今回は、「将来価値」と「現在価値」についてです。
結論としては
・将来価値は、現在の価値に時間という要素を加味したもの
・時間の経過によって、お金・時間・スキルなどの価値は変化する
・あらゆるものに対して、将来価値を考えると効果的
となります。
仮に
・今、100万円貰える権利
・1年後、100万円貰える権利
どちらかを選べるとしたら、どちらを選ぶのが合理的な選択でしょうか。
合理的な選択としては、「今、100万円を貰える権利」を選ぶのが正解です。
1年後よりも、今貰った方が得だということです。
理由としては
・お金の価値は、時間の経過によって変化する
・1年後の100万円より、今の100万円の方が価値が大きい
となります。
1年後の100万円と今の100万円は、同じ100万円でも価値の大きさが違うわけです。
例えば、50年位前の大卒の人の初任給は3万円ちょっとくらいだったそうです。
これはめちゃくちゃ安い給料で働かされていたというわけではなく、当時の物価などからその位が適正だったということです。
現在の大卒の初任給の平均が22万円位ですから、6~7倍の差があるということになります。
50年前の100万円と今の100万円では、価値が全く違うのがわかりますね。
このように時間の経過と共に価値が変化しますから、「現在の価値」と「将来の価値」という考え方が非常に重要になります。
現在価値だけを考えて将来価値を考えないと、大きなデメリットになりかねません。
では、将来価値と現在価値について説明していきます。
現在価値と将来価値

「現在価値」と「将来価値」というのは、価値に「時間」という要素を加味して考えるものです。
お金で考えるとわかりやすいので、お金で説明します。
例えば
・現在の100万円
・1年後の100万円
この2つは同じ100万円でも、同じ価値ではありません。
仮に銀行の預金金利が年利10%だとしましょう。
(現在ではあり得ないですが、便宜的に。)
すると、現在の100万円を銀行に預金しておけば、1年後には110万円になります。
つまり年利10%と仮定した場合には
・現在の100万円
・1年後の110万円
この二つが同じ価値だということになります。
この場合は、100万円が「現在価値」、110万円が「将来価値」となります。
100万円を1年間ただ持っていたとしても、1年後の100万円は1年前の100万円以下の価値しかなくなってしまうというわけですね。
将来価値を考える

先程は銀行預金の年利を10%としましたが、現在の年利はほぼ0ですから銀行預金ではほとんど増えることはありません。
ですからお金について将来価値を計算する際には、銀行預金ではなく運用した場合を考えるのが一般的です。
利回りとしては、米国株式(S&P500)の平均リターンである6.8%とします。
(※6.8%は、インフレ率調整後のリターンです。)
すると現在の100万円は
・1年後は、106.8万円
・5年後は、138.9万円
・10年後は、193万円
・20年後は、372.8万円
・30年後は、719.7万円
・40年後は、1389.5万円
となります。
つまり、例えば
現在の100万円 = 40年後の1389.5万円
ということです。
言ってみれば、今100万円を使うということは、20年後の372.8万円、40年後の1389.5万円を使うということと同等だということになります。
このように、お金の価値は時間による複利という武器を使うことによって、将来飛躍的に大きくすることが可能なわけです。
マネーリテラシーが高い人などは、このようなことまで考えて現在そのお金を使うべきなのかを考えているのです。
このようなことまで考えるか考えないかで、大きな差がつくことは言うまでもありませんね。
お金以外の将来価値

現在の価値と将来の価値が変化するのは、何もお金だけではありません。
仕事のスキルや時間などの価値も変化していきます。
スキルの価値
仕事のスキルで言えば、時間と共に大きくなっていくものもあれば、減っていくものもあります。
例えばアスリートの能力というのは、一般的には経験と身体能力のバランスが最も良い状態の20代あたりがベストです。
さらに時間が経てば、経験は増えてもそれ以上に身体能力の低下が大きく、トータルとしては低下していきますよね。
つまり、アスリートの価値というのは20代あたりが最も大きく、30歳を超えたあたりからどんどん減少していきます。
そして、価値が高い時間は非常に短いのも特徴です。
外科医のスキルなどもアスリートに似ていますね。
アスリートよりはピークが遅く40代くらいで、価値の高い時間もアスリートよりは長いですが、傾向としては同様です。
それに対して内科医のスキルは、経験や知識によるところがほとんどですから、年齢を重ねるにつれて能力が向上する傾向にあります。
このように、仕事における自分の価値の変化というのは、スキルの種類によって大きく異なるわけです。
将来の価値の方が大きいものと、現在の価値の方が大きいものがありますから、当然人生設計も変わってきますよね。
自分の仕事のスキル価値が、時間の経過によってどのように変化するのかをしっかり考える必要があります。
もちろん、答えは人それぞれですね。
それともう一つ気を付けなくてはいけないことは、スキルの内容によっては将来に価値が無くなってしまうものも多々あるということです。
例えば、昔は銀行の受付の人がすごいテクニックでお札を数えていました。
普通の人には理解できないようなスピードで数えていくのです。
仮にその時代に新入社員が、そのスキルを極めようと努力を重ねていったとしても、現代には全く必要とされません。
機械がもっと速く、そしてもっと正確に数えてくれますよね。
このように時代と共に必要とされなくなっていくスキルはたくさんあります。
そのあたりをしっかり見極めないと、価値がないスキルばかり持っているというようなことにもなりかねません。
時間の価値
1日24時間ということは、誰にも共通していることですが、時間の価値は年齢によっても変化します。
例えば、バックパッカーとして世界のいろいろなところを旅するのは、80歳を超えてからはなかなか厳しいですよね。
不可能ではないでしょうが、20歳の時にするのと比べると、自由度や色々なことに対してチャレンジするハードルがまるで違います。
また、20歳の時にした経験はその後の長い人生の糧になりますが、80歳だと残っている人生は短いですよね。
挑戦に年齢制限がないのは間違いありませんが、若い時の経験の方がより重要で効果が大きいのも事実です。
つまり、時間の価値というのは時間の経過と共に減っていってしまうというわけです。
とは言え、様々な経験をするにもお金が必要です。
若い頃は、そのお金を確保するのが難しいという面もあります。
ですから特に学生の間なんかは、親のすねをかじれるならかじった方が良いです。
親も子どもの経験のためであれば、可能な限りお金を投資してあげると良いですね。
まとめ

・将来価値は、現在の価値に時間による変化を加えたもの
・あらゆるものは時間の経過とともに、価値は変化する
・価値が増えるものばかりではなく、減るものもある
将来価値と言うと、将来の価値を大きくすることばかりが注目されがちですが、現在の方が価値が大きいものもたくさんあります。
将来価値を大きくするということは、時間を使うということにはなりますが、その時間自体の価値が徐々に減っていってしまいます。
お金は時間で作ることはできますが、時間はお金では買えないのです。
そのように考えると、大人は子どもや若い人にお金を投資することも重要ではないでしょうか。
なんにせよ、あらゆるものについて現在価値と将来価値を考えることは必要不可欠です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。