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住宅ローン・奨学金は繰り上げ返済するべき?

住宅ローン・奨学金は繰り上げ返済するべきか?

今回は、住宅ローンや奨学金などの「繰り上げ返済」についてです。

 

結論としては

・繰り上げ返済は、元本保証の手堅い投資の一つ

・リスク許容度の低い人は、十分に有効な投資対象になり得る

・リスク許容度の高い人は、繰り上げ返済せず株式などに投資した方が良い

となります。

 

そもそも繰り上げ返済とは

住宅ローンや奨学金などの借金の返済において、毎月の返済額以上の金額を返済すること

を言います。

繰り上げ返済をすることによって、残っている元本部分を減らすことができます。

元本が減るため、将来的に支払う利息を減らすことができます。

つまり、繰り上げ返済をすることで、トータルの返済額を軽減することができるということです。

繰り上げ返済は

・返済期間を短くする「期間短縮型」

・毎月の返済額を少なくする「返済額軽減型」

という二つの選択肢があります。

どちらを選ぶかで微妙に異なりますが、わかりにくくなるのでここでは省略してざっくりでいきます。

 

ちなみに返済期間を短くした方が、トータルの返済額は少なくできます。

 

繰り上げ返済をすることで返済額を減らせるわけですから、繰り上げ返済にはメリットがあるわけです。

しかし、1つ問題があります。

それは

金利が低いため効果が小さい

ということです。

 

ですから

繰り上げ返済するくらいなら株式などに投資をしてリターンを得た方が良い

というようなことはよく言われます。

繰り上げ返済するキャッシュを投資にまわした方が良いということですね。

このことは確かに事実なのですが、繰り上げ返済が株式などへの投資に比べて全く劣っているというわけでもありません。

繰り上げ返済も、十分に選択肢の1つになり得ます。

 

では、繰り上げ返済のメリットや、どのような場合に繰り上げ返済は有効かということについて説明していきます。

 

繰り上げ返済も投資の一つ

繰り上げ返済は、投資の1つとして考えることができます。

 

例えば住宅ローンの金利が0.5%だとして、100万円繰り上げ返済したとしましょう。

すると住宅ローンの元本が100万円減るため、100万円にかかる利子分が返済額から減ることになります。

これは、100万円にかかる利子分を利益として受け取っていることと、ほぼ同義です。

 

つまり金利0.5%の住宅ローンを100万円繰り上げ返済するということは

年利0.5%の投資商品を、100万円購入していること

と近いことということです。

実際には、「期間短縮型」か「返済額軽減型」かによっても効果は変わりますし、厳密に言えば年利0.5%の商品を100万円購入するリターンとは異なります。

あくまでもおおよそのイメージとして捉えてください。

 

このように考えると、住宅ローンや奨学金の繰り上げ返済は投資の一つとして考えることができるわけです。

 

繰り上げ返済は元本保証型

しかし近年は金利が非常に低いため、繰り上げ返済の投資リターンは株式投資などに比べて非常に小さいものとなります。

だからこそ繰り上げ返済するくらいなら、その資金を株式などに投資した方が良いと言われるわけです。

 

ただし繰り上げ返済は、株式投資などと比べて大きなメリットがあります。

それは

元本保証

ということです。

正確に言えば、元本保証と同様ということですね。

 

株式投資や不動産投資や債券投資などは、元本が目減りする可能性があります。

しかし繰り上げ返済は、繰り上げ返済した金額が目減りすることは当然あり得ません。

ですから、「株式投資」と「繰り上げ返済」は違うカテゴリーのものと言えるわけです。

 

繰り上げ返済と比べるのであれば、同じ元本保証のものと比較するべきですね。

 

国債と預金との比較

繰り上げ返済以外の代表的な元本保証のものとしては

・国債

・銀行預金

があります。

 

これらを比べてみると、以下のようになります。

繰り上げ返済 日本国債 銀行預金
利回り(年率) 0.5%程度 0.1%以下 0.002%程度

 

このように元本保証の投資で比較してみると、繰り上げ返済の利回りが圧倒的に高いことがわかりますね。

つまり、元本保証のものに投資をするのであれば、繰り上げ返済は十分に選択肢になり得るということです。

 

ただし、一つ注意しなくてはならないことがあります。

それは

繰り上げ返済をしたらキャッシュアウトする

ということです。

預金などは利回りは低いですが、いつでも引き出して使うことができますよね。

それに対して繰り上げ返済は、元本保証と同様とは言え、現金に戻すことはできません。

繰り上げ返済に突っ込みすぎて、生活費が足りなくなるなんてことになったら元も子もありません。

 

ですから繰り上げ返済をする場合には、十分に生活防衛資金を確保しておくことが条件になりますね。

 

繰り上げ返済に向いている人

ここまで説明してきたように、繰り上げ返済は借金の返済であるのと同時に、投資でもあります。

そのような意味で、繰り上げ返済をすることに向いている人は

・投資資金がある人(生活防衛資金がある人)

・リターンは小さくてもいいから、リスクをとりたくない人

という人になります。

資金を預金で寝かせておくのはもったいないけれど、株式などのリスクはとても取れないような人です。

国債を買うよりは利回りが高く取れますからね。

 

逆に、リスクを十分にとれるような人は繰り上げ返済に資金を回すのはもったいないとも言えます。

その資金を株式にまわして長期投資をすれば、リスクは限りなく低減できますし、リターンははるかに大きくできます。

 

つまり、繰り上げ返済は一概に良い悪いと言えるわけではなく、人によるということです。

 

まず最初に返済するべき借金

日本人は

借金 = 悪

というイメージが強いですが、実際にはそんなことはありません。

 

繰り上げ返済をしないで株式などへの投資を優先するということは、借金を返すことよりも株式投資を優先するということですよね。

言ってみれば、住宅ローンという借金をして、そのお金で投資をしているとも言えるわけです。

 

では、借金をして投資をするのはアリでしょうか?

一般的にはダメだというような感覚ですよね。

でも条件を満たせばアリです。

 

その条件とは

投資による期待利回り > 借金の金利

ですね。

この条件を満たせれば、理屈で言えば資産は増えていきます。

 

そもそも不動産投資やビジネスなどは、借金をして投資をしています。

借金をしても、それ以上の利益を出せると見込んでいるからですよね。

 

借金には、良い借金と悪い借金があります。

良い借金とは

借金したことで、より多くの資産を得られるもの

 

悪い借金とは

借金したことで、資産が減ってしまうもの

です。

 

悪い借金は、純粋に利率が高すぎるようなものです。

いくら投資をしたりしても、マイナスにしかならないような借金はしてはいけませんし、もししてしまっているのであれば一刻も早く返済するべきです。

具体的には

・消費者金融

・カードローン

・リボ払い

などです。

これらは年利15%とかですからね。

 

もしこれらの借金をしているのであれば、投資などをしている場合ではありません。

全てに優先して返済する必要があります。

 

まとめ

・繰り上げ返済は元本保証の投資とも捉えられる

・リスク許容度の低い人は、繰り上げ返済は選択肢になり得る

・リスク許容度の高い人は、繰り上げ返済はもったいない

要するに、自分のリスク許容度に合った投資をすればいいということです。

そして、繰り上げ返済も投資の一つの選択肢になるというわけです。

 

ただし生活防衛資金のように、ある程度のキャッシュは持っておくことは忘れないようにしてください。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。