今回は、防衛費増額に伴う増税についてです。
結論としては
・増税は日本経済をさらに悪化させる最悪の選択
・増税することで防衛力も低下する
・防衛費増税は増税ラッシュの始まりに過ぎない
・増税は国民自身が選んだことで、自業自得
です。
防衛費が増額ことが決まりました。
年々増やしながら今後5年間で43兆円とし、2027年度には11兆円になる見込みです。
11兆円という金額は現在の日本のGDPの2%程度に相当し、これまでのGDP比1%程度に比べると倍増することになります。
GDP比はあくまで割合でしかなく絶対的な金額ではありませんから、GDP比で判断することには、あまり意味があるとは言えません。
しかし、日本の周囲には中国・ロシア・北朝鮮などの核保有国が存在し、中国の国防費に至っては日本の防衛費の6倍以上です。
尖閣諸島や北方領土の問題もありますから(本来存在しないはずの問題ですが)、防衛費を増額して防衛力を強化するという考えになるのも不自然なことではないでしょう。
とは言え日本には憲法9条もありますから、防衛費増額に関しては賛否が分かれるのは間違いありません。
人によって考え方が違いますからね。
しかし、ここでは防衛費増額や憲法9条についての賛否には触れません。
今回の防衛費増額において、その賛否以上に問題なことがあります。
それが、「増税」です。
防衛費増額の財源のうち、年間1兆円程度を増税によって賄うことを政府は決定しました。
世の中でも大騒ぎになっていますね。
増税に関しては、考え方の問題などではなく、本来的には議論の余地もありません。
今増税を行うことは、百害あって一利なしです。
愚の骨頂です。
長期的に見れば、増税によって防衛力自体も低下する可能性もあります。
増税は経済を衰退させる

景気の良し悪しは、社会にどれだけのお金が流れているかで決まります。
大まかに言えば
・お金の流通量が増えれば、好景気になり経済は成長する
・お金の流通量が減れば、不景気になり経済は衰退する
ということです。
増税というのは、社会に流れるお金を吸い上げて、お金の流通量を減少させることに他なりません。
つまり、増税というのは経済を減速させるブレーキのような作用があります。
ですから、例えばバブルのように景気が過熱してしまいそうなときに行う増税は、経済を正常に戻すために有効な手段になります。
スピードが出過ぎている時には、ブレーキを踏む必要がありますからね。
しかし景気が悪く、むしろアクセルを踏んで景気を加速させなくてはならない時には、当然ブレーキを踏んではいけません。
もっとスピードが落ちたり止まったりしてしまうだけです。
不景気の時の増税は、さらに不景気にしてしまうのです。
では今の日本はどのような状況かと言えば、もちろん不景気です。
今の日本というよりは、バブル崩壊の平成以降、ずっと不景気です。
ここ30年間、日本は世界で唯一経済が衰退してきた国であり、世界でも類を見ない長期のデフレに苦しんできました。
その結果、日本人の給与は30年前から全く上がっていません。
にも拘らず、日本政府は増税を繰り返し、社会保険料も上げ続けてきたのです。
国民が自由に使うことのできる可処分所得は、30年間減少の一途だったわけです。
そのような状況においてやるべきことは、ブレーキを踏むことではなくアクセルを踏むことです。
アクセルを踏むというのは、減税したり社会保険料を引き下げたり公共事業投資を行ったりして、社会のお金の流通量を増やすことです。
子どもでもわかるロジックです。
逆に言えば、日本政府がそのような適切な対応を行っていれば、日本の経済は衰退どころか成長していたことは間違いないのです。
要するに
日本が長期の不景気に苦しみ経済が衰退したのは、日本政府による人災
ということなのです。
そして、防衛費増額に伴って、またしても増税をするというのです。
結果は火を見るより明らかです。
経済はさらに衰退し、日本人はさらに貧しくなっていきます。
増税で防衛力は低下する

