健康・医療

【歯科】歯を接触させていたら要注意!!

【歯科】歯を接触させていたら要注意!!

今回は、「歯ぎしり」や「食いしばり」などについてです。

 

結論としては

・「歯ぎしり」「食いしばり」「TCH」は、歯や顎などに悪影響がある

・TCHとは、日中に上下の歯を接触させる悪習慣のこと

・「歯ぎしり」「食いしばり」「TCH」に対して、対応した方が良い

となります。

 

寝ている間に無意識にやってしまう「歯ぎしり」や「食いしばり」が、歯や顎や筋肉に対して悪影響だということは聞いたことがあるのではないでしょうか。

事実、歯ぎしりや食いしばりなどは、歯や顎や筋肉に大きなダメージを与えることがあります。

 

しかし、歯ぎしりや食いしばり以上に歯や顎や筋肉に悪影響があると言われているものがあります。

それは

TCH(Tooth Contacting Habit:歯牙接触癖)

です。

TCHとは

日中に、無意識のうちに上下の歯を接触させてしまう癖

のことを言います。

このように言うと、「上下の歯って基本的に当たってるんじゃないの?」という反応をする人が非常に多いですね。

 

では、1つ質問です。

1日24時間の中で、上下の歯が触れているのは、正常であればどのくらいでしょうか?

この質問をすると、ほとんどの人が数時間~十数時間と答えます。

 

しかし正解は、平均して

15~20分

です。

 

実は顎の筋肉がリラックスした状態では、上下の歯は2~3ミリほど離れています。

そして基本的には、それが普段の正常な状態とされます。

上下の歯が触れるのは、物を食べていて咬んでいる瞬間のみです。

 

しかし日中のTCHや、寝ている間の歯ぎしりや食いしばりのように、食べているとき以外にも上下の歯を触れさせてしまっている人がかなり多いのです。

 

それでは、歯ぎしり・食いしばり・TCHの悪影響と対応方法について説明していきます。

 

歯ぎしり・食いしばり・TCHの悪影響

ありとあらゆるものは、負荷をかけ過ぎると壊れたり正常に機能をしなくなってしまいます。

それは、人の身体も同様です。

そして、歯ぎしり・食いしばり・TCHは、歯や顎の関節や筋肉に対して、過剰な負荷をかけてしまうものです。

 

食事の際に咬む力は

通常10kg程度(プランスパンだと30kg程度)

硬いものを咬んでいる時は自分の体重程度まで出る

という位です。

 

しかし、寝ている時の歯ぎしりや食いしばりの力は

自分の体重の2~5倍程度

体重の10倍以上のこともある

と言われています。

1トン近い力になることもあるようです。

凄まじい力ですよね。

意識というリミッターが外れているので、とんでもない力になってしまうのです。

 

それに対してTCHのときにかかる力は、食事の際に咬む力と比べても非常に弱い力です。

噛みしめているというよりも、歯を当てているというレベルです。

しかしTCHの問題点は、力の大きさではありません。

TCHは

長時間続けてしまう

ということが最大の問題です。

 

ざっくりで言えば

ダメージ = 力 × 時間

で表すことが出来ます。

寝ている間の歯ぎしりや食いしばりは、力は強いですが時間は長くありません。

それに対して、TCHは力は弱いですが時間が非常に長くなってしまうのが特徴なのです。

ですから弱い力とは言え、ダメージは大きくなってしまうと言われています。

 

そして歯ぎしり・食いしばり・TCHによる悪影響は

・顎関節症

・歯周病の悪化

・歯の破折

・歯が削れる

などがあります。

 

歯の根が割れてしまえば、その歯は抜く以外に選択肢が亡くなる可能性が非常に高くなります。

歯周病も、力がかかることで進行しやすくなってしまい、歯槽骨という歯を支えている骨が溶けてしまいかねません。

また顎関節症になると、口の開閉で痛みが出たり、開閉しにくくなってしまったりします。

 

このように歯ぎしり・食いしばり・TCHは、様々な弊害を引き起こしてしまうのです。

 

