今回は、子どもを褒める時の「良い褒め方」「悪い褒め方」についてです。
結論としては
・良い褒め方は、頑張りや気持ちを褒める。
・良い褒め方によって、子どものチャレンジ精神が向上する。
・悪い褒め方は、結果や能力を褒める。
・悪い褒め方によって、子どものチャレンジ精神が低下する。
となります。
・子どもは褒めて伸ばす。
・叱られてばかりだと、子どもは委縮してしまって成長しなくなる。
というような話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
事実、子どもは基本的には褒めて伸ばす方が良いということが分かっています。
これは、褒められることによって
・子どもの自己肯定感が向上する。
・子ども自身に自信がつき、向上心やチャレンジ精神が育まれる。
などの効果が得られるためです。
逆に、叱られてばかりだと
・子どもの自己肯定感が低下する。
・子どもは他人の顔色ばかりうかがい、チャレンジ精神は低下する。
となってしまう傾向にあります。
とにかく、無難にミスをしないことを中心に考えてしまうのです。
つまり、基本的に子どもの教育は、褒めることを意識した方が良いということです。
もちろん、全く叱らない方が良いというわけではありません。場合によっては、叱ることも重要です。
要するに、子どもに対しては
褒める > 叱る
を意識するべきだということになります。
しかし褒めるにしても
どのようなことに対して、どのように褒めるのか
ということが非常に重要です。
「良い褒め方」と「悪い褒め方」があるのです。
「悪い褒め方」ばかりをしてしまうと、むしろマイナスの効果になってしまい、褒めない方がまだマシになりかねません。
それでは、「良い褒め方」と「悪い褒め方」について説明していきます。
「良い褒め方」と「悪い褒め方」の違い

良い褒め方と悪い褒め方の違いは、以下のようになります。
〇 「良い褒め方」は、努力や気持ちを褒める。
× 「悪い褒め方」は、結果や能力を褒める。
「上手にできたね!!」
「こんなことができるなんて、すごいね!!」
このような褒め言葉を子どもに言うことは多いのではないでしょうか。
実はこのような褒め方は、悪い褒め方なのです。
結果や能力を褒めていますからね。
多くの親は、このような「悪い褒め方」を多用してしまっているでしょう。
では、努力や気持ちを褒める「良い褒め方」はどのようなものでしょうか。
例えば、子どもが「テストで100点とったよ!!」と言ってきたとします。
まず、悪い褒め方としては
「100点なんてすごいね!!」
「勉強が良くできて、えらいね!!」
などです。
結果や能力を褒めていますからね。
それに対して良い褒め方は
「頑張って勉強してて、すごかったね!!」
「一生懸命やってたもんね。えらいね!!」
などです。
頑張りや気持ちを褒めていますよね。
悪い褒め方と比べると、結果ではなく過程を褒めるイメージですね。
「良い褒め方」と「悪い褒め方」の影響

ではなぜ
〇 「良い褒め方」は、努力や気持ちを褒める。
× 「悪い褒め方」は、結果や能力を褒める。
と言えるのかということですが、褒め方についての研究は数多くされていて、論文も多数存在します。
その中でも代表的なものとして、1998年にアメリカのコロンビア大学が出した論文を紹介します。
その論文では、以下の実験を行っています。
約400人の小学5年生が対象。
1.子どもたちを A・B・C の3つのグループに分ける。
2.全員に簡単なテスト(誰もが高得点を取れる)を解かせる。
3.それぞれのグループへ違う方法で褒める(褒めない)。
Aグループには、「頭が良いね」と褒める。
Bグループには、「頑張ったね」と褒める。
Cグループには、何も言わない。
4.全員に「難しいがやりがいのある問題」と「簡単な問題」を選ばせる。
Aグループは能力を褒めていて、Bグループは努力を褒めています。
この結果、4で「難しいがやりがいのある問題」にチャレンジした子供の割合は
Aグループ : 35%
Bグループ : 90%
Cグループ : 55%
となったそうです。
「頭が良いね」と能力を褒められたAグループは、何も言われなかったCグループに比べてすら、難しいことにチャレンジしなくなってしまっています。
能力を褒めるということが、チャレンジ精神を低下させることがわかりますね。
この結果を見ると、能力を褒めるくらいなら褒めない方が良いということになります。
それに対して「頑張ったね」と努力を誉められたBグループは、何も言われなかったCグループに比べて、難しいことにチャレンジするようになっています。
9割もの子どもが、難しいことにチャレンジしているのはすごいですよね。
頑張りを褒めるということが、チャレンジ精神を向上させることがわかりますね。
まとめると
〇 努力を褒めると、チャレンジ精神を向上させる。
× 能力を褒めると、チャレンジ精神を低下させる。
ということになります。
また、自分のテスト結果を発表させると、実際の点数より高く発表した(さばを読んだ)子供の割合は
Aグループ : 38%
Bグループ : 13%
Cグループ : 14%
となったそうです。
能力を褒められた子どもは、人の目を気にしてよく見られたいと思う傾向が出てしまうと言えますね。
能力を褒められると、また褒められるために、失敗を恐れるようになってしまいがちです。
そのため、挑戦をしなくなり、他人の目を気にしてしまうのです。
そして、失敗などの壁にぶつかると、挫折してしまいがちになります。
これでは、叱られるのと何ら変わりがありません。
逆に努力・気持ちを褒められると、また挑戦する意欲に繋がり、失敗を恐れず挑戦できるようになる傾向があります。
そして失敗という壁にぶつかっても、乗り越えようとできるようになるわけですね。
要するに
・子どもを褒めるときは、結果や能力ではなく努力や気持ちを褒めるべき
・努力や気持ちを褒めることで、挑戦する意欲を育むことが出来る
というわけです。
「良い褒め方」のやり方

良い褒め方の具体的な例としては
・頑張って、勉強したんだね!!
・一生懸命、練習しているんだね!!
・逆上がりに挑戦してるんだね!!
などです。
逆に悪い褒め方は
・勉強できて、すごいね!!
・上手にできて、えらいね!!
・逆上がりできるなんて、すごいね!!
などですね。
悪い褒め方は、ついつい言ってしまいそうですよね。
そして、実際にやってみるとわかるのですが、良い褒め方はなかなか難しいのです。
習慣になるまでは、咄嗟に良い褒め方が出てこないことは、よくあります。
そのような時は、笑顔で復唱してあげるだけでも大丈夫です。
子どもに
「逆上がりできるようになったんだよ!!」
と言われた場合は、笑顔で
「逆上がりできるようになったんだね!!」
と言うだけでも大丈夫です。
子どもは、「認めてもらえた」と感じることが出来て、自己肯定感が向上します。
ただし当然ですが、子どもの頑張りをよく観察して、こっそり頑張っている所なんかも褒めてあげられると最高ですね。
まとめ

・子どもへの褒め方には、「良い褒め方」と「悪い褒め方」がある。
・良い褒め方は頑張りや気持ちを褒め、チャレンジ精神を向上させる。
・悪い褒め方は結果や能力を褒め、チャレンジ精神を低下させる。
・良い褒め言葉が出てこない時には、笑顔で復唱するだけでも良い。
子どもにとって、大切なのは成長であり、成果や結果ではありません。
成長のためには、挑戦と失敗が必要不可欠です。
挑戦して失敗した分だけ、子どもは成長します。

努力や気持ちを褒めるということは、失敗もひっくるめて認めるということですから、子どもからしたら安心して挑戦・失敗ができるわけです。
子どもに大切なのは、結果ではなく挑戦や失敗
このことを忘れないでください。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。