健康・医療

「腫れたら冷やす」は間違い

「腫れたら冷やす」は間違い

今回は、「腫れたら冷やす」ということについてです。

 

結論としては

・腫れても、基本的には冷やすべきではない

・冷やすことで治りを悪くしている

です。

 

リンパが腫れたり、親知らずの周りが腫れたり、身体の様々な部位が腫れることがありますよね。

そのような時、氷で冷やすなどの対応をしている人は多いのではないでしょうか。

「腫れたら冷やす」というのは、常識のようにもなっていますね。

 

しかし「腫れたら冷やす」というのは、正しい対応方法ではありません。

むしろ冷やすことで、治りを悪くしてしまっています。

常識が間違っているわけです。

 

このことは、「腫れる」という状態は何が起こっているのか理解すればわかります。

 

それでは、「腫れる」とはどのようなことが起こっているのか、そしてなぜ冷やさない方が良いのかについて説明していきます。

 

「腫れる」とは

腫れるとは

炎症などによって、身体の組織の一部がふくれること

を言います。

つまり腫れるということは、炎症の結果(炎症の一部)として起こることです。

炎症によって起こる4つのことを「炎症の4徴候」と言い

発赤・熱感・腫脹・疼痛

の4つを指します。

機能障害を含めて、5徴候ということもあります。

この中の腫脹が、腫れるということです。

ですから、腫脹(腫れること)を理解するためには、炎症とは何かを理解する必要があります。

 

炎症とは

身体を守るための生体の防御反応

の一つです。

 

炎症は主に

・感染(ウイルスや細菌などの微生物)

・物理的刺激(打撲や捻挫や火傷など)

・化学的刺激(化学薬品に触るなど)

に対して起こります。

 

では、ウイルスや細菌などが感染した時に、具体的に炎症反応はどのようなことが起こっているのか説明します。

実際には非常に複雑ですが、要点のみを簡潔に説明します。

 

ウイルス・細菌が体に侵入図

ウイルスや細菌が体内に侵入した状態です。

ウイルスや細菌を攻撃する白血球は、血管を通って運ばれてきます。

血管が太くなった図

ウイルスや細菌が体内に侵入すると、血管が太くなって血流が増えます。

その結果、血流によって運ばれてくる白血球の量は増えます。

道路を広げれば、車がたくさん通れるのと同じです。

ウイルスや細菌を排除できる白血球をたくさん運んでくるために、血管が太くなるわけです。

下向きのやじるし 白血球がウイルスや細菌を攻撃の図

白血球は血液成分と共に血管から組織に出て、ウイルス・細菌を攻撃します。

 

このように、ウイルス・細菌が感染した部位に多くの白血球を送り込んでウイルスや細菌を撃退するために、体はその部位の血管を太くして血流を増やします。

その後、増えた血液は組織に染み出していくので、組織は膨らみます。

その膨らみが、腫脹(腫れ)です。

 

ですから腫れるというのは

免疫細胞を多く運ぶために、血管が太くなって血液量が増えるため

ということです。

つまり腫れるというのは、身体を守るための反応の一つということです。

 

ちなみに他の炎症の4徴候である発赤・熱感・疼痛も、この流れが原因で起こります。

発赤(赤くなること)・・・・・血液が増えて血液の色が見えるため

熱感(熱っぽくなること)・・・血液が集まるためその熱を感じるため

疼痛(痛むこと)・・・・・・・腫脹によって圧がかかり圧迫されるため

 

「腫れること」「赤くなること」「熱っぽくなること」「痛くなること」は、全て身体を守るために起こっている炎症の結果として起こることだということです。

 

冷やさない方が良い理由

腫れた部位(炎症を起こしている部位)を冷やすということは

血管の拡張を抑えて、血管を細くしている

ということです。

 

ここまで説明してきた通り、白血球を多く運ぶために血管が太くなった結果として腫れているわけです。

そこを冷やすということは

血流を減らして、運ばれてくる白血球の数を減らす

ということに他なりません。

 

