今回は、複利についての話です。
結論を言うと
投資をする上で、複利こそが最強の武器
ということです。
複利の力を利用することで、誰でも時間をかければ大きな資産を築くことができます。
逆に言えば、複利の力がないと元々資産家ではない人が資産を築くのは、相当困難なことになります。
複利は、資産を増加させるブースト装置なのです。
相対性理論などで有名なアインシュタイン博士は、複利のことを「人類最大の発明である」と評したそうです。
すごいですよね。
しかし、複利は諸刃の剣でもあります。
複利が最強の武器なのは間違いありませんが、付き合い方を間違えると最凶の敵になります。
ですから、複利の威力をしっかり理解し、正しい付き合い方をする必要があります。
それでは、複利の威力や付き合い方などについて、説明していきます。
複利とは

複利の対義語は、単利です。
単利と複利を比較してみましょう。
単利 : 「元本のみ」に利子が付く
複利 : 「元本+利子」に利子が付く
例えば、元本100万円で年利10%だったとします。
単利では、1年後に110万円、2年後に120万円になります。
それに対して複利では、1年後に110万円なのは変わりませんが、2年後は110万円が1.1倍されるので121万円になります。
あまり変わらないように思えるかもしれませんが、期間を長くすると、差は大きくなっていきます。
元本100万円で年利10%の例を、10年後まで単利と複利をそれぞれ見てみましょう。

単利は毎年100万円の10%の10万円ずつ増えていくのに対して、複利は毎年1.1倍になります。
表を見てみると、単利と複利の差が年々大きくなっていくのがわかりますね。
10年後の利子を見れば、単利は100万円なのに対して、複利は約160万円になっています。
1.6倍の差です。
ちなみに期間を20年にした場合は
単利 : 300万円(うち利子200万円)
複利 : 673万円(うち利子573万円)
となります。
利子は3倍近くになっています。
期間を30年にしたら、差はさらに大きく広がります。
このように、単利と複利の差は、年数を重ねるごとに加速度的に広がっていくのです。
複利の威力

複利の威力について、投資をする上で現実的な利回りを使いながら、もう少し見ていきましょう。
投資をしていく上で、資産形成のイメージ作りに役立つと思います。
~100万円投資して放置した場合~
元本100万円を投資して、放置したケースです。
年利4%・5%・6%・7%の場合、それぞれ以下のようになります。
投資をしなければ、もちろん100万円のままです。

期間が長くなるほど、飛躍的に増えているのがわかりますね。
年利6%だと30年後には570万円以上、年利7%だと30年後には760万円以上になっています。
複利の威力が、非常によくわかりますよね。
しかし、多くの人にとっては一括投資は現実的ではありません。
毎月少しずつ積み立てていくような投資スタイルの方が現実的でしょうから、そのようなケースも見ていきます。
~毎月3万円ずつ積み立てた場合~
毎月3万円ずつ積み立てて、取り崩したりはしないケースです。
先程と同様に、年利4%・5%・6%・7%の場合、以下のようになります。

毎月3万円を30年間積み立てたら、年利4%だとしても2000万円を超えます。
6%だと3000万円をも超えますね。
米国株式市場全体的な伸び率は、インフレ率を引いたとしても年利6~7%が見込めます。
そのようなことを考えれば、毎月3万円を積み立てて複利の力を使えば、「年金2000万円不足問題」なども問題なくクリアできるわけです。
参考にグラフでも見てみましょう
毎月3万円を年利6%で運用した時と、運用しなかったときの比較です。

運用した場合は、時間と共に加速度的に資産が増えていっています。
いわゆる「雪だるま式」に資産が増えている状態です。
この加速度的な増加こそが、複利の威力なのです。
複利×時間

ここまで見てきたように、複利の威力は絶大です。
但し、複利の絶大な効果を享受するためには、一つ条件があります。
それは「時間」ですね。
長期間になればなるほど、複利は威力を発揮していきます。
逆に言えば、数年レベルの短期間では、複利の威力はあまり発揮されません。
つまり
複利の威力を享受するためには、長期投資が前提
ということです。
「複利×時間=リターンの最大化」ということですね。
長期投資というのは、一般的には15~20年以上のことを言いますが、期間が長いほど複利の効果はどんどん増幅していきます。
ですから
少しでも早く投資を始める
ということが、非常に重要になるわけです。
複利との付き合い方

