今回は、「早起き」についてです。
結論としては
・「早起きは良いこと」は間違い
・7時前に起きるのは、むしろ害
・クロノタイプに合わせて生活するのがベスト
となります。
早寝早起きしなさい!!
というようなことを誰もが言われたことがあるのではないでしょうか。
他にも、ビジネスに成功した人などが、「成功の秘訣は早起き」というようなことをよく言っていますよね。
世間一般的にも
・朝型の生活スタイルは、健康的でしっかりしている
・夜型の生活スタイルは、不健康でだらしない
というイメージが定着してしまっています。
「早起き=良いこと」という常識が蔓延しているわけです。
しかし、この常識は科学的には明確に間違いです。
多くの人が、間違った常識を信じてしまっているわけです。
成功者などが著書やSNSで、「成功の秘訣は早起き」というようなことを言っているのも、サンプル数1の自分の成功体験を語っている場合が多いだけです。
そもそも、成功と早起きの間に因果関係が証明できているわけではありませんしね。
それでは、なぜ早寝早起きが間違っているのか、そしてどのような睡眠が好ましいのかについて説明していきます。
クロノタイプは遺伝的に決まっている

人間は、一日の中でどの時間帯が最も活動的かという時間的特性を各々が持っています。
どの時間帯に活動して、どの時間帯に睡眠をとるのが適切かというタイミングは、人によって違うということです。
この特性を「クロノタイプ」と言い、いわゆる「朝型」や「夜型」を言われるものです。
このクロノタイプについては、完全に解明されているわけではありませんが
クロノタイプは、50%が遺伝によって決まっている
ということが、双子を対象にした実験の結果わかっています。
つまり「朝型」か「夜型」かについては、50%は生まれたときにすでに決まっているわけです。
ちなみに、「遺伝的要因」と「環境的要因」がどの程度の割合で影響しているのかを調べるときは、双子に対して研究するそうです。
一卵性双生児と二卵性双生児を比べるのです。
一卵性双生児は、天然のクローンとも言える存在ですから、遺伝的要因は同じと考えられます。
それに対して二卵性双生児は、同い年の兄弟みたいな存在ですから、遺伝的要因は異なります。
この両者の差を調べることで、遺伝的要因の大きさを調べることが出来るのです。
ですから
・朝型の生活スタイルは、健康的でしっかりしている
・夜型の生活スタイルは、不健康でだらしない
というのは、全く持って的外れなわけです。
夜型の人が朝が苦手だったりするのは、怠惰だからというわけではなく、遺伝だからなのです。
ちなみに朝型の人と夜型の人の割合は
・朝型の人 40%
・夜型の人 30%
・中間の人 30%
となっているそうです。
割と均等に分かれているのです。
7時前に起きるのは害

また、朝型の人だとしても、7時前には起きない方が良いという興味深い論文があります。
イギリスのウエストミンスター大学の研究によると
朝7時前に起きるのは、ストレスレベルが上昇してしまう
ということがわかっています。
朝起きる時には、コルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。
これは人間にとって必要であり、正常な反応です。
そして起きるときに分泌されたコルチゾールは、時間と共に減少していきます。
しかし朝7時より前に起きると、コルチゾールがあまり減少せず、高止まりしてしまいます。
つまりは、1日を通してストレスを受け続けてしまうというわけです。
その結果、肥満になりやすかったり、疲労が回復しにくかったり、感情の起伏が激しくなるなどの様々なデメリットが生じます。
寿命も短くなる傾向にあるようです。
もちろん個人差はありますので、7時というのは目安ですし、6時などに起きるのが向いている人もいます。
しかし、とにかく朝は早起きした方が良いというわけではないのです。
夜型の人の方が知能が高い

