能の発達に偏りによるもので遺伝が大きく関与していると言われていますが、完全には解明されていません。

 

負のスパイラルと二次障害

二次障害を作り上げてしまうのは、負のスパイラルです。

 

発達障害の人は、得意不得意が顕著で偏りがあるだけにも拘らず、子どものころから

・できない子

・聞き分けのない子

・何を考えているか、わからない子

と言うように判断され、異物扱いされてしまうことがよくあります。

 

その結果として

ADHD負のスパイラル

1.周りと同じことができない・問題行動を起こす。

2.親や教師など、周りの大人に怒られたり責められたりする。

3.子どもの自己肯定感は低下し、大人への反抗心を募らせる。

4.親や教師など、周りの大人はイラついたり落ち込んだりする。

5.子どもは大人の反応により、ストレスを感じ、居場所がないと感じる。

というような負のスパイラルに、はまり込みます。

 

ここで大きな問題になるのは

・自己肯定感の低下

・社会との隔絶

です。

そして、このような状態が続くことにより、心は傷つき精神的な不調が出やすくなってしまいます。

「二次障害」です。

 

つまり、二次障害にならないように防ぐためには、この負のスパイラルを断ち切らなくてはならないのです。

では、どのようにして負のスパイラルを断ち切れば良いのでしょうか。

 

発達障害の人は、生まれながらに能力の偏りがあります。

ここで大切なのは

出来ないことや不得意なことは、怠惰や努力不足からくるものではない

ということです。

 

例えば、元々スポーツが苦手好きではなく、勉強が得意で好きな子がいたとします。

その子に勉強をさせずにスポーツをひたすらさせて、みんなと同じようにできることを要求するのは、おかしいですよね。

発達障害の得手不得手は、それと似たようなものか、それ以上のものなのです。

 

つまり、発達障害の人に周りと同じことを要求すること自体がおかしなことなのです。

ですから、負のスパイラルを断ち切るための方法はたった一つです。

それは

親を始めとした周りの大人が、特性を認めて受け入れる

ということです。

当たり前かつシンプルなことです。

 

そしてそのためには

親などの大人が、発達障害について正しく理解する

ということが必須なのは、言うまでもありませんね。

 

周囲の理解

発達障害の人が、負のスパイラルにはまって、二次障害に陥らないためには、周囲の人が理解して受け入れることが必要不可欠です。

特に、子どもの頃の親の対応が非常に大きな影響を及ぼします。

当たり前のことですよね。

大部分が親次第です。

しかし、最も理解して認めてあげなくてはならない親が受け入れられないことが多いのです。

 

「自分の子どもが発達障害という異常なわけがない!!」

「他の子と同じようにできるはずだ!!」

というような反応をする親が多いのですが、そもそも異常ではありませんし、他の子と同じことが出来なくても問題ありません。

他の子が出来ないことが出来るのです。

 

確かに苦手なこともありますが、それと同時に非常に秀でていることもあるのです。

「できないこと」や「苦手なこと」にばかり目を向けてはいけません。

「できること」や「得意なこと」こそ、見てあげなくてはいけないのです。

 

親の役割は、自分の常識を子どもに押し付けることではありません。

子どもの個性を受け入れて、尊重して評価してあげることです。

子どもを本当の意味で守れるのは、親しかいません。

 

親が理解して受け入れることさえすれば、子どもは安心して自己肯定感を育むことが出来ます。

しかし逆に、認めてもらえないことばかりでは、自己肯定感を失い苦しい思いをさせてしまうのは確実です。

 

社会全体で見れば、発達障害に対する理解はまだまだ足りていません。

少なくとも親だけでも、真っ当に理解をして受け入れてあげてください。

 

また学校の教師などが発達障害に対して理解していないケースも多くみられますよね。

はっきり言って、教師として失格です。

教育のプロなのに、勉強不足にもほどがあります。

 

本人の自覚・理解

親をはじめとした周囲の人の理解は必要ですが、それと同様に本人の自覚・理解も必要になります。

仮に親などが理解して認めていても、同級生などはそうもいかないことが多いのです。

 

・同級生から「おかしい」「できない」というレッテルを貼られる

・自分も同級生と比べて、「できない」ことを感じてしまう

ということが起こり得ます。

 

しかし、繰り返しになりますが、発達障害は劣っているわけではなく偏りがあるだけです。

本人がそのことを自覚し

偏りがあることは、短所以上に長所もある

ということを自覚する必要があります。

本人に、自分の短所や苦手ではなく、長所や得意に目を向けさせることが本当に大切です。

 

短所や苦手ばかりに目が行ってしまうと、どうしても自己肯定感が低くなってしまいます。

しかし、他の人よりも秀でているところを自覚することで、短所や苦手が気にならなくなっていきます。

一つのストロングポイントは、多数のウィークポイントを消してもなお余る影響があります。

 

そして、それを自覚させられるように導けるのは、言うまでもなく親です。

 

環境を整える

発達障害の人が、自己肯定感を高めて自信をもって生きていくためには

・好きなことや得意なことをやる

・嫌いなことや苦手なことは、できるだけ避ける

ということが重要です。

 

夢中になれて没頭できるものを見つけることが、何よりも大切なのです。

そのようなものを見つけるためには、様々なものを見せたり経験させたりする必要があります。

また、嫌いなことや苦手なことから距離を置いたり、逃げさせてあげることも重要です。

 

要するに

短所を補うのではなく、長所を伸ばす

という機会を与え続けるのです。

当然ですが、親の役割です。

 

好きなことや得意なことであれば、どんどん伸びていくでしょうから、自己肯定感も育っていきます。

わざわざ苦しみながら、嫌いなことや苦手なことばかり頑張る必要などないのです。

 

このことを親を始めとした周囲の大人たちが理解すれば、二次障害になるリスクは圧倒的に低くなるはずです。

 

まとめ

・二次障害は、親などの大人が理解しないことからの負のスパイラルが原因

・親を始めとした周りの人が理解して受け入れれば、二次障害は防げる

・偏りがあることを本人が自覚することも必要

・得意や好きにアプローチして、苦手や嫌いは可能な限り避ける

二次障害も含め、発達障害の人が苦しむことになってしまう最大の要因は、親が理解せず受け入れないことです。

子どもの頃に、親から否定され続けてしまえば、自己肯定感が低くなるのは当たり前です。

 

そのような対応をする親が

子どものことを思って、教育している

と思っていることが最大の問題です。

 

確実に違いますよね。

自分の考えを押し付けているだけです。

本当に子どものことを思うのであれば、自分の考えを押し付けるのではなく、子どもの個性を理解し受け入れようとするはずです。

 

理解を示してくれない親に育てられた子どもが大人になって親になったら、同じことをしてしまう可能性が高くなります。

負の連鎖です。

 

負の連鎖を断ち切るためには、まず発達障害について正しい知識を得ることからスタートしなくてはなりません。

 

大人になっても、とにかく日々勉強です。

自分の知識や常識を過信するのはやめましょう。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。