経済

良いインフレと悪いインフレ

良いインフレと悪いインフレ

今回は、インフレについてです。

 

結論としては

・インフレには良いインフレと悪いインフレがある

・良いインフレは、需要の増加によるもの

・悪いインフレは、供給の減少によるもの

・現在は、世界的に悪いインフレが進行している

です。

 

インフレというのは

物価が持続的に上がること

を言います。

 

物価が上がってしまうことは良くないことのように思えるかもしれませんが、決してそういうことでもありません。

経済が成長する前提は、インフレです。

行き過ぎたインフレは良くないことですが、年2%程度のインフレは、適度な経済成長を促す好ましいインフレと言われています。

というよりは、資本主義社会においては、適度なインフレは必要なものと言った方が適切かもしれません。

日本人は物価が上がることは良くないことと考えがちですが、それは日本が30年もの間、デフレが続いた世界で唯一の国だからです。

基本的に、世界中の日本以外の国はインフレです。

 

しかしインフレには、好ましくない流れで起こってしまう「悪いインフレ」も存在します。

経済成長を伴う「良いインフレ」に対して、「悪いインフレ」は経済成長を伴いません。

悪いインフレは、人々の生活を苦しくしてしまいかねないインフレです。

そして現在、残念ながら悪いインフレが世界中で着々と進行しているのです。

 

それでは、悪いインフレがなぜ起こるのか、そして現在どのような状況なのか等について説明していきます。

 

インフレの仕組み

インフレは物価が上がることですから

需要 > 供給

の状態です。

 

需要>供給の例

こんな感じです。

おにぎりを買いたい人の数の方が、売りたいおにぎりの数よりも多い状態です。

このような状態だと

買いたい人

おにぎりが欲しいので、価格が多少高くなっても買いたい

 

売りたい人

欲しい人が多いので、価格を上げても売れるだろう

と考えます。

 

すると、必然的におにぎりの価格は上がります。

このようにして、「需要>供給」の場合には物価は上昇するわけです。

 

つまり、インフレが起こる原因を大きく分けると

・需要の増加

・供給の減少

の2つがあるということになります。

 

そして、例外を除けば基本的に

・需要の増加によるインフレ → 良いインフレ

・供給の減少によるインフレ → 悪いインフレ

となります。

原因が、需要の増加でもなく、供給の減少でもないインフレも存在します。

需要も供給も変わらないのに、物価が上がってしまうのです。

 

それが、増税などです。

消費税の増税などは、需要や供給が変化しなくても、物価だけが上がります。

もちろんこれは、経済成長を伴わない悪いインフレです。

 

増税後は需要が減少し、それに伴って供給も減少します。

その結果、デフレ化してしまいます。

 

では、良いインフレと悪いインフレについて、それぞれ説明していきます。

 

良いインフレ

「良いインフレ」は、需要の増加によるインフレです。

需要が増加すると、以下のような流れが起こります。

1.需要が増加する。(モノがよく売れる。)

2.増加した需要を満たすために、供給も増加する。

3.企業業績は良くなる。

4.企業業績が良くなるので、従業員の給料も上がる。

5.さらに需要が増加する。

このサイクルを繰り返します。

 

インフレ流れの図

このサイクルは

・人々の収入

・企業の利益

がともに増加していきます。

社会全体の経済が成長しているということです。

 

つまり

需要の増加によるインフレは、経済を成長させる良いインフレ

ということです。

 

ですから、経験的にこの循環が最もスムーズに進むと考えられるインフレ率2%程度を各国政府は目標としているのです。

 

ちなみに、インフレ率2%が好ましいということに、特に根拠はありません。

経験的に、そのくらいがちょうどいいインフレ率だと捉えられています。

 

悪いインフレ

良いインフレが需要の増加によるインフレであるのに対して、悪いインフレは供給の減少によるインフレです。

 

供給が減少すると、以下のような流れになります。

1.供給量が減少するため、価格が上昇する。

2.供給量が減少しているため、売れる数も減少する。

3.企業の業績は悪化し、従業員の給料は減少したり最悪失業する。

4.人々の生活は苦しくなるため、出費を控えるようになる。

5.需要が減少する。

 

このサイクルは

・人々の収入

・企業の利益

がともに増加しません。

それどころか、需要が減少していくため徐々にデフレ化していってしまいます。

経済が縮小してしまうということです。

 

つまり

供給の減少によるインフレは、経済を悪化させる悪いインフレ

ということです。

 

価格が上昇するのだから、売れる個数が減っても企業の業績は悪くならないように思えるかもしれませんが、そうはなりません。

供給の減少は

・原油などの材料価格の高騰

・サプライチェーンの混乱

などによって起こることが多いです。

ですから、企業としては価格が上がっているとはいえ、原価も上がっているため利益が増えるわけではないのです。

むしろ、売れる数が減る分、利益は減少する傾向にあります。

 

現在は悪いインフレが加速中

そして現在は

世界的に悪いインフレが進行中

という状況です。

 

前年同月比で見たCPI(消費者物価指数)は、アメリカは8%近く、ユーロ圏は5%以上の上昇となっています。

基本的に2%程度のインフレ率を目標としているわけですから、現在のインフレ率は非常に高い水準になってしまっているのです。

 

この行き過ぎとも言えるインフレの原因は

・コロナ騒ぎによるサプライチェーンの混乱

・ロシアのウクライナ侵攻による原油価格の高騰

が挙げられます。

サプライチェーンとは

原材料や部品の調達から、製造・在庫管理・配送・販売・消費までの一連の流れのこと。

 

コロナ対策として、世界中でロックダウンなどを行った影響で、多くの雇用が失われて供給能力が低下しました。

一度失った供給能力は簡単に回復しませんから、需要が戻ってきたとしても供給能力が追い付いていない状態です。

具体的には、半導体などの部品の不足や配送業の人手不足など、様々なことが起こっています。

科学的根拠のないコロナ対策を乱発した代償です。

 

このような、コロナ対策の悪影響を受けた供給不足による悪いインフレが起こっていたところに、さらに悪いことにロシアのウクライナ侵攻が起こってしまいました。

それにより、元々上昇していた原油価格がさらに高騰し、材料費や運送費がより高くなってしまっているわけです。

 

このように世界の経済は、悪いインフレに晒されているため、今後景気が悪化していく可能性が高くなってしまっているのです。

現在、アメリカの中央銀行にあたるFRBなどは、難しいかじ取りをしなくてはならない状況に追い込まれています。

 

まとめ

・良いインフレは需要の増加による経済を成長させるインフレ

・悪いインフレは供給の減少による経済を悪化させるインフレ

・コロナの影響とウクライナ侵攻で、現在悪いインフレが進行中

供給が減るということは、社会における資産を失うということです。

モノを作る設備やサービス、人材などは、作り上げるのは時間がかかりますが、失うのはあっという間です。

 

一時的にストップして、時が来たら元の戻すというような簡単なものではないのです。

コロナ騒ぎで様々な規制をした結果、多くの供給能力が失われてしまっています。

これは経済を縮小させることで、未来の世代を苦しめることになります。

 

経済は簡単に止めてはいけないのです。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。