経済がさらに衰退すれば、あらゆる産業が衰退していきます。
そしてそれは、防衛力も同様です。
GDP比1%でも2%でも、結局はGDPの中の割合でしかありません。
割合を上げ続けることなどできませんから、GDP自体の大きさが重要であることは言うまでもありません。
2022年の中国の国防費は、日本の防衛費の6倍以上あります。
しかし実は、1998年頃には両国の国防費・防衛費はほぼ変わらない水準でした。
以下は、両国の国防費・防衛費のGDP比の推移です。
2000年 | 2010年 | 2021年 | |
日本 | 0.93% | 0.96% | 1.07% |
中国 | 1.83% | 1.74% | 1.74% |
全体として中国の方が高い割合ではあるものの、推移を見てみると中国が横ばいか減少傾向にあるのに対して、日本は増加傾向にあります。
つまり中国と日本の国防費・防衛費に大きな差が出来てしまったのは、GDP比によるものではなく、GDPそのものの成長によるものなのです。
この期間で中国のGDPが15倍近くになっているのに対して、日本のGDPは変わっていません。
中国と同じような成長は難しいにしても、日本も経済成長していれば防衛費もおのずと増えていたはずです。
しかし増税することによって、経済は衰退していきますから、GDPは縮小してしまうかもしれません。
そうなれば、結果として防衛費は減少し、防衛力は低下することになりかねません。
まさに、本末転倒です。
増税ラッシュの始まり

このように防衛費増税は最悪極まりないものですが、増税はまだまだ続くでしょう。
むしろ、増税ラッシュは始まったばかりです。
新型コロナ増税もあるでしょうし、金融所得課税の増税もあるでしょう。
NISAが拡充されたのは良いことですが、その対価してきっちり増税してくるのは間違いありません。
消費税が上がるのも時間の問題ですね。
炭素税なるものも出来ると思われます。
社会保険料の引き上げや年金納付期間の延長、年金受け取り時期の高年齢化も行われるでしょう。
つまり、今後も増税などは次から次へとやってくるわけです。
日本人はますます可処分所得が減り経済も衰退して、貧乏になっていくことが確定的なのです。
政府が心底アホなのか、もしくは日本を壊そうとしているかのどちらかです。
両方かもしれません。
しかし、日本国民は被害者なのかと言えば、そうではありません。
前回の参議院選でもそうですが、与党が勝つということは増税路線を突っ走ることであることは、明白でした。
にも拘らず、与党圧勝でしたよね。
前回の選挙に限らず、これまでもずっとそうでした。
つまり、この増税ラッシュになることを選んでいるのは、国民自身に他ならないということです。
自業自得です。
日本の経済を上向かせるためには、選挙で少なくとも増税にNOを突きつける以外にないのです。
国民の無知が日本経済を壊しているのです。
まとめ

・増税は経済を衰退させる
・増税で防衛力は低下する
・増税ラッシュは始まったばかり
・国民は自業自得
日本の経済を立て直すために前提として必要不可欠なのは、緊縮財政をやめて積極財政を行うことです。
減税や社会保険料の引き下げや公共事業投資などの拡大です。
赤字国債を発行して、それらを行えば良いのです。
日本は借金まみれで財政破綻する
という完全な嘘をいまだに信じている人が多くいる時点で、日本は相当末期的状況です。
日本が財政破綻することはあり得ません。
したくてもできません。
経済が立ち直らなければ、食料問題も防衛問題も教育問題も、ありとあらゆる分野のことが改善しません。
経済が衰退し続けるということは、未来の世代を壊すということです。
未来の世代にツケを残さないために増税
なんていうのは、完全なまやかしであり、嘘でしかありません。
むしろ増税が、未来の世代を壊しているのです。
このことは、日本の今後において、本当に重要なことです。
日本人の経済に対する無知が、日本の経済を壊し続けてきたのです。
経済が壊れるということは、生活だけでなく未来を壊すということに繋がります。
今の日本に最も必要なのは、国民が経済に対する正しい知識を得て、騙されないようになることです。
それが成し遂げられなければ、日本の未来は暗いと言わざるを得ません。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。