健康・医療

糖尿病の真犯人はインスリン?

糖尿病の真犯人はインスリン

今回は、糖尿病の悪循環の原因についてです。

 

結論としては

高インスリン血症が、糖尿病の悪循環を引き起こす

となります。

もう少しかみ砕くと

インスリンがたくさん分泌されることで、糖尿病が悪化する

ということです。

 

「血糖値を下げるインスリンが、血糖値が高くなる糖尿病を悪化させているなんて矛盾している」と思う人も多いと思います。

しかし論理だてて考えていくと、高インスリンこそが糖尿病の悪循環を引き起こしていることが分かってきます。

インスリンがたくさん分泌されている状態の高インスリン血症こそが、糖尿病悪化の主な原因なのです。

 

但し、インスリンが存在しない方が良いと言っているわけではありません。

インスリンは、血糖値を下げられる唯一のホルモンですから、人間が生きていく上では絶対に必要不可欠です。

そのような重要なインスリンが、なぜ糖尿病悪化の原因になってしまうのか、説明していきます。

 

なお、糖尿病の基本については以下の記事で説明していますので、参考にしてください。

糖尿病ってどんな病気?
糖尿病ってどんな病気?糖尿病は、インスリンが正常に働かなくことによる糖代謝異常です。糖代謝以上の結果として、血糖値が高くなってしまうのです。ですから、血糖値を下げることを目的とした治療によって、糖尿病が改善しないのは明白なのです。...

 

インスリンの働き

まずはインスリンの働きについて確認しておきましょう。

インスリンとは

糖代謝を調節し、血糖値を一定に保つ

という膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンです。

血糖値を上げるホルモンは多数ありますが、血糖値を下げることができるホルモンはインスリンのみです。

 

次に、糖代謝の流れは以下のようになります。

糖質を食べて血糖値上昇

①食事から糖質を摂取する

②胃や腸で糖質がブドウ糖に分解される

③小腸でブドウ糖は血管へ吸収され、血液に乗って全身に運ばれる

④血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上昇する

糖代謝でのインスリンの働き

⑤膵臓のβ細胞からインスリンが分泌される

⑥インスリンの働きによって血液中のブドウ糖を

・筋肉などの細胞にエネルギーとして取り込ませる

・グリコーゲンに変えて肝臓に貯蔵させる

・余った糖は脂肪として蓄えられる

 

このようにインスリンは、摂取した糖質(ブドウ糖)を

1.エネルギーとして細胞へ

2.貯蓄用のエネルギーとして肝臓へ

3.それでも余ったら脂肪へ

と分配するわけです。

 

高インスリン血症

高インスリン血症とは

インスリンが過剰に分泌されている状態

を言います。

 

先程見たように、食事によって糖質を摂取すると膵臓からインスリンが分泌されます。

糖質(ブドウ糖)の摂取と消費が均衡がとれていれば問題ありませんが、「摂取>消費」が続くとどうなるでしょうか。

 

過剰に糖が入ってくると、細胞や肝臓はブドウ糖を受け入れられなくなっていきます。

満員の状態になって今うわけです。

すると、ブドウ糖は脂肪として蓄積されていきます。

内臓脂肪はインスリンの効き目を阻害する物質を出しますから、インスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性の状態になります。

インスリンが効きにくくなると血糖値が下がりにくくなり、β細胞は血糖値を下げるため、さらにインスリン分泌量を増やします。

すると、さらに内臓脂肪が増えてインスリン抵抗性もさらに上がってしまうという悪循環になってしまうのです。

①過剰な糖の摂取により、細胞や肝臓はブドウ糖を受け入れられなくなる

②余ったブドウ糖は、インスリンにより脂肪になる

③内臓脂肪により、インスリン抵抗性の状態になる

④β細胞は、血糖値を下げようとインスリン分泌量を増やす

⑤さらに内臓脂肪が増え、インスリン抵抗性がさらに上がる

⑥この悪循環が続く

 

糖尿病治療のためにインスリン注射をはじめたりすると、一気に太ってしまう人が多いのはこのためです。

インスリンは血糖値を下げるだけでなく、脂肪を増やすことでインスリン抵抗性を上げてしまうのです。

自分で自分を効きにくくするなんて変に思えるかもしれませんが、人間の身体は過剰な刺激などに対して順応して耐性を持つようになるのです。

これは、人間の身体が持つホメオスタシス(恒常性)という性質のためです。

ホメオスタシスとは、身体の環境を一定に保とうとする働きのことです。

過剰なインスリンに対してインスリン抵抗性を発現させるのも、ホメオスタシスなのです。

 

