今回は、お金の不安についての話です。
結論としては
・資産額が大きくなってもお金の不安が消えるわけではない
・「収入>支出」の状態を作ることが、お金の不安を無くす唯一の方法
となります。
「将来にどんな不安があるか」という様々なアンケート調査において
1位 お金
2位 健康
という2トップは、ほとんどの場合において定位置です。
多くの人が、将来の老後資金などのお金問題に対して不安を抱えているわけです。
「年金2000万円不足問題」のときにも大騒ぎになりましたよね。
不安があるのであればその不安を解消する手段を講じればいいのですが、多くの人はそれができずにいます。
ではなぜ、多くの人はお金の不安を解消できずにいるのでしょうか。
それはもちろん、不安を解消するために効果的なアプローチをしていないからです。
そして効果的なアプローチができないのは、その不安の内容を分析して理解していないからです。
不安を解消するためには
不安な理由を明確に把握する
ということが必要不可欠です。
理由を把握したうえで、適切なアプローチをしなくてはなりません。
それでは、なぜ多くの人がお金に対して不安なのか、そしてどのようにすればその不安を解消できるのかについて説明していきます。
なぜお金の不安があるのか考える

老後生活において、生きていくためのお金が足りるかわからない
というのが、将来に対するお金の不安ですよね。
仮にお金を貯めたとしても、その貯めたお金が枯渇してしまうかもしれない不安があるわけです。
このことに関しては、誰もが認識していると思います。
では、お金が足りるかわからないということに対する解決案として
1.老後に対しての必要資産額を明確にする
2.その必要資産額を貯める
というステップをクリアすることができれば、不安を解消することができますよね。
このように解決策を仮定したら、それが可能かを検証します。
1の「老後に対しての必要資産額を明確にする」ということに関してですが、残念ながらこれは不可能です。
なぜなら
自分が何歳まで生きるかわからないから
ですね。
寿命が何歳なのかは誰にもわかりません。
必要資産額 = 年間生活費 × 年数
となりますが、毎年必要な生活費に関しては想定できても、必要年数は想定できないのです。
90歳までの予定で資産を作っていたら100歳まで生きた、なんてこともあり得ます。
長生きは本来喜ばしいことですが、長生きすればするほど経済的に困窮する可能性もあるわけです。
「長生きリスク」なんて言われる所以ですね。
つまり
1.老後に対しての必要資産額を明確にする
2.その必要資産額を貯める
という方法で、将来のお金の不安を解消することはできないということです。
ここまでをまとめると
・必要資産額はわからない
・その中でお金が足りなくならない状態にする
ということをクリアしなくてはならないわけです。
資産の増加では不安を解消できない

次の解決案としては
必要年数を絶対安全圏で考える
というものです。
例えば極論140歳まで生きることを想定するようなことです。
これなら絶対的に、準備した資産は実際に必要な金額を上回ります。
つまり、資産が枯渇することはあり得ないということです。
この方法なら大丈夫そうですね。
しかし、この方法には一つ問題があります。
それは
人は資産の減少に不安を感じる
ということです。
少し想像してみてください。
必死に働いて貯めた貯金が、毎年毎年減っていきます。
去年よりも今年の方が残高は減っています。
来年は今年よりも、さらに残高は減少します。
まだ十分に余裕はあっても使った分だけ減ってしまいますから、なかなか思い切ってお金を使いにくくなってしまいます。
そうなると人は
・お金を可能な限り減らさないように、使わない努力をする
・その結果、娯楽や趣味などにもお金を使わなくなる
となる傾向があります。
これは、プロスペクト理論の「損失回避性」や「参照点依存性」で説明することができます。

簡単に言えば、人は失うことに対して非常にネガティブな思考になるということです。
ですから、絶対安全圏と思われる資産を用意できたとしても
・お金の不安は無くならない
・使うことをためらって、人生を楽しみにくい
ということになってしまう傾向にあるのです。
「収入>支出」をデザインする

ここまで見てきたことから、将来的にお金の不安を無くすためには
・資産が減少していかない
・何歳まで生きても生活費に困らない
という条件が必要なことがわかります。
しかも、必要金額は正確にわかりません。
これらをクリアする方法は、実はいたってシンプルです。
資産の減少が不安につながるわけですから、資産が増加していけば不安を感じなくて済みます。
資産があったとしても家計が毎月赤字であれば将来は不安ですが、毎月黒字であれば将来的にも経済的不安はありませんよね。
そして毎月黒字であれば、何歳まで生きても経済的に全く問題ありません。
つまり
収入>支出
を維持できる状態を作れれば、お金の不安は消えます。
老後の収入としては
・労働収入
・資産収入
・年金
の3つがあります。
いつまでも働けるわけではありませんから、老後においては基本的に「資産収入」と「年金」が主な収入源になりますね。
資産収入とは、資産が生み出す収入のことです。
例えば、不動産の家賃収入や株式の利益・配当金や預金の利子などです。
ここで重要なことは
資産を取り崩していくのではなく、資産が生み出す「資産収入」を使う
ということです。
つまり
資産収入+年金 > 支出
となればよいわけです。
そうすれば資産が減少していくこともありませんね。
働ける間は労働収入は、ボーナス的扱いにできます。
資産収入を株式や債券への投資からとして、4%ルールを考えると
資産収入 = 資産額 × 4%
となります。

まとめると
資産額 × 4% + 年金 > 支出
となればよく
資産額 > (支出 ー 年金) × 25
となります。
毎月の支出額は自分で設定して、年金額は計算したり調べたりすることで算出できます。
この式を満たす資産額を運用しながら達成することで
・何歳まで生きても老後にお金が尽きることはない
・基本的には資産が減少していかない
という状況を作ることができ、将来のお金の不安を消すことが可能になるということです。
まとめ

・多くの人が将来のお金の不安を抱えていて解消できていない
・資産額を増やすだけでは不安は消えない
・「収入>支出」をデザインすることが、唯一お金の不安を消す方法
当たり前と言えば当たり前の結論ですよね。
過去・現在・未来とずっと黒字であれば、お金の不安など存在しようもありません。
「収入>支出」にするために必要な資産額を把握した後は、その資産額に到達できるのか、そして到達するためにはどうすれば良いのかを考えることになります。
どうやってもその資産額に到達できないようであれば、それは支出額の想定を変える必要があるわけですね。
また、可能であれば資産収入を生み出すための資産以外に、「何かの時の予備」という役割の現金をある程度保有しておけるとさらに良しです。
人生にはどんなイベントがあるかわかりませんからね。
そこまで準備すれば、「収入ー支出」で余ったお金は好きなように使い切ってしまって問題ありません。
人生楽しまなきゃ損です。
但し今回の話は、あくまで将来のお金の不安を解消することに主眼を置いた話です。
将来よりも現在に比重を置いてお金を使う人もいると思います。
どのように考えるかは人それぞれの価値観なので、自分に合ったスタイルを模索してみてください。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。