社会

自己肯定より自己否定が楽

自己肯定より自己否定が楽

今回は、自己肯定と自己否定についてです。

 

結論としては

・「自分を好きになる」は人によっては難しく、精神的にきつい

・自分を受け入れることがベスト

・自己否定ができるようになれば楽になり、自分を受け入れやすくなる

です。

 

「自分が自分を好きにならなくて、誰が自分を好きになるの?」

「自分が自分を好きにならなくては、誰も自分を好きになってくれない」

というような言葉は、よく自己啓発本などで言われています。

 

この根底にあるのは「自己肯定感」です。

自己肯定感を高めるためには、自分を好きになることが必要だという図式です。

 

確かに自己肯定感が重要だということは、様々な研究でわかっています。

とは言え

「自己肯定感を上げる=自分を好きになる必要がある」

という流れは、非常に疑問を感じます。

ちょっと安直すぎます。

 

自分のことを好きになれる人もいるでしょう。

ナルシストの人なんかは簡単なのかもしれません。

しかし、「自分を好きになる」というのは、そんなに簡単なものではありません。

特に思慮深い人や真面目な人などにとっては、かなり難しいものです。

そのような人にとってみれば、「自分を好きになろう」と言われても、しっくりこないのではないでしょうか。

 

そこで今回は、なぜ自分を好きになることが難しいのか、そしてどうすれば良いのかについて説明していきます。

 

自己肯定は難しい

まず思慮深い人や真面目な人たちにとって「自分を好きになる」ということが、難しくてハードルが高い理由を理解する必要があります。

それは

自分の欠点・嫌いな所と向き合ってしまうから

です。

 

楽観的な人は、そのような所に気付かなかったり、スルーすることが出来るかもしれません。

しかし真面目に思慮深く考える人は、自分の欠点や嫌いな所を認識して、見過ごすことが出来ない人が多いと思います。

自分の欠点や嫌いな所と、正面から向き合ってしまうわけです。

 

欠点や嫌いな所をひっくるめて自分ですから、「自分を好きになる」というのは、そのような所も好きにならなくてはいけないということになります。

少なくとも、思慮深くて真面目な人は、そのように捉える傾向があるでしょう。

もちろん自分の欠点や嫌いな所ですから、好きになれません。

嫌いなわけですからね。

 

そのような意味では、「自分のことを好きになる」ということは土台無理な話なのです。

それを自己啓発本などでは、自分を好きになることが絶対唯一解のように主張するため、自分を好きになれない人たちは苦しむことになるわけです。

 

はっきり言ってしまえば、そのような人たちが無理に自分を好きになろうとすることは、精神的にも追い込まれるだけで、デメリットでしかありません。

好きになろうとするほど、自分の欠点や嫌いな所と向き合わなくてはいけなくなりますからね。

 

無理に自分を好きにならなくても良いのです。

自分を好きにならなくてはいけない、というのは洗脳みたいなものです。

さっさと忘れましょう。

 

そのまま受け入れる

とは言え、自分の欠点や嫌いな所を見てばかりだと、精神的にも参ってしまうかもしれません。

ですから

自分をそのまま受け入れる

ということが大切になります。

「自分をそのまま受け入れる」というのは、そのままの自分を好きになるということではありません。

好きや嫌いではなくニュートラルに受け入れるということです。

 

例えば、最愛の人がいたとします。

自分の命よりも大切な人です。

何があっても一生一緒にいたいと思うような人です。

そのような人がいたとして、その人の全てが最高に好きなのかと言えば、そんなことはありませんよね。

好きなところもあれば、好きでなかったり嫌いな所も少しはあるはずです。

それでも、全体として見た場合に好きな方がはるかに大きいということですよね。

 

最愛の人ですら、嫌いな所があるわけですから、他の人であれば嫌いな所なんてたくさんあります。

仲の良い友人でも好きな所だけでなく、嫌いな所もあるわけです。

そして、それが普通のことです。

誰もが自分以外の人をそのような目で見ているのです。

 

ところが自分のことになると、このような見方が出来ない人が多いです。

他人への見方を自分に適用すれば相当楽になるのですが、自分自身に対しては潔癖すぎる人が多いのです。

自分のことは、嫌いな所・欠点ありきで見れないわけですね。

 

これは恐らく

自分は他人より価値のある人間だ(でありたい)

という意識がどこかにあるからではないかと思います。

 

この意識を無くしてしまえば、圧倒的に楽になります。

自分を特別視するのではなく、自分もどこにでもいる人の中の一人であることを自覚すれば良いのです。

実際に、世の中に替えが効かない特別な人などいません。

(家族などの関係性は別です。)

アップルのジョブスですら、彼の死後もアップルが成長を続けたことを考えると、必要不可欠だったわけではないのです。

 

あえて自分を好きになろうとするのではなく、背伸びをしない自分をそのまま受け入れれば、それは自己肯定感にも繋がるはずです。

 

自己否定できれば楽になる

とは言え、自分が特別ではないことを認め、そのまま受け入れるのは難しいと感じるかもしれません。

そこでお勧めなのが、「自己否定」です。

 

もちろん、自分の全てを否定するということではありません。

自分の欠点や嫌いな所や上手くいっていない事のベースになる、これまで積み上げてきたものを否定するのです。

通常、自己否定は怖いように思えますから、自分の積み上げてきたものは正当化して守ろうとしてしまうんですよね。

 

例えば、何かの資格を取ろうと5年間勉強してきたとします。

しかしその資格が時代的にもマッチしておらず、自分にも必要ないものだったと気づいたとしても、それを人はなかなか認められません。

何かしら理由をつけて、自分のやってきたことを正当化しようとしてしまいます。

 

「5年も頑張ったのに、無意味だったなんて認められない」

というわけです。

非常にもったいない考え方です。

そうではなく

「5年で無意味なことに気付けて良かった」

と考えれば良いのです。

そうすれば、次のスタートも切れて前を向けます。

何だかんだとこじつけて、その5年間に意味を持たせようとする必要なんてないのです。

自分に嘘をつくことになって、余計苦しくなります。

 

人生なんてものは、無駄なことの集合体でもあります。

無駄なことがあったり、それを否定したところで死ぬわけでもありません。

自分の過去や経験を否定していいと思えれば、固執するものが無くなりますから、とても楽になります。

 

そのような意味では、自己肯定感を高めるためには、自己否定をすることが大きな力になるわけです。

 

まとめ

まとめ

・「自分を好きになる」は難しい

・自分をそのまま受け入れればいい

・自己否定をすることで楽になる

 

今回説明した方法は、あくまでも選択肢の一つです。

どのようなゴールに向かうにしても、正解は一つではありませんし、人によって向いている正解は違います。

 

ですから自己啓発本などを読むときには、「正解を知る」という感覚ではなくて、「考え方の一つを知る」というスタンスで挑んだ方が良いです。

どんなことに関しても、自分が一番しっくりくるやり方が良いと思います。

気楽にいきましょう。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。