教育・子育て

子どもを加点方式で評価するべき理由【減点方式は厳禁】

子どもを加点方式で評価するべき理由【減点方式は厳禁】

今回は、子どもを評価する方法についてです。

 

結論としては

子どもに対しては、加点方式で評価をするべき

となります。

 

私たちは誰もが、常に「評価をする」「評価をされる」ということを無数に繰り返しています。

これは物事に対してだけでなく、人に対してもです。

自分以外の誰かに対して

・見た目はどうか

・性格はどうか

・収入はどのくらいか

・頭は良いか

などなど、限りなく評価をしていますよね。

そして自分も周りの全ての人から、同様に評価されています。

さらに言えば、自分で自分のことも評価します。

 

このように私たちは「評価」に囲まれていますが、評価方法には大きく分けて2つの方式があります。

・加点方式

・減点方式

この2つです。

 

このどちらを用いるかは状況や評価対象によっても変わっていますが、日本では減点方式を用いられることが多いです。

子どもに対しての学校教育や家庭での教育に関しても、減点方式がほとんどです。

しかし

子どもに対しては、減点方式ではなく加点方式で評価するべき

です。

子どもに対しての減点方式は、子どもの未来の可能性を潰しかねません。

 

それではなぜ、子どもに対しては加点方式が良いのか、そして減点方式の弊害は何なのかについて説明していきます。

 

加点方式と減点方式

加点方式と減点方式、それぞれの評価方法は以下のようになります。

加点方式とは

スタートは0点。

成功や努力・挑戦などの良かったことを、点数として積み上げていく方法。

 

減点方式とは

スタートは100点。

失敗やミスなどの悪かったことを、点数として差し引いていく方法。

 

例えばテストで70点だったとします。

加点方式では0点からスタートしますので、取れた70点分に注目して評価します。

減点方式では100点からスタートしますので、取れなかった30点分に注目して評価します。

加点方式と減点方式は、完全に逆方向の評価方法ということです。

 

言い方を変えれば

・加点方式は、過程を評価する。

・減点方式は、結果を評価する。

とも言えます。

同じ70点という結果でも加点方式と減点方式では、評価される子どもが受ける印象は全く変わってくるのは明白ですね。

 

加点方式は挑戦力を育む

加点方式で評価をすると、成果や成功だけでなく

・挑戦したこと

・頑張ったこと

・考えたこと

など、全てのことを評価対象にします。

スタートが0点なので、「何もない」「何もしないこと」がスタートなわけですから、成果や成功以外の過程を評価して加点することが出来ます。

 

子どもからしたら、上手くいかなかったとしても、考えることも含めた行動すべてを評価されて評価してもらえます。

自分の行動を否定されず肯定されるわけですから、子どもたちは前向きになれますよね。

その結果として

子どもたちは、挑戦する力を身につけやすくなる

となります。

 

また、結果や才能を褒められた子どもと、努力や過程を褒められた子どもを比較した研究からは

・努力や過程を褒められた子どもは、意欲的に物事に取り組んだ

・結果や才能を褒められた子どもは、意欲を失った

ということも分かっています。

つまり、加点方式のように努力や過程を評価することで

子どもたちは、物事に対して意欲的になりやすい

ということにもなります。

 

要するに

加点方式は、子どもたちの挑戦力や意欲を育むことができる

ということですね。

これは非常に重要なことです。

 

たくさんのこと対して意欲的に挑戦をすれば、当然多くの失敗をします。

失敗したとしても、加点方式はマイナス評価になりません。

「挑戦したこと」「頑張ったこと」「できたこと」の全てが、加点されて評価されます。

失敗することへの抵抗は減り、失敗をしやすい環境になりますよね。

 

そして、失敗こそが成長の源泉です。

子どもは過程こそが大切

失敗することで、経験を得て学び、その学びを使ってリトライする。

そしてまた失敗して、経験を得て・・・・

このサイクルこそが、成長に繋がります。

どれだけ成長できるかは、このサイクルをどれだけ回れるかということにかかってきます。

加点方式は、この成長サイクルを回すための動力なのです。

 

子どもへの教育の目的は、「成長」であり「成果」ではありません。

このことを勘違いしている人が、教師や親にも大勢いるのです。

 

