今回は、痩せる食事と太る食事についてです。
結論としては
・たんぱく質中心の食事は痩せやすい
・糖質中心の食事は太りやすい
となります。
太るか痩せるかに対しては「どれだけの量を食べるか」だけでなく、「何を食べるか」ということも重要であることは、誰もが知るところですよね。
・野菜をお腹いっぱい食べる
・ラーメンをお腹いっぱい食べる
当然ですが、この両者では結果に大きな差が出ます。
この違いを説明するものとして、一般的に「カロリー」がよく使われます。
食べたものをカロリーに換算することで、体重の増減を説明できるというものです。
簡単に言えば

となります。
摂取カロリーと消費カロリーの差が、体重の増減を決めるということですね。
しかし、このことについては多数の反論もあります。
人間の身体は、食べてエネルギーを摂取すると「代謝」というものを行います。
この代謝というのは、身体の置かれた状況によってエネルギーの消費を調節します。
つまり、摂取カロリーを減らせば消費カロリーも身体が自動的に減らすようになります。
ですから、消費カロリーというものは簡単に計算することができるものではないのです。
また、食べたもの(タンパク質・糖質・脂質)によって代謝経路は異なります。
例えば、脂質を摂取した場合に行われる代謝経路と糖質を摂取した場合に行われる代謝経路は、全く異なります。
当然ですが、経路が違えば結果変わってきます。
全てを同じ「カロリー」というものに変換して判断するのは、無理があるというわけです。
要するに
同じカロリーでも、食べるものによって結果は変わる
ということです。
「何からカロリーを摂取するか」ということが重要なわけですね。
但し、どんなものであっても量を食べ過ぎてしまえば、当然太ります。
そのような意味で、一つの目安としてカロリー計算を用いるのは良いと思います。
では、どのようなものを摂取すると太るのか、そして痩せるのかについて説明していきます。
肥満の原因は糖質

カロリーを摂取することができるものは
・タンパク質
・糖質
・脂質
の3つです。
この中で、これまで特に太る原因とされていたのは脂質でした。
タンパク質・糖質・脂質のそれぞれのカロリーは
タンパク質 4kcal / 1g
糖質 4kcal / 1g
脂質 9kcal / 1g
というように、脂質のカロリーはタンパク質や糖質の倍以上です。
また、脂質を食べるとそのまま脂肪になってしまうイメージによって、脂質こそが肥満の原因とされていたのです。
しかし、これは冤罪だったことが既にわかっています。
脂質を食べたからと言って、それがそのまま脂肪になるわけではありません。
食べた脂質は分解されると、エネルギー源として使われるだけでなく、ホルモンや細胞膜や核膜を構成したり脂溶性ビタミンの吸収を助ける役割をしたりします。
脂質は様々なところに使われ、身体を構成するのに必要不可欠な成分なのです。
それに対して糖質は、エネルギー源以外に使われることはありません。
エネルギーとして使われることのなかった糖質は、肝臓にグリコーゲンとして貯蔵され、それでも余った糖質は脂肪になります。
糖質を摂取した後の糖代謝の流れは、以下のようになります。

①食事から糖質を摂取する
②胃や腸で糖質がブドウ糖に分解される
③小腸でブドウ糖は血管へ吸収され、血液に乗って全身に運ばれる
④血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上昇する

⑤膵臓のβ細胞からインスリンが分泌される
⑥インスリンの働きによって血液中のブドウ糖を
・筋肉などの細胞にエネルギーとして取り込ませる
・グリコーゲンに変えて肝臓に貯蔵させる
・余った糖は脂肪として蓄えられる

このように糖質の過剰摂取は、モロに脂肪に付着に繋がります。
つまり、糖質の過剰摂取こそが肥満の原因なのです。
タンパク質を食べるとエネルギーを消費する

脂肪を作って肥満の原因になる太りやすい食べ物は糖質ですが、逆に食べても太りにくい食べ物はタンパク質です。
なぜかと言えば
タンパク質を食べると、消費エネルギーが増えるから
です。
人間の身体がエネルギー(カロリー)を消費する代謝には、大きく分けて3つの種類があります。
それが
・基礎代謝
・活動代謝
・食事誘発性熱産生
の3つです。

