今回は、「個人投資家の持つ最強の武器」と「個人投資家の必勝法」についてです。
結論としては
・個人投資家の持つ最強の武器は「時間」
・個人投資家の必勝戦略は「buy & hold」
・個人投資家にとってのミスは、無駄な売買すべて
となります。
投資家を大きく分けると
・機関投資家(プロ投資家)
・個人投資家(アマチュア投資家)
この2つに分けられます。
ほとんどの投資家は、アマチュアである個人投資家ですよね。
投資に限らず、どんな分野でもプロとアマチュアの差は歴然です。
ですから、基本的にプロとアマチュアが競い合うことはありません。
プロはプロ同士、アマチュアはアマチュア同士で勝負するのが通常です。
しかし、投資はプロとアマチュアが同じ市場で売買を行います。
そうなると必然的に、個人投資家は機関投資家にとって絶好のカモです。
ネギを背負ったカモなわけです。

現に、個人投資家の9割は負けていると言われています。
そのように考えると
投資は搾取されるだけだから、やらない方が良い
となりそうですが、そんなことはありません。
個人投資家は、機関投資家が持っていない最強の武器を持っています。
その最強の武器を使うことで、個人投資家はほぼ確実に勝つことができるのです。
それに対して機関投資家には、個人投資家にはない制約が存在します。
ハンディキャップを背負っているようなものです。
では、個人投資家の最強の武器と必勝法や機関投資家の制約などについて説明していきます。
機関投資家の制約

多くのプロである機関投資家には、基本的に厳しい制約があります。
その制約とは
・集まった資金を運用しなくてはならない
・コンスタントに利益を出さなくてはならない
ということです。
2つとも当たり前のように感じるかもしれませんが、実はこれらは投資をする上で非常に重い足かせになります。
そもそも機関投資家というのは、個人投資家などの顧客から資金を集めて、集まった莫大な資金を運用して利益を顧客に還元しています。

投資信託会社、ヘッジファンド、保険会社、GPIF(年金基金)などが機関投資家にあたります。
その機関投資家の中で、実際に運用しているプロを「ファンドマネージャー」と言います。
顧客がファンドマネージャーに求めることは
・自分の代わりに運用してくれること
・その上で利益を出すこと
です。
これを満たせなければ、そもそもファンドマネージャーに資金を預ける意味がありませんからね。
ですからファンドマネージャーは
運用して利益を出すこと
が至上命題なのです。
ちなみに一般的には四半期2回連続でマイナスだと、ファンドマネージャーは更迭だそうですよ。
しかし、相場には波があります。
上昇相場のときもあれば、下落相場のときも暴落している時もあります。
攻め時もあれば、その反対に守るべき時もあり、そんな時はむやみに動かず現金比率を高めておいた方が良いこともあるわけです。
しかしプロ投資家の多くは、常に運用しながら短期的にも長期的にも利益を出すことを求められるのです。
完全に逆風で、動くべきではないという判断をしたとしても、何かしらを買ったり売ったりしなくてはなりません。
しかも、他のプロの運用結果と比べられてしまうわけですから、相当厳しい環境だと言えますね。
個人投資家の武器

個人投資家の武器は、基本的にはプロの投資家の制約の逆になります。
・運用しなくてもいい
・短期的に利益を出さなくてもいい
これも当たり前のように思えるかもしれませんが、これらは大きな武器になります。
個人投資家は機関投資家と違い、買い時でないと思えば現金で保有しておいても問題ありません。
買わない自由もあるのです。
また、短期的に損失を出してしまっても、ホールドし続けて将来的に値上がりして利益が出るのをじっと待つこともできます。
トータルして長期的に利益が出ればいいのですからね。
つまり
個人投資家は「時間」という最強の武器を持っている
ということです。
そのため「長期積み立て投資」のように、短期的には含み損を出したとしても長期的には利益を出せる戦略をとることができます。
この「時間」という武器は複利の威力も享受できますし、最強の武器になります。
この点において、個人投資家は機関投資家に比べて圧倒的に有利な条件で投資することができると言えるのです。
個人投資家はミスしなければ勝てる

このように、個人投資家には「時間」という最強の武器があり、プロの投資家には非常に厳しい制約があります。
ほとんどのプロ投資家は、この制約があるために長期的に見たら市場平均に勝てません。
逆に個人投資家は、インデックスファンドへの長期投資によって市場平均のリターンを得れば、ほぼ確実に勝つことができます。
ある種の明確な必勝法が既にわかっているのです。
にも拘らず、現実は個人投資家の9割が負けていると言われています。
これは、個人投資家がミスを重ねているから負けてしまっているのです。
名著『敗者のゲーム』の中で著者のチャールズ・エリス氏は、個人投資家はミスをしなければ投資を成功させることができると言っています。

