8.ドルコスト平均法

やはり優秀!!ドルコスト平均法

今回は、積み立て投資の代表的な手法の一つである「ドルコスト平均法」についてです。

 

結論を言うと

多くの人にとっては、ドルコスト平均法を実践するべき

となります。

 

投資における最強の武器である「複利の力」は、長期投資で威力を発揮します。

そして長期投資を行うにあたって、誰もが実践しやすく相性が良いのが、ドルコスト平均法による積み立て投資です。

複利の威力を理解する
【最強の武器】複利の威力を理解する投資における最大の武器は、アインシュタインに「人類最大の発明」とまで言わしめた複利の力です。複利の力は、時間の経過とともに飛躍的に威力が増幅するため、複利の恩恵を受けるためには長期投資が前提になります。...

 

ドルコスト平均法については、投資関連の書籍・YouTube・ブログなど、様々なところで勧められていますね。

個人的にも間違いなくお勧めなのですが、勧めている人が多いからといって、そのまま鵜呑みにして実践してしまうのは良くありません。

それは、思考停止に他ならないからです。

情報を集めて、自分なりに精査してから取捨選択し、自分の頭で考えて判断する必要があります。

 

実際にドルコスト平均法は、決して万能な投資手法というわけではありません。

数ある投資手法の中の一つです。

当然、メリットだけでなくデメリットも存在するわけです。

自分の投資目的に合う人もいれば、合わない人もいます。

 

そのあたりも把握したうえで、しっかり考えてから判断しましょう。

 

それでは、ドルコスト平均法について説明していきます。

 

ドルコスト平均法とは

ドルコスト平均法とは

一定期間毎に一定金額ずつ、同じ投資対象を購入していく投資手法

のことを言います。

例えば、毎月10日に3万円ずつ購入し続けるというような方法ですね。

積み立て投資の一つという位置づけです。

 

ドルコスト平均法を用いることによって

価格が高い時には、少ししか買えない

価格が安い時には、たくさん買える

となります。

それによって、平均購入価格を平準化することができるのです。

つまり、価格が高い時に大量に買ってしまい、平均購入単価が高くなってしまうことを防いでくれるわけです。

 

ではドルコスト平均法によって、どのような効果が得られるのか、実際に検証してみましょう。

 

ちなみに、何か新しい情報などを得た場合は、検証できるのであれば検証してみるのがお勧めです。

理解も納得もしやすいです。

 

次のような条件とします。

10万円投資する。投資の方法は以下の2通り。

・一括で10万円を投資する。(一括投資)

・10万円を、10回に分けて1万円ずつ投資する。(ドルコスト平均法)

この2通りの投資方法をした場合の、結果を比較していきましょう。

3つのチャートパターンについて、検証します。

 

~パターン1~

ボックス相場チャート

1つ目のチャートパターンは、価格が上がったり下がったりしている相場です。

このような一定の範囲内を行ったり来たりしているのを、「ボックス相場」や「レンジ相場」といいます。

10回に分けて1万円ずつ購入した場合の購入口数は、以下のようになります。

ボックス相場のドルコスト平均法成績表

この場合の10回目が終わった時の保有資産は、以下の通りです。

<最初に一括で購入した場合>

最初に10万円分を一括で購入して、100口購入しています。

最終的な単価は1000円なので

1000円 × 100口 = 100,000円

 

<ドルコスト平均法で購入した場合>

最終的な口数は、101.43口になります。

最終的な単価は1000円なので

1000円 × 101.43口 = 101,430円

このようなボックス相場では、ドルコスト平均法の方が優れているのがわかります。

 

~パターン2~

上昇相場チャート

右肩上がりの上昇相場です。

みんなが大好きな相場ですね。

10回に分けて1万円ずつ購入した場合の購入口数は、以下のようになります。

上昇相場のドルコスト平均法成績表

この場合の10回目が終わった時の保有資産は、以下の通りです。

<最初に一括で購入した場合>

最初に10万円分を一括で購入して、100口購入しています。

最終的な単価は1500円なので

1500円 × 100口 = 150,000円

 

