今回は、日本の優秀なサラリーマンについての話です。
結論としては
日本のサラリーマンは、仕事ができて優秀なほど損をする
となります。
逆に言えば、「仕事ができないサラリーマンは得をする」とも言えます。
最初に断っておきたいのは、サラリーマンという労働形態について賛否を述べているというわけではないということです。
サラリーマンとして働くにしても、起業して個人事業主などになるしても、それぞれメリットもあればデメリットもあります。
どちらの方が良い・悪いという優劣をつけられるものではありません。
ただし、サラリーマンという形態で働いている以上
・仕事ができる人ほど、損をしている
・仕事ができない人ほど、得をしている
という現実があります。
組織に属するということは、そのような仕組みに組み込まれざるを得ないということなのです。
もちろん、仕事ができる人ほど昇進や昇給をする可能性は高いでしょう。
しかしそれを含めて考えても
・仕事ができる人は、自分の能力に比べて過小評価される
・仕事ができない人は、自分の能力に比べて過大評価される
となります。
理由としては大きく分けて
・労働基準法
・パレートの法則
・税金や社会保険料
の3つがあります。
それでは、サラリーマンは仕事ができて優秀なほど損をするということについて、説明していきます。
日本の労働者は労働基準法で守られている

日本の労働者は、労働基準法により非常に強く守られています。
様々な面で非常に強く守られていますが、とくに影響の大きいものとしては「解雇」に対しての扱いです。
簡単に言うと
会社は労働者をなかなか解雇することができない
ということです。
・仕事ができない
・仕事を一生懸命やらない
という程度のことでは、基本的には解雇できる理由には到底なりません。
労働者からしたら
一度会社に入ってしまえば、仕事は適当でも職を失うことは早々ない
ということになりますね。
逆に会社側からしたら
一度雇ってしまうと、どれだけやる気がなかったり仕事が出来なくても、なかなか解雇することが出来ない
ということです。
このことは、日本企業が米国企業のようにイノベーションを起こせない最も大きな要因とも言われています。
米国企業をはじめとした外資系企業は
・仕事ができる優秀な人には好待遇
・仕事ができない人は即解雇
というように、日本企業に比べて解雇が容易にできる傾向があります。
しかし労働者の権利が強く守られていることは、何も悪いことばかりではありません。
・誰もが安定した収入が確保できる
・失業率が低くなる
・格差が広がりにくい
など、メリットも多々あります。
そのようなメリットを追い風に、日本は高度経済成長を遂げたとも言えるのです。
ですから、労働基準法によって労働者の権利が強く守られていることは、デメリットだけでなく大きなメリットもあります。
しかし、優秀なサラリーマンからの視点で言えば、損をする要因になってしまいます。
それは会社側からしたら労働基準法がある以上、「雇う」ということがリスクになってしまうからです。
当然、本来的には会社側からすれば優秀な人材が欲しいですよね。
しかし面接や学歴などで全てがわかるわけではありませんから、雇った人材が全く仕事ができないこともあり得るわけです。
しかし、全く仕事ができなくても、労働基準法がある限り基本的には雇い続けなくてはなりません。
そうすると仕事の成果をあげられない人材に対して、給料を払い続けることになってしまいますよ。
会社からすれば、これは完全に無駄な支出であり赤字です。
会社はこの赤字のリスクを最小限にするために
給料は、仕事ができない人を基準に設定される
ということになります。
米国のようにすぐに解雇できる環境であれば、実際働いて仕事ができなかったら解雇すればいいですから、優秀な人材を集めるために給料設定は高くなります。
つまり
~日本~
みんながそれなりの給料
~米国~
仕事ができる人は高給、仕事ができない人は解雇
という傾向にあるわけです。
つまり、日本企業は安定が重視される分
仕事できる人にとっては、割に合わない
仕事できない人にとっては、しがみつきたい得な条件
ということですね。
これは教育にも同様のことが言えますよね。
日本の義務教育は特に、「勉強のできない人」に合わせる方針です。
「勉強ができる人」に対しては、特に配慮されません。
飛び級などもありませんしね。
どちらがいいのかは賛否あるでしょうが、少なくても「仕事ができる人」「勉強ができる人」にとっては不利な条件であることは間違いありません。
80対20の法則