白血球が減るということは、ウイルスや細菌を攻撃する免疫力が低下するということですから、治りにくくなるということです。

言ってみれば、生体の防御反応を邪魔しているわけです。

身体が自身を守るために行っていることを邪魔しては、元も子もありませんよね。

 

痛みがあるからと言って「消炎鎮痛剤(痛み止め)」を飲んだりするのも、冷やすのと同様です。

痛みも炎症の結果として生じるものです。

消炎鎮痛剤は炎症を抑える薬ですから、これまた身体の防御反応を邪魔してしまいます。

 

炎症は、身体を守るための必要不可欠な反応

ということをしっかり認識する必要があります。

 

ただし、打撲や捻挫などの外傷によって腫れている場合は少し微妙です。

打撲や捻挫などの場合の腫れも、基本的に感染の時と同じ機序で腫脹・発赤・熱感・疼痛は起こります。

しかし、外傷のような物理的刺激の場合は感染しているわけではありません。

白血球は必要ないのです。

ですから、このような場合には冷やす方が良いでしょう。

 

ただ、外傷の場合でも炎症が起こっていることは決して無意味ではありません。

感染はしていなくても、外傷によって組織が損傷している場合もあります。

そのような時には修復する細胞が集まってきますが、血管などが太くなることで修復細胞がたくさん送れるというメリットもあります。

 

とは言え、感染でない外傷などの物理的刺激による時は、基本的に冷やして腫れがひどくなるのを防ぐ方が良いと思います。

 

身体はベストな反応をする

しっかり理解した方が良いことは

人間の身体には自己治癒力が備わっている

ということです。

何かしらの攻撃を受けたときに、身体自身が抵抗して、自ら治そうとする力です。

 

代表的なものとしては、「免疫機能」「修復機能」などがそうですね。

免疫機能

ウイルスや細菌の感染が起こったとき、免疫機能が発現してウイルスや細菌を排除しようとする

 

修復機能

ケガなどで組織が損傷したとき、修復機能が発現して組織を元に戻そうとする

というものです。

これらを効率的に行うために、身体は炎症を起こすのです。

 

他には、「症状」というのも自己治癒反応です。

例えば、風邪をひいた時の咳・くしゃみ・発熱・下痢などは

咳・くしゃみ・下痢

ウイルスなどを体外に出そうとする反応

 

発熱

ウイルスを倒すために、免疫を活性化させるための反応

という反応です。

 

つまり、人間の身体は何かしらの攻撃(刺激)を受けてダメージを受けた際には、その状況を脱して正常な状態に戻ろうとベストな反応をするのです。

身体は常に、自己治癒反応という最善策を行ってくれているというわけです。

人間の自己治癒反応イメージ

こんなイメージですね。

 

それに対して、炎症を冷やしておさめたり風邪薬などを飲むということは、自己治癒反応を邪魔することに他ならないのです。

風邪薬は飲むな
風邪薬を飲んではいけない風邪をひいたときに、咳止め・鼻水止め・下痢止めなどの症状を抑える薬を飲むことは、風邪を治りにくくしているだけです。症状というのは、身体の自己治癒反応です。風邪薬などの多くの薬は、身体の治癒反応を阻害しているだけなのです。...

 

まとめ

・腫れるのは、生体の防御反応である炎症の結果として起こること

・腫れを冷やすのは、身体の防御反応を邪魔することに他ならない

・身体は、身体自身を守るために最善の反応をする

 

健康を維持するために、絶対に守らなければならない最低限が

身体の自己治癒力を阻害しない

ということです。

人間の自己治癒力は、どんな医療よりも優秀です。

 

それなのに、「腫れたら冷やす」「風邪薬を飲む」など、常識や医療は間違いだらけです。

大切なのは免疫力などの身体の自己治癒力を最大にすることです。

自己治癒力を最大にするためには、生活習慣こそが重要です。

 

安易に薬などで健康は手に入れることはできないのです。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。