健康・医療

【医療と資本主義】医療に自由競争は不向き

【医療と資本主義】医療は自由競争に不向き

今回は、医療と資本主義についてです。

 

結論としては

・医療は性質上、自由競争には不向き

・医療は理念と利益が相反する

・医者などを公務員にすれば解決できる

です。

 

現在、日本を含め世界中の多くの国は資本主義社会です。

資本主義においては、生産活動は各々が利益を求めて行動し、市場で自由に競争を行います。

平たく言えば

資本主義は、個人がそれぞれ利益を求めて自由に競争する

ということです。

つまり、各々が利益を求めることが根幹であり、それによって経済が成長していくのです。

資本主義においては、経済成長が前提条件とも言えます。

 

ですから、あらゆる分野において自由競争が行われ、各々が利益を増やすことを目的として活動しています。

そしてそれは医療の分野においても、他の分野とは多少の違いはあるものの、概ね同様と言えます。

医療行為であろうと、病院経営であろうと、それは営利目的の活動なのです。

 

資本主義社会である以上、医療も利益を求めるのは仕方ありませんが、その結果医療の本質が狂ってしまっているというのも事実です。

医療の本質的な理念は、資本主義には合わないのです。

 

医療の本質的な目的

医療の本質的な理念・目的は

健康を維持すること

です。

多くの人が勘違いしていますが、医療の目的は決して「病気を治すこと」ではなく、「健康を維持すること」です。

 

「健康を維持すること」の一部に、「治療して病気などを治す」ということが存在します。

病気を治したとしても、患者が健康でなければ、大して意味はありません。

手術は成功しましたが、患者は亡くなりました。

では意味ないですよね。

 

では、健康を維持するために最も重要なことは何かと言えば

病気などにならないこと

です。

当たり前ですね。

病気にならずに健康体のままでいられるのがベストだということに、疑う余地はありません。

 

ですから、医療の第一の目標は

病気などを無くす・減らすこと

です。

究極的に理想論を言えば、病気などがこの世の中から消えてなくなれば、誰もが健康を維持して生きていけるわけです。

つまり医療者が最も力を入れて行うべきことは、病気を無くしたり減らしたりするために、患者に啓蒙したり指導したりすることなのです。

 

しかし現実には、そのようなことを徹底して行っても病気などを100%無くすことは出来ません。

ですから残念ながら病気などになってしまった場合に、「病気を治す」という治療を行うのです。

言ってみれば、治療というのはやむを得ず行う行為だということです。

 

つまり、医療というのは

1.患者を可能な限り減らす

2.やむをえない場合に治療を行う

という優先順位であるはずなわけです。

 

目的と利益の相反

しかし、医療をビジネスとして見た時には様相は変わってきます。

ビジネスにおいては、利益の最大化が目標になります。

利益を最大化するためには、大まかに言えば

客(患者)単価 × 客(患者)数

を最大化する必要があります。

 

ですから医療で利益をあげるためには

・患者一人一人の病気を増やして単価を上げる

・患者数を増やす

ということが必要になります。

 

つまり、病気が増えて患者が増えた方が、医療は潤うということです。

そしてそれを達成するために、医療界は様々なことを行ってきています。

・高血圧の基準値を何の根拠もなく引き下げる

・合理性のないワクチンを推奨する

・無駄に薬を処方する

などなどは、その典型例です。

個人単位で言えば、医療の理念・目的に従って病気や患者を減らしたり無くしたりするために奮闘している医療者もいますが、医療界全体で言えばそうではありません。

いかに病気や患者を増やすか、ということに尽力しているわけです。

医療市場を広げようと、躍起になっていますからね。

 

客単価を上げて客数を増やすということは、営利目的である以上、当たり前のように目指すべきことです。

他の業種では、それが当然のことなのです。

 

しかし医療に限って言えば、そのように利益を増やすことは、病気や患者を減らしたり無くしたりするという本来の目的・理念と相反してしまうのです。

このことは、医療者の良心の問題でもありますが、それだけで終わらせられる話ではありません。

医療者やそれに付随する職業の人にも、生活があり家族がいます。

また、医者が全く稼げない職業になったら、医者になる人もいなくなります。

人の身体や命を扱い、訴えられるリスクもあるような厳しい仕事でもあるのです。

そして、医者は減っても問題ないと思いますが、ある程度は必ず必要な職業です。

 

つまり、この問題は医療者の心の問題などで済まされるレベルではなく、そもそも構造的な問題でもあるのです。

 

医者の公務員化

この矛盾を解消するためには、医療を資本主義や自由競争から切り離す必要があります。

患者や病気を増やして、患者の奪い合いをするのではなく、医療全体で患者や病気を減らしたり無くしたりするように力を合わせるようにするために

医療者を公務員にする

というのは、一つの選択肢になると思います。

 

高水準の給与に設定し、医者などになるハードルを非常に高くし、限られた人だけが医者などになれるようにすると良いと思います。

また、定期的に第三者機関などによる技能・知識のチェックテストを行い、クリアできなければ資格剥奪もしくは一時資格停止などはどうでしょうか。

医者の数も減り、患者の病院依存や過剰医療も解消されるはずです。

そして医療者になったり継続できるハードルを高くすることによって、医療者の質は向上するのではないでしょうか。

 

給与も高水準であるものの、公務員なので成果報酬型ではないため、患者や病気を減らすという医療本来の目的を目指せるようになると思います。

 

現実的に実現は難しいでしょうが、長い時間をかけてでも医療を国営化するべきです。

医療というのは、人々が生きていく上で必要不可欠なインフラと言ってもいいようなものです。

インフラは基本的には自由競争にするのではなく、国がしっかりと保護して守らなくてはなりません。

 

まとめ

まとめ

・医療の本質的な目的は、病気などを無くしたり減らしたりすること

・医療は目的と利益が相反してしまう

・医療者を公務員にして、医療は国営にするべき

このようなことを実際に進めようとすれば、医師会など医療者サイドから猛烈な反対が起こることは確実です。

そして様々なデメリットが生じてしまうことも、間違いありません。

 

しかし、目的と利益が相反する状態というのは、いい結果になるはずがありません。

相反するということは

・利益のために目的を放棄する

・目的を果たすために利益を放棄する

のどちらかしかないわけです。

 

目的を放棄してしまえば、医療は人々の健康のためではなく、人々の健康を壊すために存在することになってしまいます。

利益を放棄すれば、志のある医療者たちが犠牲になって力尽きていくだけで、継続は絶対に出来ません。

 

目的と利益は合致しなくてはならないのです。

そのために、医療者の公務員化は考えるべきだと思います。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。