・加点方式は、挑戦・失敗をして成長することを後押しする

・子どもにとって、最も重要なことは成果ではなく成長

このことは、決して忘れてはならないことです。

 

加点方式について、ひとつ注意してもらいたいことがあります。

それは、加点方式で評価する際に100点満点を規定してはいけないということです。

0点から加点していっても、「ここまで出来たら100点」というような満点を規定してしまうと、それは減点方式と同じになってしまいます。

 

減点方式は失敗への恐怖を植え付ける

減点方式は、加点方式に比べて非常にシンプルです。

失敗・悪いところのみを、マイナスの評価をする

これだけです。

 

100点をスタートとするので、しっかりとできることがスタートになります。

そこから失敗やできていないことに対してのみ、マイナスの評価をします。

 

このような評価方法だと、子どもがどのようにするかは容易に想像つきますよね。

失敗をしないようにする

となるのは明らかです。

失敗すると減点されるわけですから、失敗しないようにするのは自然な流れです。

そして失敗の確率が上がる挑戦は、避けるようになってしまいます。

 

つまり減点方式で評価することによって、子どもたちは

挑戦をしなくなり、言われたことを失敗しないようにしようとする

となってしまいます。

言われたことを忠実にこなすことが高い評価になるので、自分で考えて挑戦することをしなくなっていきます。

様々なことに対して積極的でなくなり、意欲も失ってしまいがちです。

 

つまり

減点方式は、同質化して思考停止になってしまいがち

という方法なのです。

 

まさに、日本の学校教育そのものですよね。

未だに、同じような人間をせっせと作り続けて脱個性を行っているのが、日本の学校教育です。

また、減点方式は学校サイドからしたら楽です。

加点方式だと、様々なことが評価対象になりますから、一人一人をよく見なくてはなりません。

しかし減点方式だと、失敗や悪いところだけを評価すればいいので、とても楽ですよね。

失敗や悪いところというのは、「周りと違うこと」です。

みんなと一緒のことをできない子をマイナス評価するだけです。

子どもからしたら、自分を出さず周りに合わせることこそが、減点されない手段だということです。

 

大人は子どもとは違う

では、減点方式自体に存在価値がないかと言えば、そうではありません。

 

子どもに対する教育の目的は成果ではなく成長ですから、成長のためには加点方式一択です。

しかし大人に関しては、そうではありません。

大人でも、自己投資などの成長を目的としたものであれば加点方式にするべきですが、仕事となると話は別です。

仕事で求められるのは、「成果」です。

ビジネスパーソンとしては、成果を出せないことは何の価値もないことと同義です。

そして成果を評価する上では、加点方式ではなく減点方式が適しています。

 

仕事の中で、成長のために加点方式で評価されるのは、あくまでも新人の時などの限定的な期間のみです。

ただし、子どもは純粋に成長が目的ですが、大人のこの期間は将来に成果を出すための成長です。

会社としては投資です。

だからこそ、期間限定なのです。

結局のところ、仕事においては成果や結果が全てなのです。

 

例えば医師の手術では、何よりも絶対に求められるのは「ミスがないこと」です。

前提条件と言ってもいいですね。

ミスを0にすることは人間ですから不可能ですが、ミスを多発するのであれば誰も手術してほしいと思いませんし、その医師は何の価値もありません。

 

このように仕事においては、減点方式が基準になります。

さらに言えば、減点方式で求められる成果を出すことは前提で、その先に加点方式があるというようなイメージですね。

 

まとめ

・子どもに対しては、目的が成長なので加点方式で評価するべき。

・加点方式は挑戦力や意欲を育み、失敗できるため成長できる。

・減点方式は失敗を恐れ、同質化して思考停止する。

・大人の仕事の目的は成果のため、減点方式が適している。

 

大人は仕事などにおいて、「頑張りを評価してほしい」と加点方式を求めたりするにも拘らず、子どもには減点方式で評価しがちです。

自分に甘く、他人に厳しい人が本当に多いです。

 

学校などでの減点方式を加点方式に変えてもらうことはなかなか難しいかもしれませんが、家庭で自分の子どもに対してであれば可能ですよね。

せめて親だけでも、自分の子どもに対しては加点方式で評価してあげてほしいものです。

 

子どもに対しては、頑張りを評価してあげてください。

失敗やできなかったことを責めるのは、論外です。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。