最初は優秀な人には不利でも、昇給や昇進によって是正される
と思う人もいるかもしれません。
確かに、仕事ができる人とできない人への待遇に差は生じます。
しかし、それでも仕事ができる優秀な人にとっては、割に合わないのは変わりません。
優秀な人は、いくら昇給や昇進してもサラリーマンである以上、損をし続けます。
「80対20の法則」というものがあります。
「パレートの法則」とも呼ばれるもので
成果の80%は、全体の20%から生み出されている
というものです。
例えば
税収の80%は、収入上位20%の人で納められている
というようなものですね。
この法則は会社においても通じるものがあります。
会社における成果の80%を、仕事ができる20%の人で生み出している
ということですね。
つまり、会社は大まかに分類すると
・20%の仕事ができる黒字サラリーマン
・80%の仕事ができない赤字サラリーマン
で構成されているわけです。
言ってみれば
仕事ができるサラリーマンは、仕事ができない人の給料分も稼いでいる
ということです。
仕事ができるサラリーマンは、自分が生み出した成果を仕事ができない人たちに分配しているわけですから、自分の成果分の評価(報酬)を受けることは不可能です。
つまり、仕事ができる優秀なサラリーマンは損をしているということです。
逆に仕事ができない人たちは、優秀な人たちから恩恵を受けているので、得をしていると言えますね。
税金・社会保険料の負担

パレートの法則は、会社に限った話ではありません。
国レベルでも同じことが言えます。
というよりは、組織である以上は基本的にパレートの法則は成り立ちます。
優秀なサラリーマンは、そうでない人たちよりも給料が高くなっていきます。(但し、それでも能力に見合ったものではありませんが。)
その結果、累進課税によって税率は上がっていき、より高い割合の税金を支払うことになります。
社会保険料も高くなりますね。
つまり優秀なサラリーマンは
・会社では他の人の給料のために、成果以下の報酬しかもらえない
・税金や社会保険料は収入が低い人の分まで多く払う
というダブルパンチなのです。
そして税金などの話で言えば、サラリーマンは非常に弱い立場にあります。
個人事業主などであれば「経費」を使うことができるため、節税することができます。
しかしサラリーマンには「経費」が基本的に存在しません。
節税ができないのです。
ですから同じ収入だとしても、サラリーマンは個人事業主などと比べてはるかに多くの税金や社会保険料を支払うことになります。
さらに、優秀で高給のサラリーマンは政府の格好の餌食です。
国からすれば、サラリーマンは経費枠がないため、税金を取りやすい相手です。
収入の低いサラリーマンからたくさんの税金をとってしまうと反感を買ってしまいますから、収入の高いエリートサラリーマンを狙い撃ちにして様々な増税をしています。
優秀なサラリーマンは、国からの税金攻撃によっても損をしているというわけですね。
まとめ

・優秀なサラリーマンは、最も損をしている
・労働基準法により簡単に解雇をできないため、給料は低く抑えられる
・優秀なサラリーマンは、他の人の分まで稼いでいる
・優秀なサラリーマンは、政府から税金を搾取する格好の餌食にされる
優秀なほど損をするなんて理不尽なようにも思えますが、このように損をしてくれている人たちがいるからこそ、国や会社が機能するというのも事実です。
いわゆる
富の再分配
です。
優秀なサラリーマンの立場からすれば、このような状況を脱却するためには
・独立起業する
・実力主義の外資の会社で働く
などの方法があります。
実際に優秀な人ほど、独立起業したり海外の企業にヘッドハンティングで引き抜かれたりしています。
そうなると日本の企業に残っているのは、仕事ができない人ばかりになってしまうかもしれませんね。
それが進めば、日本は詰みます。
労働基準法などに手を加えることも一つの解決方法かもしれませんが、まずは損をしてくれている人たちに感謝をするのが必要不可欠ではないでしょうか。
給料以上の成果を出してくれている人や多くの税金を納めてくれている人たちに対して、感謝するのが筋というものです。
日本は高額納税者に対して批判が集まったりすることがあります。
理解に苦しみます。
はっきり言って異常です。
最低限そのあたりが改善されなければ、日本の企業などからは優秀な人たちが減ってしまう可能性は高いでしょうね。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。