基礎代謝は、呼吸や心臓が動くために必要なエネルギーで、眠っていても消費されます。
3つの中で、消費するエネルギーが最も大きいですね。
1日の消費カロリーの、約70%を占めます。
活動代謝は、歩く・運動するなど体を動かしたときに消費するエネルギーです。
活動代謝は、人によって大きく変化します。
アスリートや子供は大きくなりますが、デスクワークなどの仕事の人は小さくなる傾向にありますよね。
20%というのは、一つの目安にしてください。
食事誘発性熱産生は、食べたときに熱に変換されて消費するエネルギーです。
食事をしたら、体がポカポカするのがそうです。
食べると咀嚼・消化・吸収などが行われた結果、熱が産生されエネルギーが消費されるということです。
食事誘発性熱産生は10%と聞くと大きくないように思えますが、実は食べるものによって、大きくすることもできます。
三大栄養素である糖質・脂質・タンパク質は、それぞれを摂取した時の摂取カロリーに対して、食事誘発性熱産生で消費されるカロリーの割合が異なるのです。
具体的に見てみると

となります。
これは、それぞれを単体で食べた場合の数値です。
タンパク質だけ、とびぬけて大きいのがわかりますね。
実際の食事は糖質・脂質・タンパク質の混合ですから、だいたい食事誘発性熱産生が総消費エネルギーの10%くらいになるということです。
しかしタンパク質を多めの食事にした場合は、食事誘発性熱産生は大きくなりますよね。
つまり
タンパク質を増やせば、摂取カロリーを減らさなくても消費カロリーが増える
ということです。
しかもタンパク質は食欲を抑える作用もあるので、タンパク質中心の食事はそのような意味でも肥満防止に効果的です。
そして何よりも、体のほとんどはタンパク質と水で出来ています。
3大栄養素はどれも人間に必要な栄養素ですが、その中でもタンパク質は最重要な栄養素なのです。
食べない時間も重要

・タンパク質は食べても太りにくい
・糖質は肥満の原因で太りやすい
ということを説明しましたが、どんな食べ物であれ食べ過ぎは良くありません。
そして、最新の研究では
どれだけ食べない時間を作るか
の方が、「何を食べるか」よりも重要だと言われています。
空腹の時間を作ることで
・オートファジーが起こる
・胃腸を休ませることができる
というようなメリットがあり、結果として健康に繋がります。
詳しくは↓の記事を参考にしてください。

要するに、現代人はそもそも食べ過ぎなのです。
食べ過ぎな上に、最も太る食べ物である糖質中心の食生活ですから、肥満が増えるのも当たり前です。
1日1食か2食にして、糖質ではなくタンパク質中心の食生活にすると良いということです。
まとめ

・糖質が脂肪を作り肥満の原因になる
・タンパク質は食べても太りにくい
・現代人は食べ過ぎている
肥満は様々な病気の原因になり、現代病である生活習慣病の基になっていると言っても過言ではありません。
肥満にならないようにするためには
1.食べる量を減らす
2.食べるものを意識する
ということが大切になります。
一般的に信じられている「食事バランスガイド」などは、摂取カロリーの大半を炭水化物から摂るように指導しています。
代謝など、身体の中で行われていることを考えれば、炭水化物(糖質)を摂り過ぎなのは明らかです。
「食事バランスガイド」には何の科学的根拠もありません。
ちなみに
夜食べると太る
とよく言われますよね。
ダイエットなどでも、夜食べないのは基本とされています。
しかし、この常識も全く根拠はありません。
というよりは科学的には否定されています。
太るかどうかは、「いつ食べるか」には関わらないのです。
但し、寝る前2~3時間までには食べ終わっておいた方が良いのはわかっています。
これは、寝る直前に食べると睡眠の質が低下してしまうからです。
自分の健康は自分で守るしかありません。
しっかり学んで、自分の頭で考えて判断するようにしてください。
何に対しても思考停止は絶対にダメです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。