複利は絶大な威力があるため、付き合い方を間違えると大変なことになります。
複利との付き合い方の鉄則は
複利は味方にしておいて、絶対に敵にはしない
ということです。
投資において複利の力を利用するのは、当然ながら味方にしている状態です。
しかし
カードローンやリボ払いなどの利息
このような借金については、複利を敵に回してしまっている状態です。
これらの利息は年率15%とかです。
これまでリターンの想定で見てきた4~7%の比ではないのです。
そのようなものが積もりに積もって、期間が長期化してしまえば、手に負えなくなってしまいます。
そうなってしまえば、複利の力によって身を滅ぼすことになってしまいかねません。
利率の低い住宅ローンですら、かなりのダメージを喰らいます。
住宅ローンは、長期間になりますからね。
例えば、住宅ローンで4000万円を年利1%で借りて、35年ローンで返済するとします。
その場合の支払総額は、手数料や保証料などを全てなかったとしても、4742万円になります。
742万円の利息を払うことになるというわけですね。
但し、住宅ローンはカードローンやリボ払いのような借金とは違い、マイナスばかりではありません。
その理由としては
・利率が低い
・住宅ローン控除などがある
・住宅ローンを組んだ分、投資にお金を回せる
などがあります。
「住宅ローンを組んだ分、投資にお金を回せる」というのは、例えば一括現金で住宅を買える場合などです。
一括で買った方が、利息を払わなくて済みますが、トータルしてマイナスになる可能性があります。
それは、その4000万円を投資にまわす機会を失うためです。
住宅ローンを組めば、4000万円は投資にまわすことはできますよね。
投資の利回りが6%だとしたら、住宅ローンで1%持っていかれても、差し引き5%のプラスです。
このような借金は、「良い借金」とも言えます。
但し、このやり方はリスクが高くなるために、自分のリスク許容度と相談しなくてはならないことは言うまでもありませんね。
平均回帰性

最後に、投資において複利と同じくらい非常に重要な概念を1つ紹介します。
それが「平均回帰性」です。
平均回帰性とは
短期的には偏りがあっても、長期的には平均に近づいていく
という性質のことです。
投資に置き換えてみると
短期的にはリターンにバラつきはあっても、長期的には平均に近づく
ということです。
例として、米国の代表的な指数である「S&P500」のリターンを見てみましょう。
以下のグラフは、S&P500の1999年~2018年の各年のリターンです。

S&P500の平均年率リターンは、6~7%です。
横に引いてある黒線が、6~7%のところです。
単年ごとにリターンを見ると、6~7%の年は全くないのがわかりますね。
リターンは、単年で見るとプラスもマイナスもあり、非常にばらつきが大きいですよね。
このように毎年平均とはかけ離れたリターンを出しながら、長期的には平均である6~7%というリターンに収束していきます。
これが平均回帰性なのです。
ですから、複利の効果を説明するためにここまで使った表やグラフは、机上の空論でしかないわけです。
あのようなシミュレーションは、毎年6%というように一定の割合で増えていく想定です。
しかし、実際にはそのような増え方は、絶対にしません。
毎年バラバラなリターンを出しながら、長期的には平均に収束していくのです。
要するに、実際の複利の効果が計算による想定に近づくのは、あくまでも長期的に見た前提の上に成り立つということです。
短期的にマイナスになったりしても、決して慌てないでください。
まとめ

・投資で資産形成をする上で、複利の力は最大の武器
・複利の力は、長期投資を前提として発揮される
・カードローンなどの悪い借金は、複利を敵に回して身を滅ぼす
・リターンは短期的にはバラバラでも、長期的には平均に収束する
複利の力のことを考えても、平均回帰性のことを考えても、着実に資産形成するためには「長期投資」が前提になります。
逆に言えば、長期投資を淡々と続けていれば、かなりの高確率で資産形成はできるわけです。
しかし、9割の個人投資家が負けているというデータがあります。
これは、短期的なマイナスなどに慌てて投げ売りなどをしてしまうからに他なりません。
世の中や周りがパニックになっている時こそ、淡々といつも通り積み立て続ければ良いのです。
そして、景気が良くて世の中や周りの人がイケイケになっている時も、淡々といつも通り積み立て続ければよいのです。
周りに合わせる必要なんてないのです。
むしろ、多数派に付いて行ったら、負ける90%に入ってしまうことは明らかです。
周りに合わせず淡々と続ければ、少ない勝ち組になれることは歴史が証明しています。
投資に限りませんが、何事も基本をおさえて、基本に忠実に継続することが一番です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。