<ドルコスト平均法で購入した場合>

最終的な口数は、82.36口になります。

最終的な単価は1500円なので

1500円 × 82.36口 = 123,540円

このような上昇相場では、両者ともに利益が出ていますが、一括投資の方が利益が大きいのがわかります。

 

~パターン3~

下降相場のチャート

右肩下がりの下降相場です。

みんなが大騒ぎしてパニックになりそうな相場ですね。

10回に分けて1万円ずつ購入した場合の購入口数は、以下のようになります。

下降相場のドルコスト平均法成績表

この場合の10回目が終わった時の保有資産は、以下の通りです。

<最初に一括で購入した場合>

最初に10万円分を一括で購入して、100口購入しています。

最終的な単価は700円なので

700円 × 100口 = 70,000円

 

<ドルコスト平均法で購入した場合>

最終的な口数は、121.54口になります。

最終的な単価は700円なので

700円 × 121.54口 = 85,078円

このような下降相場では、両者ともに損失が出ていますが、ドルコスト平均法の方が損失が小さいのがわかります。

 

 

パターン1~3を見てもわかるように、相場によってはドルコスト平均法がベスではない場合もあります。

特に上昇相場では、ドルコスト平均法のリターンは一括投資に比べて、劣ってしまっていますね。

 

ドルコスト平均法のメリット・デメリット

検証の結果から、ドルコスト平均法のメリットとデメリットが見えてきます。

 

ドルコスト平均法のメリットは、下降相場のときに安い価格で拾っていけるため、購入口数を増やすしてダメージを小さくすることができます。

また、一括投資と違い、最初にまとまった資金がなくても少しずつ投資ができますね。

毎月の給料から少しずつ投資にまわしていくスタイルには、適していると言えます。

ほとんどの個人投資家は、そのようなスタイルですからね。

 

逆にドルコスト平均法のデメリットは、上昇相場のときにリターンが一括投資に比べて、小さくなってしまうことです。

ドルコスト平均法は、右肩上がりの上昇相場には弱いわけです。

また、少しずつ投資していくため、短期的な売買によって利益を得るのには向いていません。

まあ、短期売買に向いていないのは、ドルコスト平均法が積み立て投資である以上当たり前ではあります。

そもそも積み立て投資は、短期売買で利益を出そうとするものではないですからね。

 

まとめると、以下のようになります。

ドルコスト平均法のメリット

・下降相場のときに、購入口数を増やせる

・まとまった資金がなくても、投資をはじめられる

ドルコスト平均法のデメリット

・上昇相場のときに、一括投資に比べてリターンが劣る

・短期的に利益を得るのに向いていない

 

一括投資 VS 積み立て投資

では複利の恩恵を得るために長期投資することを前提とした場合、ドルコスト平均法などの積み立て投資と一括投資では、どちらが適しているのでしょうか。

 

これに対する答えは、合理的に考えれば明確で

可能なのであれば、一括投資を選択するべき

となります。

 

まず、長期投資の前提としては

市場は長期的に見れば、成長していく

ということです。

短期的な下落などがあっても長期的に見れば、右肩上がりのチャートになることが前提なのです。

もし、長期的に成長せずに右肩下がりであれば、そもそも長期投資などせずに預金しておいた方が良いに決まっています。

「長期的には、右肩上がりに世界経済は成長する」という予測があるからこそ、長期投資をするわけですよね。

 

投資の基本概念は

成長に賭ける

ということですからね。

 

では、先ほどのチャートのパターン2を思い出してください。

右肩上がりの上昇相場のとき、優れていたのはドルコスト平均法ではなく、一括投資でしたよね。

つまり、右肩上がりを前提とした長期投資においては、積み立て投資よりも一括投資の方が優れているのは明白なわけです。

もし積み立て投資の方が優れているとするのであれば、「長期的に右肩上がり」という前提そのものを否定することになってしまうのです。

 

