今回は、資本主義のルールについてです。
結論を言うと
資本主義の中では、資本家にならなければ、経済的に豊かになれない
というものです。
言い方を変えれば、「労働者として頑張って働くだけでは、金持ちになれない」ということです。
「豊かになるためには、一生懸命働くことが全てだ」
というようなオールドタイプの常識を持っている人も多いですが、とりあえずそのような凝り固まった常識は捨てましょう。
一生懸命働くことはとても大切なことですが、視野を広く持つ必要があります。
私たちは、資本主義の中で生きています。
資本主義自体が正しいかどうかや、資本主義を好むか好まないかは別として、この事実は変えられません。
変えられないのであれば、そのルールをしっかりと理解し上手く利用した方が、効率的に豊かに生きていきやすいのが道理です。
ですから、まずは資本主義のルールをしっかり理解することが、非常に重要になります。
資本主義のルールを証明したのは、フランスの経済学者であるトマ・ピケティ氏です。
ピケティ氏は、20か国を対象に過去300年間を遡り、資本主義について研究したそうです。
研究期間は、15年間にも及ぶということですから、すごいですよね。
その研究によって明らかになったことを、ピケティ氏は2013年に出版された著書『21世紀の資本』に記しています。

つまり『21世紀の資本』に書かれていることは、ピケティ氏の意見ではなく、研究によって証明されたエビデンスをベースにしたものだということです。
この本は、世界中でベストセラーになり、世界中の人々に大きな衝撃を与えました。
この本に書かれていることを一言でまとめると
資本主義では、「r>g」というルールが成り立つ
ということになります。
rとgは
r : 資本収益率
g : 経済成長率
を表します。
ちょっとよくわからないですよね。
それでは、資本主義のルールである「r>g」について、説明していきます。
資本主義とは

資本主義のルールを理解するためには、そもそも資本主義とは何か、ということについて知る必要があります。
資本主義は、簡単に言うと
個人が自由に、営利目的で経済活動を行える
というものです。
「個人個人が、国のためではなく、自分のために自由に稼いでいいよ」ってことです。
資本主義の逆は、「個人は国のために働く」という社会主義ですね。
現在は、日本を含めた先進国のほとんどが、資本主義をとっています。
資本主義は、自由に経済活動が行えるため
競争が起こって、より良いモノやサービスが生まれ、経済成長しやすい
というメリットがあります。
それに対して、デメリットもあります。
デメリットは
貧富の格差が拡大する
というものです。
元々お金や土地などの資本を持っている人は、人を雇って経済活動を行い、さらに大きな資本を獲得できます。
しかし、お金や土地などの資本を持っていない人は、自らの労働力を提供して稼ぐしかありません。
この両者の収益力の間には、大きな差が発生して貧富の格差が拡大してしまうのです。
このことを世界中の300年間の膨大なデータを用いて証明したのが、トマ・ピケティ氏であり、それを記したのが『21世紀の資本』なのです。
それでは、資本主義のルールである「r>g」について、説明していきます。
資本主義のルール「r>g」とは
「r>g」のrとgは
r:資本収益率
g:経済成長率
を表します。
つまり「r>g」は「資本収益率>経済成長率」を表した式ということです。
もう少しかみ砕くと以下のように置き換えることができます。
資本収益 → 資本によって得られる → お金がお金を生む
経済成長 → 労働によって得られる → 労働がお金を生む
要するに、資本家が保有している資本を使ってお金を増やしていくスピードは、労働者が労働によって給料が上がっていくスピードよりも速いということです。
さらに端的に言えば
金持ちはさらに金持ちになり、そうでない人はいつまでも金持ちになれない
ということです。
資本家ではない人が、どれだけ頑張ったとしても、資本家との格差は広がり続けるわけです。
残酷な現実ですよね。
このことをピケティ氏は膨大なデータにより、資本主義である限りルールのように必ず生じることだということを証明したのです。
一部の資本家が、その資本を使って労働者を雇い、さらに資本を作り上げていきます。
しかし、それによって発生した収益のほとんどは、労働者にはいかずに資本家のものになるということですね。
この貧富の格差が拡大する構造こそが、資本主義最大の問題点なのです。
「世界の富豪トップ42人の資産額の合計は、最も貧しい37億人の資産額の合計に匹敵する」という事実は、そのことを如実に表しています。
「r>g」の中で出来ること

