今回は、アセットアロケーションとリバランスについての話です。
結論から言うと
個人長期投資家がやるべきことは、1~3を続けるのみ。
1.自分に合ったアセットアロケーションを作る
2.優良インデックスファンドに積み立てる
3.2を継続しつつ、定期的にリバランスする
となります。
アセットアロケーションとは「資産配分」のことで、リバランスは「再調整」ですね。
つまり個人長期投資家は
自分にとって適切な資産配分を決めて、それに合わせて優良インデックスファンドに愚直に積み立て続け、定期的にズレた分を調整する
ということを、しっかりやることこそが重要だということです。
名著『敗者のゲーム』の中で、著者のチャールズ・エリス氏は
「インデックスファンドやETFを使っている限り、適切なアセットアロケーションの策定と維持以外に投資家はやることは何もない」
とまで言っています。
(ETFとは投資信託と同じようなものと考えてください。)
それでは、アセットアロケーションやリバランスが具体的にどのようなものか、そしてどのように行うかを説明していきます。
アセットアロケーション=投資スタンス

アセットアロケーション(資産配分)とは
自分の資産を、どの資産クラスにどのくらいの割合で配分するか
ということです。
資産クラスとしては
・株式
・債券
・不動産
・コモディティ(金やプラチナなど)
・現金や預金
などが代表的なものです。
これらは、リスクやリターンが低いものから高いものまであります。
それらをどのような割合で組み合わせるのかは
・リスクの大きさを、どの程度にするか
・リターンの目標を、どのくらいに設定するか
ということに直結してきます。
つまりアセットアロケーションは
自分の投資スタンスそのもの
なのです。
アセットアロケーションの決め方

アセットアロケーションを決める際の大まかな流れは、以下のようになります。
1.投資目的を明確にする
2.リスク許容度を把握する
3.目標リターンをリスク許容度の範囲内で設定する
リスク許容度の範囲内で、目的に合ったリスクとリターンを、資産配分によって決めていくのです。
わかりやすくするために、いくつか例を挙げてみます。
ここでは便宜的に、資産クラスを株式・債券・現金の3つに限定して考えてみます。

株式:ハイリスク・ハイリターン
債券:ミドルリスク・ミドルリターン
現金:ローリスク・ローリターン(ゼロリスク・ゼロリターン)
この3つの資産クラスで、アセットアロケーションを考えてみましょう。
(※あくまでも参考程度にしてください。)

現状に不満も問題もなく、今後も心配がないというような状態です。
このような場合は現在の資産を失わなければよく、リターンを得ることを目指す必要はありません。
つまりは、リスクを取る必要もないということですね。
であれば、特に投資をするのではなく、全て安全資産である現金(預金)で保有しておくのも一つの選択肢になります。

資産を増やしたいけれど、リスクもあまりとりたくないという難しいパターンですね。
そのような時は、まずリスクについて考えるべきです。
知らず知らずリスクを取りすぎた状態になってしまいがちなので、そうならないようにすることが最重要です。
株式の割合を抑えて債券の割合を増やすことが、最も一般的なリスク低減方法です。
このケースのアセットアロケーションは、債券の割合をかなり多めに設定しています。
守りを重視しているということです。

典型的なリスク許容度の大きい場合です。
投資期間がまだ十分残されていて、収入も安定しています。
リスクを背負ってでも大きなリターンを求められる状況ですね。
そのような場合は、株式中心のアセットアロケーションが可能になります。
しかも短期的にはリスクの大きい株式ですが、10年以上の長期で見た場合には株式の方が債券よりもリスクが小さくなるというデータもあります。
長期間の投資期間をとれるということは、非常に有利になるということです。
リバランスの意味

自分に合ったアセットアロケーションを決めて、長期積み立て投資をしていると、基本的にやることがあまりありません。
月に一回程度、決まったものを決まった金額分、購入するだけですからね。
ネット証券で自動積み立て設定をしてしまえば、さらにやることは無くなります。
長期積み立て投資は、基本的に暇なのです。
しかも、何もしない方がリターンが大きくなることもわかっています。
世界最大規模の資産運用会社であるバンガード社の調査によると
ただ機械的に積み立てをしていった時と比べて、タイミングを計って売買を繰り返したりした場合はリターンが平均年率1.5%下がってしまう
という結果が出ています。
何もしないで放置していることがリターンの最大化に繋がるということです。
放置していれば、最高の効率で資産形成できるなんて最高ですよね。
そんな何もしなくていい「長期分散積み立て投資」ですが、一つだけ絶対にやらなければならないことがあります。
それが「リバランス」です。
リバランスとは
アセットアロケーションのメンテナンス
のことです。
最初にリスク許容度の範囲内で、自分の投資目的に合わせたアセットアロケーションを作ります。
しかし、資産ごとの価格変動が異なるため、時間が経過すると最初に策定したアセットアロケーションからずれていってしまいます。

このような場合に、最初に策定したアセットアロケーションの割合に戻すことがリバランスです。
アセットアロケーションは、自分の投資スタンスそのものです。
作ったアセットアロケーションからずれてしまっているということは
・リスク許容度を超えてしまっていて、想定以上のダメージを受ける
・想定していたレベルのリターンに届かない
というようなことになってしまいます。
リバランスは、このようなことにならないようにするための対応方法なのです。
目安としては1年に1回程度のリバランスが必要と言われています。
リバランスの方法

リバランスの方法としては
・割合の大きくなった資産を売って、その分小さくなった資産を買う
・割合の小さくなった資産を買い足す
となります。
先程の株式の割合が大きくなってしまった例で言えば
・株式を売って、債券を買う
・債券を買い増す
のどちらかですね。
どちらの方法でリバランスをするかは、余裕資金がどの程度あるかなどによって判断しましょう。
一回でリバランスせず、2~3カ月かけてリバランスするのもアリです。
まとめ

・個人長期投資家のやるべきことは、アセットアロケーションを作り、
・積み立て投資を継続して、定期的にリバランスするだけ。
・アセットアロケーションは投資スタンスそのもの。
・リバランスは、1年に1回程度行う。
長期積み立て投資は、とにかく基本的なことを愚直に続けることが、成功の秘訣です。
「何を買うか」や「いつ買って、いつ売るか」などの、余計なことを考えることは、むしろマイナスです。
周りに流されず、自分のアセットアロケーションに従って一歩ずつ進むことこそが、最も重要なのです。
但し、自分の生活環境などが大きく変わったときには、アセットアロケーションも見直すことも必要になります。
・結婚した
・子どもが生まれた
・収入が大きく変化した
・会社を辞めて起業した
などのような場合は、そもそものリスク許容度が大きく変わりますから、アセットアロケーションも見直さなくてはなりません。
数年に一度くらいは、アセットアロケーションがその時の自分の生活スタイルに合っているか、確認してみてください。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。