歯ぎしり・食いしばりへの対応

歯ぎしりや食いしばりは、やらないに越したことはありませんが、寝ている間のことなので意識してやらないようにすることが出来ません。

原因はストレスや咬み合わせなど、様々なものが関わっていると言われていますから、原因を取り除くのも困難です。

ストレスが全くない人なんて存在しませんしね。

 

ですから寝ている間の歯ぎしり・食いしばりに対しての対応は、やめるというのではなく、ダメージを軽減するという方向性になります。

ダメージを軽減するために、使う装置を「ナイトガード」と言います。

ナイトガード1 ナイトガード2

マウスピースみたいですが、マウスピースと違い上の顎にだけつけます。

これをつけることにより、歯ぎしりや食いしばりの力を逃がしてくれるので、歯や顎の関節・筋肉へのダメージを軽減できます。

緩衝剤のようなイメージです。

 

ナイトガードは歯医者で型を取って作るオーダーメイドになります。

 

TCHへの対応

TCHは寝ている間の歯ぎしりや食いしばりと違い、起きている間のことなので、やめることは可能です。

しかし

歯を接触させないように、これからは気を付けよう

というのは、まずTCHを無くすことはできないと言われています。

 

心理学において、人間は「ミスしないように」と思うほどミスをしてしまうということが分かっています。

「次から気を付けます!!」

「今後は注意します!!」

などは、全く意味がないということです。

「頑張ります」「気を付けます」は無意味
「頑張ります」「気を付けます」は無意味【優秀な人は言わない】ミスは「気を付ける」「頑張る」などの精神論では無くならなりません。このような精神論を振りかざす人は仕事ができない人ですね。仕事ができる人はミスしたことを振り返ることで分析をし、システムを作ってミスを繰り返さないようにします。...

 

ですから、TCHをやめるためのシステムを作る必要があります。

TCHをやめるための手順は、以下の通りになります。

1.把握

2.分析

3.実行

 

まず把握ですが、どのようなタイミングでTCHをやっているかは人によって違いますが、それぞれの人には偏りがあると言われています。

例えば

・パソコンをいじっている時に、していることが多い

・スマホを見ている時に、していることが多い

・料理をしている時に、していることが多い

などなどです。

まずは、そのような自分の傾向を把握しなくてはなりません。

ですから数日から1週間程度、「今、上下の歯を接触させてた」と気づいた時に、それがどんな時だったのかをメモしましょう。

 

次に分析です。

そのメモを見て、自分がどのようなときに上下の歯を接触させている傾向があるのかを導き出します。

 

そして実行です。

例えばパソコンをしているときに、上下の歯を接触させている傾向が強かったとします。

その場合はパソコンの周辺で目に入るような場所に、10枚程度の付箋などを貼ります。

非常に原始的なやり方ですが、1つポイントがあります。

それは、「咬まない」というような否定的な言葉を書くのではなく、「歯を離す」「口を開ける」など肯定的な言葉を書くことです。

 

否定的な言葉は減点方式ですから、「またやってしまった・・・」という感情になりやすく、ストレスを感じやすくなります。

その結果、悪習癖を無くしにくいと言われています。

ですから肯定的な言葉にして、加点方式にした方が良いわけです。

 

× 上下の歯を接触させるという悪習癖を消す。

〇 歯を離すという新しい習慣で上書きする。

というイメージですね。

 

まとめ

・TCHとは日中に無意識に上下の歯を接触させる悪習癖。

・TCH、歯ぎしり、食いしばりのどれも歯や顎に悪影響がある。

・寝ている間の歯ぎしりや食いしばりには、ナイトガード。

・TCHには、把握分析して付箋を貼って習慣を上書きする。

寝ている間の歯ぎしりについては、音がするので寝室が一緒の家族などに聞くことで、やっているかどうかわかります。

しかし、食いしばりは周りの人にはわかりません。

食いしばりの判断基準としては、起きたときに顎が疲れていたり痛みがあったりした場合、やっている可能性が高いと考えてください。

 

また、TCHも自覚がないことがほとんどですので、一度数日でも自分でチェックしてみると良いかもしれませんね。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。