「r>g」による格差拡大を是正するためには、国による富の再分配が必要だと、ピケティ氏は言っています。
お金持ちからはたくさん税金をとって、貧困層などに再分配するということです。
確かにこの方法は、一定の効果はあるでしょうし、有効な手段です。
しかしあくまでも国が行うことですから、私たちは能動的に行わるわけではなく、受動的にならざるを得ません。
政策次第というわけです。
では打つ手はないかと言えば、そんなことはありません。
個人でも出来ることはあります。
視点を変えれば良いのです。
「r>g」なのであれば、少しでもg側からr側へ移れば良いのです。
「r>g」というのは、資本主義の不公平な現実を表している一方で、資本主義の中でお金持ちになる方法を教えてくれているわけです。
もちろん、私たちのような一般人が、資本家のように莫大な資本を使ってたくさんの人を雇って事業をしたりすることはできません。
しかし、資本家がそのようにして出している利益の一部を享受することは可能です。
つまり
労働者としてではなく、株主として企業から利益を受け取る
ということです。
シンプルに言えば
株を買う
ということになります。
株を保有して株主になることで、少しずつでもお金がお金を生む仕組みを取り入れることができるわけです。
はっきり言ってしまえば、資本主義においては株式こそがお金を生むものであり、それを利用しない手はないのです。
そして株主になることは、インターネットの普及した現代は、誰にでも簡単にできることです。
まとめ

・資本主義では「r>g」というルールが成り立つ
・富は富のある所に集まり、富のないところには富はやってこない
・対応方法としては、投資をして株主になること
資本主義の中で、投資をして株主になりr側に行くことは、経済的に豊かになるために現時点では必須手段です。
しかし、この方法はあくまでも、対症療法でしかないというのも事実です。
資本家ではない私たちがどのような対応をしようと、現在の資本主義である限り、富は集中していき格差は拡大していきます。
産業革命以降の資本主義は、発展途上国などの安い労働力を使い、先進諸国が世界の経済成長を牽引してきたと言う背景があります。
しかし近年、発展途上国の人件費は上がり、経済成長率も発展途上国が先進国を上回ってきていますよね。
つまり、安い労働力が世界からなくなってきているわけです。
その結果、アメリカや日本などの先進国では、株価を維持したり上げるために、政府が公的資金を大量に注入しています。
資本主義が揺らいできているのです。
そもそも安い労働力を使うことで成り立つ資本主義は、焼き畑農業と同じで、いつかは行き詰まるのが確実です。
そして、発展途上国などの安い労働力を使って成長していくというのは、富の搾取に他なりません。
本来的にあるべき姿なのかは、甚だ疑問ですよね。
強者が弱者から奪うことで繫栄しているということですから。
とは言え、国が管理して国民全員が平等な世の中を目指した社会主義は、ことごとく崩壊しました。
社会主義が成立すれば楽園なのかもしれませんが、人は競争がない以上はモチベーションが保てないのです。
今後は、従来の資本主義でもなく、かといって社会主義でもないような社会の在り方が求められるようになると思います。
それがどのような形で、いつになるかわかりませんが、私たちは変化に対応しなくてはなりません。
「投資をして株主になって富を得る」というのは、現時点での対応方法であり、今後もそれが適切かどうかはわからないのです。
変化に対応するためには、思考停止で言われたことを受け入れるのではなく、自分の頭で考えることが必要不可欠です。
常識を疑い、知識を得て、考えて行動しましょう。
間違いなく言えることは、考えることのできる人と出来ない人には、大きな差ができるということです。
それは、どのような時代や環境であれ、普遍的なことです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。