今回は、ふるさと納税についてです。
結論を言うと
個人としては、ふるさと納税は利用するべきだが、国の制度としては微妙
となります。
起業をしている経営者や個人事業主は、経費としてお金を使うことによって、節税をすることができます。
それに対して会社員などの雇われている立場の人たちは、基本的に経費として使える枠は無く、節税できる範囲が非常に限られています。
お金を貯めるのに最も大きな障害になるのは、税金や社会保険料です。
会社員の人たちは、この税金や社会保険料に対して、ほぼノーガードなのです。
国からしたら、手っ取り早く搾取しやすい相手というわけです。
「みんながしっかり税金を納めないと、社会が成り立たない」と考える人がいるかもしれませんが、基本的には税金は国の財源ではありません。
詳しくは、当ブログの『経済基礎講座』を参考にしてください。
そのような状況の中で、会社員の人たちにとって唯一と言える節税できる制度が、「ふるさと納税」です。
(厳密に言えば、節税とは少し違いますが。)
個人から見た場合、ほとんどの人が得をするため、使わない手はありません。
しかし、ふるさと納税を利用したことがある人は、2020年時点で全体の2割にしか過ぎないそうです。
8割の人がふるさと納税を利用したことが無いのです。
この8割の人たちは、損をしていると言っていいでしょう。
ふるさと納税を利用している人と利用していない人を長い目で比較したら、大きな差になることは間違いありません。
知識を付けて行動するかどうかこそが、最終的に大きな差になって表れてくるのです。
ですから、個人単位で見た時には、誰もがふるさと納税は利用するべき制度です。
しっかり知識を付けて、使える制度は使い倒しましょう。
では、ふるさと納税について、説明していきます。
ただし個人にとっては得な制度ですが、全体としては微妙な制度であることも事実ですので、そのあたりについても説明していきます。
ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税とは
応援したい自治体に寄付できる制度
とされています。
しかし、寄付と言っていますが、実態は寄付とは程遠いものです。
実際には
税金を自分の住んでいる自治体以外の好きな自治体に前払いして、お礼に返礼品を貰える制度
です。
もう少しわかりやすく説明します。
ふるさと納税のイメージは、以下のようになります。

好きな地方自治体に、寄付金という納税をすることで特産品などの返礼品が貰えます。
ざっくり言えば、返礼品を買っているようなものです。
(自分の住民票がある自治体だと、返礼品が貰えません。)
この返礼品は、自治体によっても多少の違いはありますが、おおよそ寄付金の3割程度の価値の物が相場になっています。
1万円の寄付金を支払うと、3000円相当の返礼品が貰えるということです。
これだけだと完全に損をしているように思えますが、ふるさと納税には他に強力なメリットがあります。
それが
寄付総額から手数料の2000円を引いた金額分、翌年の税金が安くなる
というものです。
例を挙げて、具体的に見てみましょう。
ふるさと納税で5万円分の寄付をしたとします。
すると、以下のようになります。

5万円分の寄付をしますが、2000円の手数料を引いた4万8000円分、翌年の税金が安くなります。
そして、5万円の30%である1万5000円相当の返礼品を貰うことができるということです。
つまり、差し引き1万3000円分の得になるわけですね。
寄付する自治体はいくつでも大丈夫です。
複数の自治体に寄付しても、1つの自治体ごとに手数料2000円ではなく、全体で手数料2000円です。
ただし、6自治体以上に寄付する場合は、確定申告をする必要があります。
5自治体以下であれば、「ワンストップ特例制度」で対応できます。
ワンストップ特例制度は寄付した自治体から送られてきた書類に記入して、その自治体に送り返せばいい制度です。
ふるさと納税の限度額

このように、ふるさと納税は非常に得な制度なのですが、寄付する金額に限度額があるので注意が必要です。
いくら寄付をしていいのですが、限度額を超えた分は税金が安くなりません。
単に、割高で買っているのと同じになってしまいます。
この限度額は、収入などによって変わってきます。
「ふるさと納税 限度額 シミュレーション」などと検索すれば、簡単に限度額を知ることができますので是非やってみてください。
目安の限度額は以下の通りです。

収入が高くなればなるほど、限度額も大きくなります。
制度としては微妙なふるさと納税

このように個人としてはふるさと納税は得ですが、全体で考えた場合だと、正直良い制度とは言えません。
例えばAという自治体に住んでいる人が、Bという自治体にふるさと納税を5万円分したとします。
すると自治体Bは5万円分の収入が増えますが、自治体Aは翌年の税収(住民税)が5万円分減ってしまいます。
これは言ってみれば
・自治体A 5万円減収
・自治体B 5万円増収
ということと同じことになります。
ふるさと納税することによって翌年安くなる税金は、基本的には地方税である住民税です。
(割合は小さいですが、所得税も安くなることもあります。)
つまり、自治体全体で見たとしたら、ふるさと納税という制度は「地方自治体間での税金の奪い合い」に他ならないというわけです。
返礼品を出している分だけ、自治体からしたらマイナスにすらなってしまいます。
要するに、国が作ったふるさと納税という制度は
地方自治体同士で潰し合いをさせている
ということなのです。
地方創生はどこに行ったんでしょう。
少子高齢化の時代に向けて、地方自治体を淘汰しようとしているんですかね。
そもそも節税をさせてくれるのであれば、住民税ではなく所得税を安くすることもできるのです。
所得税 → 国が徴収する中央税(国税)
住民税 → 地方が徴収する地方税
本来的には、国は国債を発行することで財源を作れるため、地方に税金の奪い合いをさせる必要などないのです。
国の借金がいくら膨れ上がっても、日本が財政破綻することはないので、問題ありません。
にも拘らず、国が負担せずに地方自治体同士で争わせるあたり、違和感を感じますね。
そのような意味で、制度としては決して良い制度とは言えません。
まとめ

・ふるさと納税は、誰もが節税できる制度
・個人にとっては、ふるさと納税は使うべき
・全体としては、自治体同士の税金の奪い合いなので問題がある制度
自治体同士の税金の奪い合いという側面はさておき、個人レベルで見たら、やはりふるさと納税は利用するべき制度です。
特に会社員などにとっては、蓄財のために最も弱い「節税」ができる限られた方法です。
税金や社会保険料など、国の政策は間違っていることだらけです。
実際には、税金も社会保険料も好景気でインフレが加速しているとき以外は、上げる必要などないのです。
そのようなことを、しっかりと知識として学んで、選挙などで出来ることをすることは大切です。
しかし、間違っていたとしても、そのような流れが簡単に変わることはありません。
ですから、個人としても現ルールの中で出来ることは、やっていく必要があります。
その中の一つが、ふるさと納税ですね。
文句ばかり言っていても始まりません。
しっかり知識を付けて考えて、出来ることを見つけて行動することが重要です。
返礼品の選び方
普段は食べないような高級な肉や魚や果物を食べるのも、楽しみとしていいですが、徹底的に節約して蓄財したい人は、生活必需品がお勧めです。
米やトイレットペーパーやティッシュペーパーなど、普段必ず買うものをふるさと納税で返礼品としてもらえば、日々の生活費の助けになります。
但し、最終的に何を選ぶかは好みになりますね。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。