教育・子育て

【ADHD】得意を活かす

【ADHD】得意を活かす

今回は、代表的な発達障害であるADHD(注意欠如・多動性障害)についてです。

 

結論としては

・ADHDは素晴らしい才能

・不得意ではなく、得意で勝負するべき

となります。

 

「自分はADHDだから、色々とうまくいかない」

「子どもがADHDみたいで、将来が心配」

「ADHDじゃないかと言われて不安」

など、ADHDに対して悩みを持っている人は少なからずいるのではないでしょうか。

 

しかし、何も悲観する必要はありません。

ADHDであることは個性であると同時に、素晴らしい才能とも言えます。

ADHDは、確かに社会生活をする上でデメリットにもなりますが、それ以上にメリットも多々あります。

 

ADHDの人たちが苦しみながら生きていくのではなく、その才能を活かして生きていけるように、多くの人がADHDを理解してほしいと思います。

それではADHDとは何か、そしてどのような才能を持っているのかについて、説明していきます。

 

ADHDとは

ADHD(注意欠如・多動症)は発達障害の一つで、以下の3つが主な特徴とされています。

・不注意

・多動性

・衝動性

 

子どもだと5%程度、大人でも3%程度がADHDだと言われています。

そこまで少数というわけでもないのです。

 

原因に関しては、ADHDに限らず発達障害全体として共通して、遺伝による先天的な脳機能の偏りによるものと言われています。

しかし、完全に解明されているわけではなく、未だにはっきりとした原因はわかっていません。

 

では、それぞれの特徴を説明していきます。

 

不注意

ADHDの1つ目の特徴は、「不注意(注意欠如)」です。

 

例えば

・ケアレスミスが多い

・様々なことに対して、注意をキープすることが苦手

・その反面、興味があることなどに対しては過集中になる

・話しかけても、聞いていないように見える

・物事を順序だてて行うことが苦手

・失くしものや忘れ物が多い

・気が散りやすい

・同じことを繰り返すのが苦手

・指示や決まりに従いたがらない

などのようなものですね。

 

着替えをしていても、他のことをはじめたりしてなかなか進まなかったりすることなどはよくあります。

 

多動性

2つ目の特徴は、「多動性」です。

これが最もわかりやすい特徴かもしれません。

「落ち着きがなく、じっとしていられない」ということです。

 

・じっとして座っているのが難しい

・とてもよくしゃべる

・走り回ったり、高いところに上ったりするのが好き

・授業中などに席から離れたり教室から出て行く

・いつも落ち着かない感じ

のようなものですね。

 

食事中に席を立ってうろうろしたりするようなことも、この多動性と言えます。

多動性は子どもの頃にはよく見られますが、多くの場合は年齢と共に徐々に減っていくことが分かっています。

 

衝動性

3つ目のADHDの特徴は、「衝動性」です。

「自分の感情や周りの刺激に反応しやすく、即座に行動する」というものです。

 

例えば

・順番を待つのが苦手

・質問が終わる前に、だしぬけに答えてしまう

・他人がしていることをさえぎったり、邪魔してしまう

・思ったことをすぐに口に出す

というようなものです。

 

思いついたことは、すぐにやらないと気が済まないという感じですね。

ただしこの衝動性は、子どもの頃は誰もが少なからずありますよね。

ADHDの人は、その程度が平均よりも大きい、と言ったところです。

 

努力不足や怠惰ではない

これらのADHDの特徴に対して、絶対に理解しなくてはならないことがあります。

それは

ADHDの特徴は、努力不足や怠惰からくるものではない

ということです。

 

もちろん、色々な対応策を講じることによって、不注意や多動や衝動を減らすことはできます。

しかし不注意・多動・衝動は、決して本人が頑張っていなかったり我慢が足りないから起こってしまうことではないということです。

 

例えば、運動が苦手な人がいたとします。

確かに繰り返し練習すれば、上達はするでしょう。

しかしどれだけ頑張って練習しても、基本的には運動がもともと苦手な人は得意な人のようにできるようにはなりません。

ADHDの特徴は、それと同じ次元のことなのです。

そしてこのことはADHDに限った話ではなく、発達障害全般に対して言えることです。

 

しかし、まだまだこのことを理解していない人が多いのが現状です。

そのため、ADHDの人は社会生活をする上で支障が出てしまうことが多くあります。

ADHDの人の1/3は、職に就いていないというデータもあります。

組織の中で仕事をしたりするのにおいては、デメリットになりそうな特徴がたくさんありますからね。

学校や会社などの枠組みは、ADHDの特徴を持つ人たちにとっては生きにくい環境なのです。

 

だからこそADHDの人自身やADHDの子どもを持つ親御さんも、そのことについて悩んだり心配したりしているわけです。

 

社会が受け入れるための理解がまだ足りない

という現状があるということです。

 

学校や社会の枠組み

ではADHDの特徴を持つ人たちが、生きにくいと感じる「学校や社会の枠組み」とは何でしょうか?