また、朝型の人よりも夜型の人の方が、様々な面で勝っているという研究結果もあります。
スペインのマドリード大学やドイツのハイデルベルク大学などが行った研究によれば
・夜型の人の方がIQが高い。
・夜型の人の方が、年収が高い。
・夜型の人の方が、モテる。
という傾向があることがわかっています。
このような研究結果を見ても、朝型の人より夜型の人の方がメリットが多いのです。
もちろん、朝型の人が夜更かしをしたからと言って夜型になれるわけではありませんから、誰もが夜型になるべきというわけではありません。
しかし、誰に対しても「早起きをするべき」というような間違った常識は、害でしかないことは明らかです。
夜型の人には厳しい社会システム

しかし、現代社会のタイムスケジュールは、夜型の人には厳しいものになっています。
社会自体が、朝型のスケジュールに合わせて作られている
ということです。
むしろ、朝型の人にとっても早すぎるかもしれない位のものです。
夜型の人は
・朝起きるのは苦手
・午前中は、脳が上手く働かない
・夜になってパフォーマンスが上がる
という傾向があります。
しかし社会の仕組みとしては、朝から活動をはじめて、夕方くらいにはアクティブな活動は終わるのが一般的です。
夜型の人は、このような仕組みの社会においては
・活動時間の生産性は低い
・生産性の高くなる時間は、活動時間が終わった後
となってしまいます。
しかも夜は朝型の人に比べて、なかなか早くに眠れないため、どうしても慢性的な睡眠不足になってしまいます。
慢性的な睡眠不足は、うつ病・糖尿病・心疾患・脳疾患などの様々な病気のリスクを上げてしまうことがわかっています。
さらには、朝寝坊が多かったり働いていてもボーっとしていることも多いため、「怠け者」「仕事ができないダメな人」などのレッテルを貼られてしまいがちですよね。
このことは、大人の仕事に関してだけでなく、子どもの学校に関しても同様です。
夜型の人の対策

では、現代社会の仕組みに不向きな夜型の人は、どのように対応すればいいのでしょうか。
大きく分けて二つの選択肢があります。
・朝型に矯正する。
・夜型でも可能な生活スタイルにする。
朝型に矯正する
これは様々なところで言われています。
太陽の光を浴びたり、夜に活動することを控えたりすることなどが、推奨されています。
しかし、職業的にどうしようもない場合を除いては、あまりお勧めはできません。
遺伝の影響に逆らうことは、無理をしていることに他なりません。
遺伝で持っているものに逆らうのではなく、出来るだけ有効に利用する方が、効率的かつ生産的なのは明白です。
夜型でも可能な生活スタイルにする
出来るのであれば、こ知らの方がお勧めです。
幸いなことに、最近は働き方にフレックス制やテレワークが導入されてきています。
全ての職業で可能なわけではありませんが、自分が夜型と知っていれば、夜型でも可能な職業を選ぶこともできます。
夜型に合った生活スタイルにすることは、自分のポテンシャルを最大限発揮することにも繋がります。
肉体的にも精神的にも無理をするよりも、無駄なストレスも受けず自分を生かせる環境を整えることこそが、まず考えるべきことではないでしょうか。
まとめ

・クロノタイプは、50%が遺伝によって決まっている。
・7時前に起きるのは、ストレスレベルを上昇させるので害。
・夜型の人の方が、様々な面で優れている。
・現代社会自体が朝型なため、夜型の人には厳しい社会。
・夜型の人は、それに合わせた生活スタイルにするのがお勧め。
まずは出来るだけ早い段階に、自分が朝型なのか夜型なのかを把握して、その上で自分に合った生活スタイルにすることがベストです。
朝型の人は朝型の生活をして、夜型の人は夜型の生活をすればいいのです。
思考停止で「早寝早起きが正解」とならずに、科学的根拠に目を向けて、夜型のメリットを理解することがまずは必要です。
社会のシステムもおかしいですが、学校の始業時間が早すぎるのも大きな問題です。
子供の頃から、「早寝早起きは正義」「夜更かしは悪」という間違った常識を植え付けているのです。
また、年齢的な特性を考えても、学校の始業時間はあまりに早すぎます。
無理して朝から登校するのではなく、自分に合ったリズムで遅刻していくことは、長い目で見ればメリットの方が大きいはずです。
思考停止にならず、正しい知識を得て、しっかり考えましょう。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。