同氏は投資がミスをしなければ成功できるものであることから、素人のテニスと同じ「敗者のゲーム」だと言っています。
テニスの試合を想像してみてください。
テニスの試合と言っても、プロの試合と素人の試合では全く性質が違います。
プロの試合は、相手が取れないところに球を打ち込み、点を勝ち取るゲームです。
つまり勝者になるために競うゲームですから、「勝者のゲーム」と言えます。
それに対して素人の試合は、ほとんどはどちらかのミスで点が入ります。
つまりミスをしないようにすることで敗者にならないように競うゲームなので、「敗者のゲーム」と言えます。
そして投資においても同様のことが言えると、チャールズ・エリス氏は著書の中で述べています。
個人投資家が参加するべきは、「勝者のゲーム」ではなく「敗者のゲーム」なのです。
つまりミスをしなければいいのです。

では、個人投資家にとってのミスとは何でしょうか。
個人投資家にとってのミスとは
売買を繰り返すこと
です。
多くの個人投資家が侵しているミスとは、利益を出そうと株などを売ったり買ったりすること自体なのです。
もちろんこれは、株などを一切買ってはいけないということではありません。
基本的には
買ったら売らずに、ずっと保有する
ということです。
「Buy & Hold」です。
端的に言えば
定期的にインデックスファンドに積み立てる以外のことはやるべきではない
というわけです。
そして周りの情報や流行りなどに踊らされて、元々買うと決めているもの以外を買ってもいけないということです。
つまり投資においては、多くの個人投資家が良かれと思ってやっていることはミスでしかないということなのですね。
これらのことを裏付ける調査結果を二つ紹介します。
ネット証券会社のフィデリティによる調査(2003~2013)
最も投資成績が良かった人がどんな人か調査した結果です。
1位 亡くなっている人
2位 投資していることを忘れていた人
何もしないで放置していた人が、結果が最も良かったということですね。
つまりはミスを一切しなかった人が、最も勝ったということです。
世界最大規模の資産運用会社のバンガードによる調査
ただ機械的に積み立てをしていった時と比べて、タイミングを計って売買を繰り返したりした場合はリターンが平均年率1.5%下がってしまう
この結果からも売ったり買ったりするよりも、買ってずっと保有する方が良い結果になることがわかりますね。
このように個人投資にとってのミスとは、無駄に売買することなのです。
ミスしないようにするには、定期的購入以外は何もしなければいいわけです。
ちなみにプロの投資家は、「勝者のゲーム」に参加しています。
先程説明した制約があるからですね。
参加せざるを得ない、と言った方が正確かもしれませんね。
同じ土俵で戦わない

投資において
プロ投資家は、「勝者のゲーム」に参加せざるを得ない
個人投資家は、「敗者のゲーム」に参加できる
というわけです。
相手を打ち負かさなければならない「勝者のゲーム」に比べて、ミスしなければ勝てる「敗者のゲーム」は難易度が圧倒的に低いですよね。
にも拘らず、多くの個人投資家が「勝者のゲーム」に参加してしまっています。
その結果が、「個人投資家の9割が負けている」という事実なのです。
個人投資家が勝者のゲームに参加すると、相手はプロ投資家になります。
プロ投資家を打ち負かさなければならないわけです。
「素人vsプロ」です。
結果は明らかですよね。
ですから、個人投資家は間違ってもプロ投資家と同じ土俵で戦ってはいけないのです。
それこそカモにされるだけです。
勝者のゲームはプロ投資家に任せて、個人投資家は敗者のゲームを愚直に続けるべきだということなのです。
まとめ

・個人投資家には時間という最強の武器がある
・個人投資家が参加すべきは、ミスしなければ勝てる「敗者のゲーム」
・個人投資家にとって、売買を繰り返すことこそがミス
・間違ってもプロ投資家と同じ土俵で戦ってはいけない
・「Buy & Hold」こそが、個人投資家の必勝法
つまるところ、個人投資家がやるべきことは
1.投資目的を決める
2.リスク許容度を把握する
3.投資目的とリスク許容度に合ったアセットアロケーションを策定する
4.優良インデックスファンドに長期的に積み立てる
5.定期的にリバランスする
6.4,5を愚直に続ける
これだけです。
時間という武器を存分に使う
ということが何より重要なわけですね。
そして、ミスをせずに淡々と優良インデックスファンドへの長期積み立て投資を行うことこそ、個人投資家の必勝法なわけです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。