それは

誰もが同じように同質化する

ということです。

 

基本的に学校という場所は

平均的な組織の一員を、大量に育成する場所

です。

日本の教育は、子どもの頃から「周りの人と同じ」ということが正しいことだと教え込みます。

そしてそのようなことを教え込まれた子どもたちは、大人になって周りと協調することを第一とした組織の一員になります。

 

そもそも、学校というのは大量の同質化した労働力を会社に送り込むための組織です。

産業化社会構図

学校教育で脱個性・同質化を行い、会社に労働力として提供します。

そして一様な大量の労働力を会社が使うことで、社会全体で物質的な豊かさを手に入れるのです。

要するに、社会全体として同じような歯車を大量に作って使うわけです。

このような方法を全否定するわけではありませんが、少なくとも「一億総中流」と言われた産業化社会の時代に沿ったものであって、現代に合うものではありません。

 

そしてADHDを含む発達障害の人たちは、このような同質化を最も苦手とするタイプの人たちなのです。

個性あふれる人たちですからね。

発達障害は病気ではなく個性
発達障害は病気ではなく『個性』発達障害は病気でも障害でもなく、個性や特性です。素晴らしい才能と言ってもいいかもしれません。産業化社会では同質化した集団を学校が育成して会社で使う社会でした。その中で同質化などが苦手な人が発達障害とされてしまったのです。...

 

要するに、ADHDの人は

・決して劣っているわけではない

・脱個性や同質化を求められることは不向き

・逆に個性を発揮できる社会は得意

ということです。

 

見方を変える

全ての物事は、見る角度によってその姿を変えます。

ADHDの特徴においても、それは同様です。

 

例えば

衝動的に行動してしまう

→行動力・実行力がある

気が散りやすい

→創造性が高く、アイデアが出やすい

過集中になる

→一つのことを極められる

となります。

 

一般的に短所と言われるものも、見方を変えればその裏には長所があるわけです。

「慎重」の裏は「臆病」、「積極的」の裏は「無鉄砲」になりますよね。

 

つまりは「不得意」の裏には、「得意」があるのです。

わざわざ不得意なことを克服しようと頑張るよりも、得意なことを活用した方が良い結果が生まれやすいことは言うまでもありません。

そしてADHDの人は、その「得意」が突出していることが多いので、なおさらです。

 

しかし残念ながら、不得意なことを周りと同じようにできるようにすることを目標にしているのが、日本の今の教育です。

得意を伸ばそうとしないんですよね。

「協調性がある」の裏は、「個性がない」です。

 

日本の社会は、思考停止と同調圧力が蔓延しているのです。

 

ADHDの向いている職業

ADHDの人は、「みんなと同じこと」をすることが苦手ですが、それなら「自分にしかできないこと」をやればいいのです。

そしてそれは、まさにADHDの人たちが得意で力を発揮できることです。

 

2016年のミュンヘン工科大学による研究では

ADHDの人は、そうでない人より起業家に向いている

ということがわかっています。

 

・リスクを取ることが出来る(行動力・実行力がある)

・クリエイティブである。

・一つのことを極められる。

これらの長所は、起業して自分でビジネスを作ることに向いているのです。

つまり起業家を目指したり、フリーランスとしてやっていくのであれば、ADHDの人の方が有利ということです。

 

そして逆に、会社員のような組織の歯車になるのは、ADHDの人は非常に苦手なのは言うまでもありませんね。

 

しかしなぜか社会や周りの人たちは、ADHDなどの人たちに対して苦手な分野を克服することを求めます。

そして本人も、それをできずに苦しむのです。

 

解決方法は簡単です。

苦手な分野ではなく、得意な分野で勝負すればいいのです。

輝ける可能性が高い場所はわかっているのですから。

 

運動が苦手で勉強が得意なのに、アスリートを目指す人はいませんよね。

それと同じことです。

 

まとめ

・ADHDの特徴は、努力不足や怠惰ではない

・ADHDは素晴らしい才能で、社会の同質化や脱個性に向かないだけ

・長所と短所は裏表

・ADHDの人は起業家などの得意分野で勝負するべき

 

苦手な分野で戦うことを強いられることは、本人が苦しい思いをするだけでなく、その才能を潰してしまうあまりにもったいない行為です。

本人自身がそのことを自覚することはもちろん重要ですが、親などの周りの人たちが理解してサポートすることも重要です。

 

実は僕の娘も、診断を受けたわけではありませんが、まずADHDです。

僕の娘への基本教育方針は

好きなことをやり、嫌なことはやらなくていい

です。

 

親御さんでADHDの子どもを持って悩む人は多々います。

しかし、僕は全く悩んだりしませんでしたし、むしろ楽しみで仕方ないくらいです。

 

この差は、ただ単にADHDに対しての知識があるかないかだけです。

もともとADHDの特性などを理解していれば、悩む事なんて何もありませんし、悲観することなんて何一つありません。

 

無知であれば、無理やり個性を消して同質化を求めてしまうかもしれませんよね。

その先に良い未来はありません。

無知は罪にもなり得ます。

思考停止のまま同調圧力に合わせることは、愚の骨頂です。

 

知識を得て、自分の頭で考えましょう。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。