つまり

インスリンがたくさん出ることで、インスリンが効きにくくなるという悪循環が起こり、糖尿病が悪化する

ということです。

 

インスリン分泌量低下

インスリン抵抗性が上がってしまい、インスリン分泌量が増え、さらにインスリン抵抗性が上がっていく

この悪循環が続くと、どうなるでしょうか。

 

インスリンを分泌するβ細胞は

・インスリンを分泌できる唯一の細胞

・非常に少ない(膵臓の1%を占めるのみで重量にしてわずか1g)

・ダメージ耐性が低い

という特徴があります。

 

インスリン抵抗性が上がりインスリン分泌量を増やし続けるということは、このβ細胞に負荷をかけ続けていることに他なりません。

そのような状態が続くと

β細胞は機能不全に陥る

となってしまいます。

過酷な労働によって、ダウンして寝込んでしまうようなイメージですね。

 

すると、インスリンを分泌できるβ細胞の数が減りますから、残ったβ細胞はさらに頑張ってインスリンを分泌しようとすることになります。

その結果は、火を見るよりも明らかですよね。

β細胞はどんどんダウンしていき、インスリン分泌量は低下していってしまうのです。

 

高インスリン血症が糖尿病を悪化させる

このように、高インスリン血症こそが糖尿病悪化の悪循環を引き起こしている犯人なのです。

 

悪循環から脱却するためには

糖尿病の悪化を食い止めて改善するためには、高インスリン血症を改善する必要があります。

 

ここで間違えてはいけないのが、インスリン抵抗性が上がってしまうことは身体が異常な反応をしているというわけではないということです。

身体を守るために、正常な反応をしているのです。

 

そもそもインスリン抵抗性を持つというのは、過剰に分泌されてしまったインスリンに対して抵抗性を持たなければ、低血糖になってしまう恐れがあるからです。

高血糖と違い、低血糖状態はあっという間に命の危険が訪れます。

つまり、高インスリン血症に対してインスリン抵抗性を持つのは

低血糖にならないようにするための身体の正常な反応

ということなのです。

 

では先程の図をもう一度見てみましょう。

高インスリン血症が糖尿病を悪化させる

どこにアプローチすれば、この悪循環から脱却できるかは明白ですよね。

糖の摂取を減らす

ということに決まっています。

当たり前なのです。

 

糖尿病に対して、原因である糖質を制限するのは、誰が考えても当たり前のはずです。

しかし日本の糖尿病治療は、未だに糖質制限を否定する傾向があります。

1日3食、ご飯やパンなどの糖質をしっかり食べることが、標準的な食事療法なのです。

また、治療においてもβ細胞を刺激してインスリンをたくさん分泌させる薬を飲ませたり、早期の段階からインスリン注射を行ったりしています。

 

Ⅰ型糖尿病のように、インスリンの分泌能力が全く(あるいはほとんど)無くなってしまった場合には、インスリン注射は必須です。

しかしⅡ型糖尿病においては、高インスリン血症が原因にも拘らず、インスリンをさらに注入して改善するわけがないでしょう。

 

Ⅰ型糖尿病はインスリンが出なくなる病気

Ⅱ型糖尿病はインスリンが過剰に出る病気

というように、Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病は全く正反対の疾患なのです。

にも拘らず、Ⅰ型でもⅡ型でも同じ治療が行われています。

その時点でおかしいのは明白ですよね。

 

まとめ

・糖尿病悪化の原因は、高インスリン血症

・インスリン抵抗性は、低血糖から守るための人間の身体の正常な反応

・悪循環から脱却するためには、糖質の制限一択

・現在行われている標準治療は、明らかにおかしい

糖尿病の予防や改善のためには、糖質の制限が必要不可欠です。

糖の摂り過ぎでなる病気なのですから、当たり前ですよね。

 

しかし現在の医療は、もはやメチャクチャなのです。

治らない治療(治療と言っていいものかも疑問ですが)を行っているから、糖尿病患者がどんどん増えているのです。

 

現代人は糖を摂り過ぎています。

糖の摂取をゼロにするべきではありませんが、現状ほとんどの人は圧倒的に過剰なのです。

そして食べ過ぎなのです。

日頃の食事を意識しましょう

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

糖尿病治療をしている人が、急に糖質制限をするのは危険です。

薬の作用で低血糖になってしまう恐れもあります。

医師と相談しながら、少しずつ糖質を減らしながら薬を減らしたり変えたりして、悪循環から脱却するようにしましょう。

医師が糖質制限に取り合ってくれない場合は、迷わず他の病院に行ってみることをお勧めします。