但しリスクに関しては、一括投資と同じ金額を積み立てるまでは、積み立て投資の方が小さくできます。

具体的には、先ほど見た3つのパターンの9回目までであれば、積み立て投資の方が小さくできるということですね。

一括投資と積み立て投資ではパフォーマンスが変わりますから、厳密に言えば異なりますが、大まかに言えば10回目の積み立てをした時点でリスクの大きさは同じになります。

 

ですから、持っている資金を投資にまわすことが確定しているのであれば、最初に一括投資した方が基本的には合理的だということになります。

 

それでもドルコスト平均法が優秀な理由

一括投資の方が優れているにも拘らず、積み立て投資であるドルコスト平均法を勧める理由について、説明します。

 

一括投資の方が優れているのは間違いありませんが、一括投資をするには条件が2つあります。

・最初からまとまった資金があること

・一括投資によるリスクの大きさが、リスク許容度の範囲内であること

多くの人は、この2つの条件を満たすのが難しいのです。

 

最初からまとまった投資資金がある人は、なかなかいませんよね。

毎月の給料から投資資金を捻出して、積み立てていくのが現実的です。

まとまった投資資金が貯まるまで投資をせずに待って一括投資をするのは、投資期間を縮めてしまうことになりますから、複利の力が弱まってしまいます。

複利の力こそが最大の武器ですから、これはダメですね。

ですから、少額からでもコツコツと積み立てながら投資を進めていくのが、多くの人にとって有効であり現実的な手段なのです。

 

仮に数百万円以上の投資資金が最初からあった場合も、それを一括投資することがリスク許容度の範囲内なのか、考えなくてはなりません。

長期的に見れば、右肩上がりに成長するとしても、短期的には〇〇ショックのような大暴落を喰らうこともあります。

一括投資した直後に、投資金額の半分が吹っ飛ぶなんてこともあるのです。

そうなっても、慌てずそのまま冷静に待てる人は、そうそういないですよね。

 

ですから、ほとんどの人には一括投資はハードルが高く難しいのです。

 

それに対してドルコスト平均法などの積み立て投資は

・いつからでも少額から始められる

・一括投資に比べて、精神的に安定しやすい

というメリットがあります。

投資において、何よりも重要なことは

・投資を始めること

・投資を続けること

です。

 

90%の個人投資家が負けると言われていますが、負ける個人投資家のほとんどは、途中で投げ売りしたりして退場した人です。

暴落を経験しても、淡々と長期的に続けていれば、誰でも利益を出して資産を作れることは歴史が証明しています。

つまり、投資をはじめて、そして淡々と続けさえすればいいのです。

そのために最も大切なことが、メンタルの安定です。

単なる精神論・根性論に聞こえるかもしれませんが、メンタルこそが投資失敗の最大の原因なのです。

 

そのような意味で

ドルコスト平均法は、メンタルが安定しやすい投資手法

といえます。

そしてそれこそが、ドルコスト平均法が優秀である最大の理由です。

 

まとめ

・多くの人にとっては、ドルコスト平均法は実践すべき投資手法

・長期投資においては、一括投資の方が優れていると言える

・ドルコスト平均法の最大の利点は、「メンタルの安定」

 

最初からまとまった資金があって、その資金の大半が吹っ飛んでも大丈夫なリスク許容度の人は、迷わず一括投資にするべきです。

そうでない人にとっては、ドルコスト平均法は非常に優秀で実践すべき手法になります。

 

ある調査によると、投資成績の良かった人の特徴は

1位  亡くなっている人

2位  投資していることを忘れている人

だったそうです。

つまり、完全に放置している人こそが、投資成績が良かったということです。

 

このことからも、精神的な安定こそが投資成功の鍵であることがわかりますね。

ドルコスト平均法は、「多くの人にとって、精神的に付き合いやすい投資手法」ということなのです。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。