健康・医療

睡眠不足だとキレやすくなる

睡眠不足だとキレやすくなる

今回は、「睡眠不足と感情の制御」についてです。

 

結論は

・睡眠不足だと、感情が制御できず、精神的に安定しない

・睡眠不足は、自殺やいじめ、依存症、精神疾患のリスクが高まる

となります。

 

・寝不足のとき、イライラしてしまった

・睡眠を十分とった後は、気持ち的に余裕がある

このような経験はがある人は、多いのではないでしょうか。

 

事実、睡眠と感情のコントロールは密接な関係があります。

睡眠不足によって、感情のコントロールが難しくなってしまうことがわかっています。

そして、その結果として様々な弊害が生じてしまうのです。

 

それでは、睡眠不足と感情のコントロールの関係について説明していきます。

 

脳と怒り

まずは、人間の脳がどのようにして怒りの感情を生じさせたり、コントロールしているのかについて説明していきます。

 

怒りに密接にかかわる脳の部位として

・扁桃体

・前頭前野(前頭前皮質)

の2つの部位があります。

 

1つ目の扁桃体は、脳の中心部にある大脳辺縁系の中に存在する、アーモンド(扁桃)型の神経細胞の集まりです。

脳の構造 扁桃体

扁桃体は、情動反応の処理と記憶についての役割を担っていて、緊張や不安や恐怖などに反応します。

心理面では、自分の思うようにならないことなどがあると、怒りを生じるようになります。

つまり

扁桃体が活性化する = 怒りなどの感情が発生する

ということです。

 

2つ目の前頭前野(前頭前皮質)は、前頭葉の前側に存在します。

脳の構造 前頭葉

前頭前野(前頭前皮質)は、霊長類で人類が最も発達して、合理性・論理性・意思決定を司る部位です。

理性を司る部位だということです。

脳の発達は後ろから前に進みますから、理性を司る前頭前野の発達が完了するのは遅く、20代になってからです。

思春期などに、非合理的な行動をすることが多いのは、まだ前頭前野が発達し終わっていないからです。

 

この前頭前野は扁桃体と繋がっていて、扁桃体の働きを制御する役割を担っています。

前頭前野の働きにより、怒りなどの感情をコントロールする

ということです。

 

つまり、扁桃体と前頭前野は繋がっていて

扁桃体は、怒りなどの感情のアクセル

前頭前皮質は、怒りなどの感情のブレーキ

という役割を担っているということです。

 

睡眠不足と怒り

睡眠不足と怒りの感情を調べた実験をひとつ紹介します。

実験の内容は、以下の通りです。

2つのグループに分ける。

① 一晩中起きているグループ

② 夜しっかり8時間睡眠をとったグループ

 

この両者にネガティブな写真を見せて、怒りの感情の感じ具合を扁桃体の反応によって比較する。

 

結果は以下の通りです。

しっかり睡眠をとった②に比べて、一晩中起きていた①は

・扁桃体の反応が、60%増加した。

・扁桃体と前頭前皮質の繋がりが、弱まった。

・前頭前皮質の活動が、低下した。

怒りに対するブレーキの効きが弱くなり、アクセルが暴走した状態になってしまったのです。

 

ちなみに、慢性的な睡眠不足でも同じような結果になります。

5時間睡眠を5日間続けると、一晩中起きていた時と、扁桃体と前頭前野は同じ反応を示した。

ということがわかっているのです。

 

つまり、睡眠不足によって

感情のアクセル ↑

感情のブレーキ ↓

となるわけです。

ですから

睡眠不足は、怒ったりキレたりしやすくなってしまう

と言えます。

 

また、当然ながら制御できなくなってしまうのは怒りだけではありません。

睡眠不足になると、感情のアクセルが暴走してブレーキが弱まりますから、感情が大きく揺れやすくなってしまいます。

感情が、ポジティブ・ニュートラル・ネガティブの間を、激しく行き来してしまうのです。

感情が安定しないということです。

 

感情が安定しない状況というのは精神的にはリスクが高い状態で、精神疾患のリスクが上がってしまいます。

 

睡眠不足と自殺・いじめ・依存症

睡眠不足は、合理性・論理性・意思決定などのいわゆる「理性」を司る前頭前野の働きが低下してしまいます。

それにより、怒りなどの感情が大きく揺れやすくなるだけでなく、様々な弊害が生じてしまいます。

 

代表的なところでは

・自殺、自殺未遂をする確率が上がる。

・暴力性、いじめ、問題行動を起こす確率が上がる。

・ドラッグやアルコールへの依存症になる確率が上がる。

ということが分かっています。

 

日本において、残念ながら20代と30代の死因第一位は「自殺」です。

このような国は、日本と韓国しかありません。

様々な要因が絡んでいますが、睡眠不足も一つの要因であることは、間違いありません。

 

これらの様々な問題は、いくつもの要因が重なり合って起こってしまうものです。

それらの要因の中には、自分の力では変えられないものがあるのも事実です。

しかし睡眠不足は、自分で解消することが可能です。

やるべきことは

良く寝る

ということだけです。

 

自分や周りの人を守るためにも、睡眠をしっかりとることは非常に重要だということです。

 

睡眠不足と精神疾患

睡眠不足は、精神疾患のリスクにも大きな影響があります。

 

毎日十分な睡眠をとっている人は

・うつ病

・統合失調症

・双極性障害

・PTSD

などを発症することが、ほとんどないということがわかっています。

また、これらの精神疾患が発症してしまった場合にも、睡眠の質・量・規則正しさを向上させると症状が改善されることもわかっています。

 

精神疾患の改善のためには運動も重要ですが、睡眠も重要なのです。

しかし、このようなことがわかっているにも拘らず、睡眠の指導をする精神科の医師はほとんどいません。

しっかりと運動指導をする医師すら少ないのです。

ひたすら薬を大量に処方し続けることがほとんどです。

そして薬の量は、時間の経過とともにどんどん増えていきます。

 

そもそも精神疾患に対して薬は、根本的解決にはつながりません。

根本的な解決のためには、睡眠や運動の改善は必要不可欠です。

 

現在の医療の多くは、このように根本的解決に向かっていないことだらけなのです。

医療に頼るのではなく、自分で出来ることは自分でやらなくてはいけません。

睡眠をしっかりとるということは、自分で出来ることですからね。

 

まとめ

・扁桃体は、怒りなど感情のアクセルの役割を果たす

・前頭前野は、理性を司り感情のブレーキの役割を果たす

・睡眠不足により、扁桃体は活性化し、前頭前野の働きは低下する

・睡眠不足により、自殺、いじめ、依存症、精神疾患のリスクが高まる

睡眠不足になると、人間の最大の武器である理性的な判断能力が弱くなってしまうということです。

何よりも恐ろしいのは、徹夜した時などのように長時間寝ない時だけにそれが起こるわけではなく、慢性的な睡眠不足でも起こることです。

しかも、慢性的な睡眠不足の期間が長くなるほど、程度はひどくなっていきます。

 

身体的にも精神的にも、健康を保つために大切なことは、病院を受診することではありません。

多くの医師は、患者の健康よりも利益を優先します。

また、仮に患者のことを真摯に考えてくれる医師に巡り合ったとしても、やはり医師には健康を保つことはできません。

特に西洋医学は、そもそも健康を保つような力はありません。

 

健康を保つために最も重要なことは、食事・運動・睡眠などをはじめとした生活習慣です。

しかし、食事・運動・睡眠どれを見ても、現代人は健康を捨てるような生活をしてしまっています。

心身の健康は、何よりも価値がある財産です。

毎日の生活を少しずつでも改善していきましょう。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。